第百一話 暗い道
公平はめでたく退院した―――――――
キーンコーンカーンコーン♪
「先生!」
公平がまたいつもの笑顔で雪に話しかけた。
「何?」
「今日、あいつのお墓参りに行くから先生も後で来てよね!」
「え・・・?分からないわよ・・・今日は・・・」
「待ってるから。」
「あ・・・真野・・・!」公平は先に帰ってしまった。
雪は霊園の前にいた。
あーー来ちゃったよ・・・
「先生!」公平が雪に手を振った。
お墓参りをして、二人は霊園を出ようとした。
「あ・・・いつかの・・・」管理人が二人を呼び止めた。
「あれ・・・?今日は全く霊気が感じられない・・・もしかして・・・」
「はい。戻ったんです。」雪が答えた。
「そうですか!良かったですね。」
「ええ。本当に。」
「じゃあ!お幸せに!」
「え?」雪は驚いた。
「あれ?お付き合いなさってるんですよね?お二人は。私そう言うのも分かるんですよ。
それともこれからですかね。」管理人はにこやかに言った。
公平は雪を笑顔で見ていた。
雪は公平が見ていることに気付いた。
「ええ。あなたも。じゃあ・・・さようなら」雪が管理人にそう言って霊園を出た。
「ねえ真野・・・?」
「何?先生・・・」
「今日は歩いて帰ろうかな。送ってくれる?」
「いいよ。」
辺りは暗くなり、二人は前に通り魔に襲われそうになったあの人気のない場所を歩いていた。
「先生・・・?今日は怖くないの?この道・・・電球・・・まだ直ってないみたいだね」
「ええ。あなたがいるから大丈夫よ。」
「だけど・・・前もいたじゃん。」
「いたけど、人から見て一人でいるのと今とじゃ全然違うわよ。」
「あ・・・そっか。」
「黒帯のあなたとなら何も怖くないわよ。」
「そうだね・・・」公平は雪に微笑んだ。
「でも・・・やっぱり・・・手・・・繋いでくれる?」
雪は公平に言った。
公平はふっと笑い雪の手を握って歩き始めた。
雪が不意に立ち止まり、公平を見た。
「何?先生?どうしたの?」公平も振り返って雪を見た。
雪は公平に抱きついた。
「先生・・・?」
「真野・・・今日だけ・・・今だけ・・・こうしててもいい?」
「え・・・?僕はずっとこうしてたいけど・・・」
「だめ。今日だけ。」
「うん。」
「真野・・・」
「何?」
「あったかい・・・」
「え・・・?」
「知ってた?」
「何が?」
「あなた・・・生霊の時、ものすごく冷たかったのよ。」
「え・・・?そうなの?」
「ええ。季節が春から夏にかけてだったからまだ良かったんだけど、あのまま冬に突入したら
どうしようって。電気毛布とか買わないと一緒には寝れないって思っていたのよ。」
「そうなんだ・・・先生何も言わないから・・・知らなかった・・・」
「先生・・・?」公平が続けて聞いた。
「何?」
「僕の事好き?」
「ええ。好きよ・・・とっても・・・すごく好き・・・」
「じゃあ・・・キスしてもいい?」
雪はうつむきながらうなずいた。
そして、公平は雪にキスをした。




