第五章・光をもたらす者
夜が更けた頃、洞窟に美しい男が火を手土産に持ってやって来た。
男がアダムに言った。
「今夜、ここに泊まらせていただけないだろうか。」
アダムは泊まることを了承した。
男は洞窟に持ってきた火を置いた。
アダムは男に聞いた。
「この、熱く、温かく光る物はなんでしょうか。」
男はアダムに言った。
「これは、神からの贈り物の火です。夜を照し獣から護る物です。泊めてくださるお礼です。」
アダムは男に感謝を述べた。
アダムは男になぜここに来たのか聞いた。
男は懐妊を祝福しに来たと言った。
男はアダムに言った。
「夜も長いので、親になる二人に親について話そう。」
アダムは、男に親とはどうゆう物なのかを聞いた。
男はアダムに言った。
「母とは広く深い海だ、父とは高くそして地上を護る空だ。」
アダムは男になぜ母とは海なのかを聞いた。
男はアダムに言った。
「海は生命を産み、育てそしていかなる時も迎え入れてくれる。そしていかなる時も温かく恵みをもたらす。それが母性だ。」
アダムは男に父とは空なのか聞いた。
男はアダムに言った。
「空は時に厳しく、時には優しくしかし、地上に住むものを見守っている。そして、この地上の外側で、地上と海を護っている。それが父性だ。」
アダムは男に言った。
「父母が空海なら、地上はなんでしょうか。」
男はアダムに言った。
「陸は父母なる大地、空に護られ、海からは温かく見守られ生命が育つ大地だ。そして、空海から恵みを受け生命が育つ子なる大地だ。」
アダムは男に言った。
「なるほど、この地平線が広がる大地は我々のようなものなのですね。」
男はアダムに言った。
「そうだ。子なる大地は様々な生命が育ち繁栄した。次は、貴方達、人が育ち繁栄する番だ。」
曙の空になり、男がアダムに礼を言い出ようとした。
アダムは男に名前を聞いた。
男はアダムに言った。
「私は、ルシファーと言います。私の存在は明けの明星です。」
男は名を名乗り出ていった。