愛が重い(1)
二度目のお茶会に誘われ、ご要望通りプレゼントされたオレンジ色のドレスを着て訪れた、王都にあるクレセント伯爵邸。今回は双眼鏡有りで道中のバードウォッチングを楽しみ、いざ到着してみれば門の前に陣取り待ち構えていた大柄の男性。
(まさかゲイル様、また自らお出迎えに?)
マナー違反というわけではないが、通常は門の前で待ち構えるような真似しない。さっとカバンから手鏡を取り出して、髪などに乱れがないか慌てて確認する。その様子を見たメアリが小さく溜息をついたが、私にはその意味はわからなかった。
馬車の行者とゲイル様が何やら話している声が聞こえ、ノックの後に馬車のドアが開く。
「アルエット、よく来てくれた」
差し出される手。馬車から降りる所からエスコートしてくれるという事だろうか? 顔は相変わらず怖いが、行動は優しい。きっと根は優しい人なのだ。
「ゲイル様、ありがとうございます」
視界外からメアリの不機嫌なオーラを感じ取るが、とりあえずそちらはスルーしてゲイル様の手を取る。
馬車のドアをくぐり地面に足を着ける……はずだったのに、足の裏は地面に着くことはなく。以前と同じように掲げ上げるようにして軽々と抱き上げられてしまう私の体。
「やはりよく似合っている。アルエットは明るい色が似合うな。……あぁ、靴も履いてくれたのか。サイズを間違えていなかったようで安心した」
すぐさま全身チェックされる。どちらでサイズをお知りに? とは聞く勇気がなかった。
「沢山の贈り物、ありがとうございました。どれも可愛くて、私には勿体ないような物ばかりで」
「婚約者に物を贈るのは当然だ。私からの愛の重さだと思って、私を拒絶するつもりが無いのなら、今後も全て受け取ってくれ」
「気兼ねしてしまうので控えていただけると嬉しいと」言おうとしたのに、先手を打たれてしまった。
「で、でも、お金がかかりますし」
仕方がないので、ストレートに気兼ねする理由をお伝えする。気の利いた言葉で言えない自分が情けない。きっと私のようなお転婆令嬢ではない貴族らしいご令嬢であれば、上手い言い回しでお伝えできたに違いない。
「うちの家はあれくらいで傾くような財政はしていない。それにアルエットへの贈り物は私の私財から出していて、むしろ今まで軍の褒章や給金として貯まる一方だったのをやっと使えると思うと、嬉しいくらいだ」
「え……私財? ゲイル様のポケットマネー……?」
「あぁ。金はある程度市場に回さなければ民の生活が潤わないというのに、今まで使う場面が無く歯痒い思いをしていた。私と民の為を思うなら、貰ってくれ。経済の循環のために必要なことだ」
そう言われると拒否出来ない。
子爵家は軍から支給されるお父様の給金も領地の運営に回されていた。それを丸々私財にして傾かないような立派な領地経営が出来ているのは素晴らしい事。クレセント領は辺境の地という事しか知らないが、何か特産品などがあるのだろうか? 結婚するまでの間に、ちゃんとクレセント領について勉強しなければならない。
「無駄使いではない範囲内でと、お約束いただけるのであれば……」
「アルエットに関して無駄な出費など何一つ無い」
(あ、これ話し合っても永久に平行線なパターンですね?)
プレゼントに関してはゲイル様の気が済むまで、しばらくは何も言うまい。私はそう心に決めた。
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