第四話 小宮亜紀
キーンコーンカーンコーン♪
「公平!!」授業が終わりカバンを持って教室を出る公平を亜紀が呼び止めた。
「ん?」
「ね!昨日何時まで荒井先生のこと待ってたの?」
「あ・・ああ・・いや・・・結局あの後すぐに帰ったよ。」
「あ、そうなんだ。」亜紀はホッとして笑顔を見せた。
「でも・・・・今日出来てたよね?課題・・・」
「あ・・うん・・・ぼ、僕もやれば、で、出来るんだよっ」
「ふーん・・・」少し動揺している公平を見て亜紀は不審に思いながら公平の顔を
覗き込んだ。
「ほ、ほんじゃ!」公平はひきつった笑顔を見せながら亜紀に手を振ろうとした。
「あ・・・あたしも帰るところなんだ。」
「え??部活は?」
「今日から休みだよ。もうすぐテストじゃん。」
「あ・・・そっか」
「家に帰るんでしょ?」
「あ・・・うん」
「じゃあ一緒に帰ろうよ!」
「あ・・・」公平は少し悩んだ。
「何?嫌なの?」
「いや・・・そうじゃないけど」今日も雪を待つつもりだったのだ。
「そうだね・・・じゃ帰ろっか」公平は続けて言った。
「うんっ!!」
「ねえ・・・亜紀」公平は亜紀を見ずに言った。
「え?何?」
二人は校門を出て並んで歩いていた。
「君さー。」
「うん。」
「・・・・」
「え?何よ!」
「もしかしてさあ。」
「ん?」
「僕の事好きなの?」
「・・・・・」
「なわけないじゃんっ!」
亜紀は少し顔を赤らめて言った。
「だよねー。あ・・いやー・・・ごめんごめんちょっとそうなのかな?って」
「別に違うし・・・・」
「あー。それならいいんだけどね」
「え?いいって?」
「いや・・・そうじゃなくって・・・あ・・・僕ちょっと寄るとこあるから」
「え?あ・・・そうなんだ。」
「うんっ!じゃあね!亜紀!」
「あ・・・・うん・・・じゃ」