第十話 職員室
「で・・・?どこが解らないの?」
「ここぜーーーんぶですっ!」公平は笑顔で言った。
「あ・・・うん・・・全部・・・良かった。いつもの真野に戻ってくれて。」
「いつもの真野??僕はいつもおんなじですよっ!」公平は雪に微笑んだ。
・
・
・
・
「もうこんな時間・・・そろそろ帰らないと・・・」
そこへ教頭が声をかけた。
「荒井先生・・・熱心ですね!」
「あ・・・本人がどうしてもと言いまして・・・」雪は答えた。
「二人とも熱心なのはいいんですがね・・・あまり特定の生徒だけを特別扱いって
言うのも・・・また他の保護者の方々に文句を言われると困るんで・・・」
「あ・・・はい。すみません。」
「授業の合間にちょこっと教えるくらいなら全く問題はないんですがねえ。」
「はい。」
「君・・・私も教師として勧めるわけではないんだが、塾なんかは考えていないのか?」
教頭は公平に聞いた。
「あ・・・塾・・・」公平は小さく答えた。
「あ、教頭先生、彼にはそれはちょと経済的に無理があるようなので・・・」
「そうか・・・」
「どうすればいいですか?教頭先生。」
「そうですねえ・・・彼を含め・・・成績があまり良くない生徒を集めて希望者には
補習授業をするくらいしかないですね。」
「そうですよね・・・分かりました。じゃあ真野!帰るわよ。これから彼の家まで送って
行きます。」雪は帰る支度をしながらそう言った。
「あ、そうですか?ではよろしくお願いします。荒井先生。」教頭は二人を笑顔で
見送った。




