恋は盲目(1)
ゲイル目線回となります(*´꒳`*)
ツバメを見に来たところまでは良かった。アルエットもはしゃいで喜んでいたし。何より今日は二人っきりになれる時間が多く、沢山アルエットを感じる事が出来たのが嬉しかった。歯止めが効かない私の愛を必死に受け止めて、応えてくれる姿がいじらしく愛おしい。出来ることならこのまま領地まで連れ去り囲って独り占めしてしまいたかった。
しかしハワードが来たあたりから少しずつ流れがおかしくなり、せっかくアルエットとデートに来たのに……何故か試合をする羽目になってしまった。いや、私がハワードに苛立って仕掛けたのだが……私のアルエットにちょっかいを掛けるハワードが悪い。アルエットの近くを男が彷徨くだけで苛々が止まらない。
チラリと横目でアルエットの様子を伺うと、再びツバメ観察に夢中になっている。初めは熱心に私を見てくれていたのに……このモヤモヤした気持ちはツバメに対する嫉妬だろうか?
「おい、よそ見する余裕あるのか?」
少し視線を外した隙を狙って打ち込まれる一太刀。キンッと高い音をたて剣同士が交わる。
「アルエットちゃんだっけ? ゲイルが剣を交える相手に集中していないなんて相当だな。戦闘中に気を散らせてまで何を考えていたんだ?」
再び深く攻め込まれるがそれを軽く受け止め流し、思わずため息をついた。
「……アルエットが全然見てくれない」
私だって鳥なのに。正体を告げればあのキラキラした瞳を、人間の私にも向けてくれるのだろうか。私が鳥の時にくれる極上の笑顔を振りまきつつ、こちらから抱きしめなくとも近寄ってきてくれるのだろうか? もう大声で秘密を告げてしまいたい。しかし、正体を告げることで、鳥の時にさえどこか遠慮したような表情を見せるようになってしまったらと思うと……怖くて告げられない。折角鳥の姿の時には深い愛情を向けてもらえているのに、それすら貰えなくなってしまったら……。
思い出すのは昨夜部屋に忍び込んだ際に見た姿。よく寝ていると思い鳥の姿のまま枕元に降り立ち寝顔を眺めていたら、突然まんまるの瞳を覆う瞼が半分程開き、トロンとした顔で見つめられた。幼い作りの顔には不相応な艶のある表情に当てられて、寝ぼけているから大丈夫だと心の中で言い訳しながら頬を寄せると……私を優しく両手で包み「大好き……」と、怪我をした時にアルエットの部屋で貰ったのと同じ言葉をくれた。この愛を人の姿の時に受け取れるのはどれ程先になるのだろう。
いくらこの腕を鳥籠のようにして閉じ込めても、いくら貪るように愛しても、全然足りない。アルエットからの愛が欲しい。
「は? やっぱりお前、婚約者にいい格好したかっただけかよ。鳥籠姫が鳥以外にそこまで興味持つわけないだろ。……お前、今鳥じゃ無いんだから」
トマス・ハワードは、私の能力を知る数少ない一人だ。同じくハワード伯爵家の嫡男であるという立場と、彼も能力を持つという点で一緒に仕事を組まされる事が多い都合上、お互いの能力は知っておかないと困る。
「──鳥籠姫?」
「お前それも知らずに婚約したのかよ。本当に何がきっかけで惚れたのやら……。鳥好きで鳥籠を持って社交の場に出る上に、本人も鳥籠の中の鳥のように領から出ない。外見のせいで一時殺到した婚約話もカメリア子爵が絶対に許さず本人には知らせもしない。中には幼女趣味で有名な侯爵家次男からの申し込みも混ざっていたらしいが……それすらどうにかして話を捻り潰す姿がまるで嫁がせる気が無いようで、鳥籠の中の鳥のようだと」
だから鳥籠姫と一部では言われているのだと、剣を打ち込みながら情報をくれるハワード。
次回もゲイル目線回です。
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