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第十六 アパート
雪が公平のアパートに近づいてきた。
「はあっ、はあっ、よくこんな坂、毎日毎日上がるわね。さすがガキは体力
あるわ。」
そう独り言を言いながら雪は公平のアパートの階段を上がった。
「えーっと真野・・・あ・・・ここか。」
雪は公平の住んでいる部屋を見つけインターホンを押した。
ピンポーン
ガチャ
「ごめん亜紀。ほんと僕、熱があがってきたか・・・先生?」
「あ・・・小宮さんじゃなくってごめんなさい。ちょっと心配になって・・・」
「先生来てくれたの?」
「あ・・・ええ、どう?熱・・・高いの?」
公平はその場でよろけた。
バタン!!
「え?真野!!大丈夫??うわ・・・すごい熱じゃない!」
「あ・・・先生来てくれたから・・・急に力が抜けた・・・」
「ち・・・ちょっと入るわよ!」
「うん。あ・・・先生・・・物騒だから鍵・・・かけてくれる?」
「あ・・・分かった。」
ガチャ
公平の部屋のドアが閉まり鍵がかけられた。その様子を亜紀は見ていた。
亜紀の手は震えていた。
なんで・・・?公平・・・なんで私は入れてくれないのに先生は・・・
先生は部屋に入れるわけ・・・?
亜紀は泣きながらそう思った。
なんでよ・・・公平・・・
亜紀は涙を流し、よろよろと坂を下りて行った。




