第三話 ラーメン屋
雪は少し歩き、学校の近くの少し古そうな小さなラーメン店まで公平を連れて
行った。
黄色い暖簾には「中華そば」と書かれたあった。
「こんなとこにこんな店あったっけ?」公平が言った。
「ええ。結構美味しいんだから!」そう言って雪はガラツとその戸を開けた。
中には客が一人ラーメンをすすりビールを飲んでいた。
「こんばんは!」
「お!毎度!あれ?生徒さん?」
「あ!うん!おじさんラーメン2つね!」
「はいよ!」
公平は年季の入ったその店の中を見渡した。
「先生ここよく来るんですか?」
「そうね。月に2、3度は来るかな。ここはいつもすいてるしおじさんもいい人だし、
落ち着くのよね。ラーメンも結構美味しいんだけどな。なんでこんなにお客さん
少ないんだろ。」二人はカウンターに座り、雪は目の前にあった水をコップに
入れながら言った。
「雪ちゃん!すいてるはないだろーまあ事実だけどな。」ラーメン屋の主人は
ニヤけて言った。
「あーーごめんごめん。」
「はい!おまちラーメン2つね」
「あ、ありがと」
出てきたそれは昔ながらのシンプルなものだった。
「はい!じゃあ食べて!」雪は公平に箸をわたした。
公平は一口食べてみた。
「あ。美味し!」
「でしょ?!」
二人はあっという間にそれを食べ、雪が主人に言った。
「おじさん!ちょっと・・・ここでこの子に勉強おしえてあげたいんだけどいい?」
「ああ!いいよ!どうせすいてるしなっ1時間でも2時間でも」
「あ!ありがとおじさん!・・・・で、どこまでやった?」
「あははは・・・まったく・・・」公平は苦笑いした。
「全くって・・・・もう・・・出来ないなら授業中居眠りしない!」
「はい。すいません」
「・・・はあーっ。」雪は溜息をつきながら公平に教え始めた。