第三十六話 病室
亜紀が病室で教科書とノートを開き、勉強をしていた。
ガラッ
「よ!」
「あ、輝!」
「どう?調子は?」
「調子は?って・・・昨日来たばかりじゃない。」亜紀は輝に笑って答えた。
「ははは。そうだな。」
「ねえ輝、ここ分からないんだけど・・・」亜紀は数学の教科書を指さして言った。
「あ、ここ?これは・・・」
「輝・・・」教科書の問題を問いている輝を見ながら亜紀が言った。
「ん?」
「いつもありがと。」
「うん。」
「忙しいんじゃないの?ごめんね。」
「そんな事ないよ。俺塾しか言ってねえし、結構暇だから。」
「ホントに?」
「それに・・・」
「それに?」
「あ、いや・・・それより・・・学校・・・どうすんだ?」
「あ、うん。ホントはこのまま休んでいたいくらいなんだけど、卒業できなかったら
嫌だし・・・来週くらいから行こうかな。」
「そっか。」
「ねえ、輝・・・」
「何?」
「公平はどうしてるの?」
「ああ・・・あいつは・・・相変わらずかな。」
「今も追いかけてるの?荒井先生の事・・・」
輝はしばらく黙っていたが、数学の問題を解くその手を止めた。
「なあ、亜紀。もうあいつの事なんか忘れろよ。俺がいるじゃん。」
「輝・・・」
「俺じゃダメかな・・・」
輝は少し恥ずかしそうに亜紀から目をそらして言った。
そして亜紀はうつむきながら答えた。
「今は・・・ずっと公平にも会ってないから、気持ちも落ち着いてるんだけど、
また学校で公平の顔見たら私・・・どうなっちゃうか分からない。すごく
不安なの。」
「亜紀・・・」
輝はそんな亜紀を心配していた。




