第35話:依頼の旅【前編Ⅱ】
チャタルさんが今回の町を繁盛させるという依頼の理由は、今回の寒気が酷く、木材を大きく刈ってしまい場所が余っているそうだ。
また、苗を植えてもいいが、どうせなら町を繁盛させようという事になったそうだ。
だが、俺の脳は町を繁盛させるほどの知識とアイデアはない。
とりあえずチャタルさんには「やるだけやってみる」と伝え、宿の部屋に戻った。
「どうでした?」
「町を繁盛させたいっていう依頼だったよ」
「何か案でもあるのですか?」
クリハに言われて、ぐさりと体のどこからか刺さる音が聞こえてくる。
「だから、考えているんだ」
「んー、冒険者協会と新しい宿を立ててはどうでしょうか?」
「それも考えたが、それだけじゃ足りないんだ」
なんせ、範囲は3k㎡以上あるそうだ。冒険者と宿を立てただけでは半分以上は余る。
今になって、最近登録したばかりの俺がランク昇格できる理由が分かった。
「なら、訓練場も付けてはどうでしょう」
「まだ欲しいな」
「食事処を増やしてはどうでしょう。ご主人様が知っているメニューを提案して」
「それも良いが、食材が足りないと思う」
「なら、よ、夜の営みとかどうでしょうか」
「それは良い!男なら立ち寄らずにいられないな!」
そう言ったときに気が付いた。調子に乗りすぎた、と・・・・・・。
「ご主人様はエッチです」
「すいません」
クリハは頬を膨らましてそっぽ向く。
完全に怒っている。まんまとクリハに試された俺はどう言い訳しようが考えたが、何も思いつかない。
起こっている女の子はおいしい食べ物や、デートをして機嫌を取るものなのだが、この世界にそんなことが出来る場所はない。
ない・・・・・・。あれ?これ、使えるじゃないのか!
俺はそうひらめくとどんどん案がわいてくる。この世界に無いからこそ、俺の普通のアイデア力が発揮することが出来る。
この町をデートスポットとし町を繁盛させる。
そうと決まれば、まず設計を取ろう。
俺は魔法スキル、マップを開き創作魔法を重ねて設計をイメージで組み込む。
マップには俺がイメージした図が書き込まれていく。
さっきまで頬を膨らましていたクリハは気になったようで設計図を覗き込む。
「クリハ、木材を用意してくれ」
「分かりました」
クリハそう言って部屋を慌ただしく出て行った。
その様子を手に沢山の袋を持ったロビンが部屋の外で見送る。
「さっき、クリハが急いで出て行ったけど、って何だこれ!」
ロビンはクリハの後ろ姿から俺の設計図に目を移した瞬間そう叫ぶ。
「これ、全部タクミが考えたのか?」
「俺の故郷ではこんなのどこにでもあったよ」
どんどん細かく書き込まれていく設計を見てロビンは関心の声を漏らす。
「ロビン、ここから80mくらい上の景色を見てくれないか?」
俺はそう言いながら、カメラを渡す。
「何だこれ?」
ロビンが数あるボタンの中から一つを押す。その押したボタンが電源ボタンだったみたいでレンズが出てきた。
「何だこれ!どうなってるんだ?目の前の景色が映ってるぞ」
俺はカメラを録画モードにして、録画を開始した。
「これをもって上で周囲の景色を見渡してきてくれ」
「おお、行ってくる!」
そう言って今度はロビンが慌ただしく部屋を出て行った。
窓から・・・・・・。
こうして順調に設計図が完成していく。
完成した設計はクリハが持ってきてくれた木材で紙にして念写し、魔石作りで余った石に無属性魔法、創作魔法、3D設計を付与して、設計をさらに組み立てていく。
そうして出来上がった、設計図は俺が思ったどうりに完成した。
俺が考えたのは、遊園地だ!




