表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪魔の五千円札

作者: 伊燈秋良

 まず初めに2つ。


 1つ。読んでくれてありがとう。お時間を割いて頂き感謝する。


 2つ。あなたは〝悪魔の証明〟をご存じだろうか? 大まかに説明すると「存在しない事を証明せよ」というものだ。この問題は、とても難易度が高いとされている。どれ位難しいかと言うと、数学の世界で最も難しいと言われた問題〝フェルマーの最終定理〟もコレに含まれるのだ。


 一見すると簡単に見える悪魔の証明。何故難しいのかというと、証明とは本来、存在するものを公開して確定させる事を指し、無い物を証明するのは矛盾なのだ。


 未確認生物のツチノコは絶対に存在しないと証明する場合、手元にいないからといって決め付けられず、世界の何処かにいる可能性があるのだ。さながら、絶滅した生物が再発見されるかの様に。


 本題に入ろう。先日、僕は薬を薬局で買おうとした。テレビ台に置かれた処方箋と支払い代金の五千円札をポケットに入れて家を出た筈なのだ。


 薬局に着いた僕は処方箋を渡し、用事を1時間程済ませて受け取りにいった。薬は在庫切れで受け渡しは後日になったが、もう1つ、問題に気付いた。


 五千円札がポケットに無いのだ。「失くした!? 落としたか!?」と思い、薬剤師に尋ねるも落し物は無し、来る道中も帰路に就く傍らで探したが無かった。


「もしや持ったと勘違いして家に忘れた?」


 僕に疑問が過った。上記の様に持ち忘れる事は何度もあった。書類、カードetc。希望を抱いて家に着きテレビ台を見ると、五千円札があった。嬉しいのは確かだったが、同時に疑問を抱いた。


この(・・)五千円札は本当に忘れたあの(・・)五千円札なのか?」


 諸君も財布の中身を見てくれれば分かるが、貨幣は複数存在する。故に個別認識が出来ず、困惑する羽目になってしまった。


 原因は単純に怠慢してたに限るので、対策について考える。


 対策は3つ。


 1、そもそも落とさない。

 ポケットにそのまま入れず、財布等を活用する。因みに愛用は長財布なので使い勝手が悪いので、マネークリップを欲しくなった理由になった。地元で売ってないので今はお古の小物入れを使っている。


 2、手荷物の確認。

 再度の確認による記憶力の向上は科学的に証明されている。行く直前や、道中で見れば、あやふやな気持ちにならなくて済むだろう。


 3、目印を付ける。

 判別がつかないから困惑をするのなら、出来る様にすればいい。ナンセンスだが貨幣に目印があれば、その有無で判別がつくだろう。

 因みに、この方法は貨幣――紙幣自身が既に行っている。端にあるナンバーがその目印。銀行等の団体では、コレを頼りに他の紙幣のナンバーを確認して欠落を確認すれば無い事を証明出来る。


 ――お気付きだろうか。実はこの方法、ちゃっかり悪魔の証明を実現してるのだ。勿論限界がある。ナンバーの範囲も限られる。世界規模で確かめれば労力の問題で不可能であり、無いのもその場限定で言える事で、完全に存在の有無を確かめられない。棚の裏にある可能性もあるのだ。


 あるかもしれないし、無いかもしれない。さながらシュレディンガーの猫である。


 終わりに2つ。1つ、最後まで読んでくれてありがとう。

 2つ、電子マネーのありがたみを感謝したい。

五千円札は、個人的には失くしてないと思う事にしている。精神衛生的にも良いからだ。


ちなみに本日、ばら売りで欲しい安い中古のトレカのカードがあって探し回った。無かったので、止む無く高いのを覚悟でまとめ買いの新品を購入した。1300円だ。


開封して中身を確保し、安堵して外食をする最中「通販サイトで検索すればあるのでは?」と不意に気付いて検索したらあった。100円。しかも翌日配送。


今回の事例と違って、確実な千円の損失である。


僕はげんなりした。


つまり、僕はこういう詰めの甘い人間なのである。悲しいなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 後書きの詰めの甘さが、私にもよくある事で素直に笑わさせて頂きました。 私としてはそういう時の言い訳は、手に入れるまでの時間を買ったからセーフ理論を使ってます(アウト) [一言] なくしたと…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ