第二十五話 伊藤輝(いとうてる)
次の日も、公平は病院へ行こうとしていた。
「公平!」振り返ると輝が公平の方へ走って来た。
「輝・・・どうした?」
「ちょっと話あんだけど。」
「何?」
「お前今日も病院行くんだろ?亜紀のとこ」
「え?」
「学校中の噂になってるぞ」
「・・・・・・」
「お前・・・あいつと何かあんだろ?おととい亜紀が救急車で運ばれて行くのを
近所の人が見てたらしくて昨日の朝から噂、流しまくってる。おまえが亜紀をかついで
出てきたことも」
「うそだろ・・・」
「まあ俺が違うって噂流しといたけどさ」
「・・・・・・」
「今から行くとこ?」
「あ・・・うん」
「じゃあ俺も行っていいか?」
「え?」
「お前のせいなんだろ?亜紀が自殺未遂したの・・・でもお前は荒井先生が好きで・・・」
「輝・・・なんで知ってんだよ」
「何言ってんだよ・・・丸わかりなんだよお前ら」
「・・・・・・」
「だけどもうお前が行ってもどうにもなんねえだろ?」
「うん・・・そうだけど」
「だからさ・・・俺も行くよ!」
「わかった。」公平は輝にうなずきながら言った。
病院に着いた公平と輝は病室から出てくる亜紀の母親に会った。
「あ、公平くん!今日も来てくれたの?昨日はごめんね。本当に色々ありがとう」
「あ・・・いえ。」
「全部聞いたわ・・・亜紀から・・・」
「・・・・」
「公平くんには悪いんだけど、しばらく亜紀には会わないでいて欲しいの、
それから荒井先生も・・・先生にそう伝えてくれる?」
公平はしばらく考えていた。
「そうですね。分かりました。じゃあ輝、亜紀の事頼む」
「ああ。」
公平は亜紀には会うことなく病院を出た。
「亜紀?伊藤輝君って子がお見舞いに来てるわよ。」母親は病室の亜紀に言った。
「輝?」亜紀は思いもよらないクラスメートが来たことに驚いた。
「よっ!」輝は病室に笑顔で入って来た。
そして亜紀のそばに座った。
「何、悲劇のヒロインやってんだよっ」
「輝・・・」
「そんなに好きか?公平の事」
「なんで知ってるの?」
「そんなの見てりゃ分かるよ」
「え?」
「この際さ・・・俺にしとけば?」
「え?」
「俺!いいよー!顔はイケメンだし公平と違って頭もいいし」輝は笑顔で亜紀に
話した。
亜紀は少し笑った。
「輝・・・」
「早く治せよ!」
「うん!」
輝は時計を見た。
「あ!やべ!塾遅れる!」
「秀才は大変ね!」
輝はベッドから離れて病室のドアの前まで行った。
「亜紀!さっき言った事!考えとけよ!」
「はは、分かった!考えとく!」
「じゃあな!明日も来る・・・あー明日は無理かも・・・また来るから!」
亜紀はうなずいた。




