第二十九話 僕、キレちゃっていいですか
「終わったー!あーーー疲れたーーー!」雪は大きく伸びをした。
「ありがとう!真野、正直助かった。去年は1時間もずれちゃってどんなに教頭に
叱られたか・・・」
「そうなの?」
「あははー・・・・そうなのよねー。」
「ねえ先生!僕お腹空いたよ。」
「はあっ?・・・お腹空いた・・・?」
「何か食べたい!僕のおかげでちゃんと時間通りに終わったんだから。ね!」
「そうね・・・分かったわよ。」
「うんっ!」
ガラガラッ
「おじさん!こんばんは!」
「お!雪ちゃん!おつかれ!今日も彼と一緒?!」
「あ・・・ええ。ちょっとこの子にお世話になっちゃって・・・」
ガラガラッ
「ごちそうさまでした!」
「ありがとね!雪ちゃんまた来てね!彼も!」
「あ・・・はいっ!」公平は笑顔で答えた。
「じゃあ真野。帰るわよ!」
「はあいっ!」
「あれ!お姉さん!」誰かが雪の後ろから叫んだ。
雪と公平は振り返った。
「誰?」雪が言った。
「この前はどうも・・・俺の友達・・・病院送りにしてくれて。」
「え・・・?」
「あれー忘れちゃった?あいつら情けないよねー!女にやられちゃって。」
「あ・・・あの時の?」
それは亜紀がからまれた時に雪がぼこぼこにした男たちの知り合いのようだった。
「あの後・・・大変でさ・・・まだ入院してんだよね。」
「・・・・・・」雪は黙って聞いていた。
「悪いんだけどさ・・・ケガさせたのそっちだし・・・病院代・・・払ってもらえる?」
「い・・・いくらなのよ?」
「うん。100万位かかっちゃってるかな。」
「な・・・何よそれ・・・そんなわけないじゃない。そんなの・・・払えないわよ!」
「あ、そう・・・いいんだよ!出るとこでても・・・」
「何なのあなたたち!やくざか何か?」
「うーん。そうかもね。お姉さん可愛くて強いし俺たちとお友達になってくれても
いいよ。」
そう言って雪の髪を触って来た。
「やめてよ!」雪は男の手を振り払った。
「あ?!何すんだ。」そう言って男が雪に殴りかかろうとし、雪はそれを
受けようとした。
バシッ!!
男の手を掴んだのは公平の右手だった。
「真野・・・?!」雪は公平の素早い動きに驚いた。
「先生!僕・・・キレちゃっていいですか?」
「え?」
公平は左手で男の腹に一撃を与えた。
ボスッ!
うっ・・・
「何だお前!くそガキ!」
「おじさん達だって女の人相手に殴りかかってくるなんてありえないっしょ!」
男たちは公平に攻撃をしてきた。が、それは公平によって瞬く間に
ぼこぼこだった。
雪は何もせずにただそれを見ていた。あっという間の出来事だった。
「先生!行こう!」
「真野!?」
そう言って公平は雪の手を握りその場を走って立ち去った。




