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猫を飼って知ったこと

 猫を飼って知ったことは色々ある。

 そして、増えたことも多い。

 例えば、悲鳴があがることが多くなった。

 今日も今日とて、母の悲鳴が上がった。


「くぁwせdrftgyふじこlp!!」


 そんな、意味を持たない母の悲鳴と言うか奇声があがった。

 そして、すぐに、


「お姉ちゃん!!お姉ちゃん、ちょっと来てーー!!!!」


 泣き声で、母は姉を呼んだ。

 姉がだるそうに、部屋の戸をあけて母に返す。


「なーにー??」


「いいから、ちょっときて!!」


 母のヒステリックな呼び掛けに、姉はタン、タン、とゆっくり階段を降りて行った。

 そして、


「キエェェェェェッッッ!!!」


 という、姉の悲鳴もあがった。

 今日はなんだろ?

 この前は、テーブルに出しておいたオカズが、皿ごと床にひっくり返されぐちゃぐちゃに散らばっていた。

 犯人は、おはぎである。

 おそらく今日もなにかしらイタズラをしたものと思われた。


「おはぎーーーー!!!!」


 悲鳴のあとに、姉がガチギレした声をあげる。

 相当キレている。

 もしかして、姉のお気に入りの服に粗相でもしたのだろうか?

 姉の怒声のあと、ダダダダダと階段を駆け上がってくる猫の足音が聞こえた。

 あたしは、興味がわいたのでちょっと様子を見ようと扉をあけてみた。

 すると、飼い猫の黒猫、おはぎと目があった。

 おはぎは、あたしと目が合うと、その目を丸くしてかたまった。

 まるで、【あ、やべっ!!】という表情をしているようにみえた。

 そして、あたしにも怒られるかと思ったのか、さらに逃げようとする。

 しかし、階下にはガチギレした姉がいるから、【うわぁどうしよう】と困ったようにその場をうろうろし、やがて、甘えた声を出してこちらにやってきた。

 かと思うと、あたしの部屋に入ってきた。


「あんた、なにしたん?」


 試しに聞いてみる。

 すると、なにやらすっとぼけた顔で、おはぎは【みゃあ♡】と甘えた声で鳴いたのだった。

 そして、ごろんっと身体を横たえて寛ぎはじめた。

 餌はないのに、おはぎはなぜか舌なめずりしている。

 その答えは、夕飯のときに判明した。


「こぉんな!!どデカいドブネズミ捕まえてじゃれ殺してたの!!」


 そう説明したのは姉だった。

 いや、さすがに三十センチ近くあるドブネズミはいないだろう。

 その大きさだと、もうお化けネズミだ。


「お母さん、自分で始末すればいいのに出来ないからって私に泣きついてきたんだよ!!??」


 噛み傷以外は綺麗なものだったらしい。

 古い家だから、ドブネズミくらい出るのはデフォだ。

 しかし、大きさは盛ってあることを差し引いてもネズミの中でも大ボスを、おはぎは捕まえたことになる。

 お手柄と言えるだろう。


「いや、さすがに、あの大きさはねぇ」


 母は苦笑した。


「ていうか、お父さんが片付ければ良かったんだよ!!」


 父は、無責任な笑みを浮かべていた。


「出来るやつがやればいい」


 その一言に姉がブチ切れたのがわかった。

 これ、今度また死骸を見つけたら父の布団の上にでも放置するかもしれない。

 ちなみに、大ボスをじゃれ殺した張本人はというと、そんなことは何処吹く風とばかりに、餌をガツガツと平らげていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大抵父親が言い出しっぺで飼い始めると、世話をしないで甘やかすだけなのはよく有ることだわな。 うちもそうやったで(小型犬二頭・猫一頭・インコ三羽)
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