第十四話 雨の日
キーンコーンカーンコーン♪
「はい!じゃあ今日はノートを提出してくださいね。後ろの人は集めてきて!」
「ゴホッゴホッ」一番後ろの席の公平は、少し赤い顔をしながら
持ってきた。
「何、真野は風邪?大丈夫?」
「あ、はい大丈夫ですよ!ゴホッ。」
放課後――――
雪はいつものように職員の下駄箱を出て帰ろうとした。
「あー凄い雨ね・・・」そう言ってカバンの中を探った。
「確か折り畳み傘が・・・あれ・・・うそ・・・えー最悪・・・」
「はいっ!」横から傘を広げて近づいたのは公平だった。
「真野?!またそこにいたの?!」
「うんっ!先生傘持ってるのかなーって思って!ゴホッ!」
「ええ・・・それが・・・折り畳み忘れちゃったみたいなのよね・・・確かいつも
ここに入れてて今日も持ってきたと思ってたんだけどな。」
「せんせーこの傘大きいからさ!僕が入れてあげるよ!」
「え?!い・・・いいわよ。真野は風邪ひいてるんだし、ひどくなったらどう
するのよ!それに教師が生徒に入れてもらうなんてありえないから。」
「なんで?」
「なんでって・・・」
「でも雨かなり降ってるし、なかなか、やまないよっ。ゴホッ」
「みたいね・・・」
「でもいいわ。あなたとは反対方向だし、この際濡れて帰るから。何処かコンビニにでも
寄って傘買うわ。」
「あ、じゃあそのコンビニまで。ねっ!僕はいいけど先生が風邪ひいて休んじゃったら
みんな困るでしょ?ゴホッ」
「ええ・・・まあ・・・そうだけど・・・」
「いいじゃん!ねっ!!」
「そう・・・?じゃあ・・・コンビニまでいい?」
「はいっ!」公平は笑顔で答えた。
公平の傘に二人で入り校門を出た。
「すごい風!!雨も段々強くなってるわね。」
「あ。先生濡れちゃうよ。」公平はそう言って雪が濡れないようにした。
「あ、だめよ真野!あなた風邪ひいてるんだから傘をもっとそっちに・・・」
「いいよ!大丈夫だからさ!」
「あ・・・ごめんね・・・真野・・・コンビニもうすぐだから。」雪は急いで歩いた。
≪ピンポーン≫
二人はコンビニに着いた。
「ありがとね!真野・・・あ・・・肩がすごい濡れちゃってる・・・ちょっと待って。」
そう言って雪はコンビニでタオルと傘を買い、そのタオルで公平の肩を拭いた。
「ありがと。タオルはあげるから」
「あ・・・ありがと先生。じゃあ僕帰るね。」
「え・・・ええ。ごめんね!風邪ひいてるのに・・・じゃあ気を付けて。」
「はいっ!じゃあ先生また明日!」そう言って公平は雪に手を振って
帰って行った。
なんだか今日はすんなり帰ったわね・・・いつもはラーメン、ラーメンってうるさいん
だけど・・・風邪ひいてるからかな・・・?
雪は公平の後姿を見ながらそう思っていた。
速足で帰る公平のバッグの中には雪の花柄の傘が入っていた。




