第四十四話 疑い
その日、家に帰った亜紀は、雪の事を考えていた。
荒井先生・・・今日ドッグフード持って何処に行ってたんだろ・・・公平の家の方向に
来てたわよね・・・そう言えばこの間公平も坂の下を曲がって・・・
もしかして待ち合わせてて・・・
もうやめよ・・・つまんないこと考えるの・・・
でも・・・
亜紀は家を出た。
坂を下り、そして坂の下まで来た亜紀はそこを曲がり歩いた。
「クゥーン・・・クゥーン」
え・・・犬・・・?
亜紀は犬の鳴き声のする方を見た。
こんなところに子犬が・・・え・・・先生・・・ここで犬買ってるの?
亜紀は、ふと公園内のごみ箱の中を覗いた。
今日のドッグフードあるのかな・・・あれ・・・これ・・・うちの学校で買うパンの
袋じゃない・・・どういう事・・・?もしかして・・・
二人でここで子犬を買ってるって事かな・・・二人で・・・?
亜紀は、また身体の中から何かががこみあげてくるのを感じていた。
次の日の朝公平は雪に言われた通り、朝早く行き机の中からドッグフードを見つけた。
公平はそれをカバンの中にしまった。
数日後―――
赤星が公平のクラスのドアを開けるなり言った。
「なあ!なんかさ学校の前にカラスの残虐死体があったって!」
「えーーーーーうそーーー何それーーー誰だろ・・・?」
クラスの女子は騒いでいた。
亜紀はずっと公園のことが気になっていた。
あの二人・・・最近一緒にいるところは見ないけど・・・どうなってるんだろ・・・
先生と生徒なんて・・・公平の一方的な片思いで終わっちゃうよね・・・
でも・・・あそこで・・・会ってるのかな・・・先生と公平・・・
その日亜紀の足はまた自宅から公園へと向いていた。
・・・誰もいない・・・子犬だけ・・・
少しホッとして亜紀は家に帰ろうとした。
「亜紀・・・?」
そこには公平が立っていた。
「あ・・・公平・・・」亜紀は少し驚いた
「何してるの?亜紀・・・」
「あ・・・たまたま通りかかったら・・・子犬がいたから・・・」
「たまたま?」
「あ・・・うん。そう・・・たまたま・・・」
「そっか。あいつ僕がここで飼ってるんだ。」
「そ・・・そうなんだ・・・」
続けて亜紀が言った。
「ねえ・・・公平・・・」
「何?」
「まだ好きなんだよね?先生の事・・・」
「・・・・・・」
公平は黙っていた。
「ねえ亜紀・・・あいつ・・・あの子犬を・・・お前ん家で飼えない?」
「あの犬を・・・?」
「うん。今、飼い主探してるんだ。」
「ごめん・・・うちはお父さんが犬嫌いだから・・・」
「そっか・・・」
「うん。じゃあ・・・帰るね公平。」
「あ、うん。」




