表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

「反省はしているが後悔はしていません」

「早く起きなさい」

「うーん、あと五分ーー」

「ではあと五分で爆発する奇跡を枕に与えます」

「それ五分寝れなくないですか?」

「ツッコミ所そこですか? というか起きてましたか」

「寝たふりしてたら女神様がキスしてきたりしないかなと思いまして」

「そういうアニメありましたね」

「それでどうしたんですか? いつもは朝食まで起きない女神様が」

「言ったでしょう、温泉に行きます」

「あれ冗談じゃなかったんですね」

「女神としてのお仕事です」

「女神様がやる気だ、目が輝いている」

「あれです、アタミに行くのです」

「アタミですか、温泉といえばという感じですね」

「そこでこれをーー」

「何ですかそれ?」

「石鹸にタオル、女神印のシャンプーです」

「売るのですか、どんな効果があるので?」

「どんな汚れも落ちて綺麗になります」

「あぁ女神様が作るとそういう効果が?」

「水の女神なんかが作るとそうなりますね」

「おや、女神様は確か転生業務をしていたような」

「なので私が作ると市販のシャンプーになります」

「とんでもない詐欺が起ころうとしている」

「これを元手に更なる事業への展開です」

「既にキャリアステップまで用意されてる」

「女神の恩恵がある温泉として大々的に売り出します」

「無表情なのに目だけが輝いている、かわいい」

「株式会社女神組」

「そこはかとなく漂う胡散臭さ」

「信じるものは救われるーー汝、女神を崇めなさい」

「宗教と化してる」

「これを使えばあなたもモテモテ、国内でも三十億人が使用しています」

「国内の人口をゆうに超えている明らかな嘘」

「ちなみに温泉には少しだけ意識の混濁する液体が入っています」

「女神様がダークサイドに堕ちようとしている」

「温泉の管理人には話をつけていますーー断れば次の転生で男湯のお湯に転生させると」

「既にダークサイドに堕ちていた」

「人聞きの悪い、これは立派なビジネスです」

「それでは俺は女神様の残り汁をーー」

「どうしようというのですか?」

「怖い怖い怖い、落ち着いてください女神様、ビジネスですよ」

「聖水として売り出すと?」

「よく分かりましたね」

「わからいでか」

「まぁ残り湯ならいつも確保できているのでーー」

「今なんと?」

「ここなんてどうですか? 海沿いの旅館で一泊二日」

「今何と言いましたか? 返答次第ではーー」

「女神様って大事なところでガード緩いので心配なんですよね」

「認めましたね、というか誰が緩いですか」

「いいじゃないですか、夫婦みたいなものですし」

「夫婦でもドン引かれる暴挙ですよ」

「それは置いておいて」

「置いておけるはずないでしょうが、この家にある水分を蒸発させます」

「それって人間の体内の水分はどうなりますか?」

「一滴残らず無に帰ります、転生のお時間ですね」

「すいませんでした反省しています申し訳ありませんでした」

「謝罪が早い、しかも土下座って」

「俺の育ての親が言っていたんですよーーやるなら存分に後悔だけはするなって」

「それを聞いたあなたが暴走し、帝国の財源である金鉱山を爆破したのは何度目の人生でしたっけ」

「あれ、そんなことありましたっけ?」

「育ての親も育て方を間違えたと言って号泣してましたね」

「後悔だけはするなってやつですね」

「もう同じことは言えないでしょうね」

「全く困ったものです」

「まぁ私には関係ない不幸なのでどうでもいいですが」

「さすが女神様、スーパードライ」

「露天風呂でグビっとするのもいいですね」

「そっちじゃないです女神様」

「では私は準備をしてくるので予約をお願いします」

「それでは部屋は一緒でベッドは一つでいいですかね」

「なにがそれではですかーー部屋は別々、私は布団派です」

「ちょっと違うところも突っ込まれましたね」

「二泊三日は欲しいです」

「じゃあ帰宅は明後日ですか」

「そこから旅館を梯子します」

「そんな飲み屋みたいなーーではでは予約っと、出来ました」

「それじゃあ早く準備しなさい、さっさとしないと置いていきますよ」

「いつもながら理不尽ですねーーそれじゃあ防水カメラと暗視スコープを」

「どうするのですか変態、それをこちらに寄こしなさい」

「安心してください、女神様以外を撮る気なんてありませんよ」

「それが問題だと言っているのです」

「あっ、カメラが突然爆発した」

「奇跡を与えましたーーそれではレッツゴーです」


◇◆◇


ガタンーーゴトンーー

「えーお次はヨコハマ〜ヨコハマ〜」

「何をやっているのですか」

「電車に乗ったらやりたくなりません?」

「それでもやらないのが普通の人です」

「溢れ出る天才オーラは抑えられません」

「違います、変人だと言っているのです」

「そういえば電車に誰も乗ってないですね」

「女神パワーでちゃちゃっと別の車両に乗せました」

「ここまでの電車に誰もいなかったのも」

「私がやりました」

「でも女神様、そんな力なんてありましたっけ?」

「この意識が混濁する液体でーー」

「おっと、まだ隠し持っていた」

「反省はしているが後悔はしていません」

「後悔もしてください」

「冗談です、普通に交渉しました」

「それはつまり俺との二人旅がしたかったと」

「最後はあなたの番です」

「しっかり邪魔者に含まれていた」

「それでは歯を食いしばってーー」

「しかも俺だけ物理で追い出されようとしているーーうっ」

「そろそろ効いてきたようですね、昼食に混ぜていた痺れ薬が」

「悪役のセリフだ」

「安心してください、仲間たちもすぐにあなたの元へ送ってあげます」

「悪役のセリフだ」

「そして私が新世界の女神になる」

「既に女神様では?」

「忘れてました、それで次の転生先は何がいいですか?」

「どさくさに紛れて亡き者にしようとしている」

「まぁなりきり悪役ゲームはこれくらいにして」

「なりきりなのに痺れ薬まで盛られました」

「なりきりですから」

「それにしても女神様、アタミまでゲートを開けば一発じゃないですか。どうして電車を?」

「分かってませんね、こういうのは風情が必要なんです」

「というと?」

「こうして苦労して旅をして、その場その場の食べ物を食べる」

「駅弁が山のように積んでありますね。それと苦労とは一体」

「様々な人たちと触れ合い助け合い、心の温かさを知る」

「その人々がまとめて除外されてますね」

「そうして苦労した先で入るお風呂は格別でしょう」

「俺の突っこみはガン無視でしたね」

「帰りは面倒なのでゲートを開きます」

「風情が光の速度で駆け抜けていった」

「もうそろそろ着きませんかね」

「早くも旅に飽きてきている」

「では寝ますので着いたら起こしてください」

「では俺もお隣失礼してーーはっ、体が痺れて動けない」


◇◆◇


「なかなか良さそうな宿ですね、部屋も広いし景色も綺麗」

「こう見えても旅通で通ってますからね」

「異世界転生を旅みたいに言わない」

「まぁベテラントラベラーなので任せてくださいよ」

「トラベル先の国やら文明やらが滅ぶ寸前までいってますけれどね」

「それでは女神様、まずは露天風呂から行きますか?」

「何を当たり前のように先導しているのです」

「だって道案内が必要でしょ?」

「何ですかその澄んだ瞳は」

「あ、お背中流しますよ? 着替えもお手伝いします」

「何で従者との会話みたいになってるんですか」

「バレましたか」

「全く、油断も隙もないーーそれでは私はお風呂に行ってきます」


◇◆◇


「ふー、やっぱり広々とした温泉で手足を伸ばせるというのは良いですね」

「これもまぁ吉田さんのおかげと思えば感謝の気持ちもーーあまり湧かないのは何ででしょう」

「それにしてもあの人は何でこう、セクハラじみた事ばかりーー」

「昔から飄々とした態度でーー本気で口説いているのか分からないから反応に困るのです」

「ーー少し浸かりすぎましたね。のぼせる前に上がりましょうか」


◇◆◇


「おや女神様、湯加減いかがでしたか?」

「なかなか気に入りました、褒美を与えましょう」

「それでは娘さんを私にくださいーーってあれ、女神様顔が赤いですよ?」

「ーーのぼせたみたいですね、少し涼んだら食事にでも行きましょう」

「駅弁を少なくとも八つは平げいていたはずでは」

「あれはオヤツです。オヤツと晩御飯は別物に決まっているでしょうが」

「何を怒られているのか全くわからない」

「それまでは適当に話でもしてください」

「そういう事であれば、そうですね・・・あぁそういえば」

「何かありましたか」

「以前ーーちょうど二話くらいで話に出た町内会長ですが」

「二話とは何の話でしょうか」

「そこは気にしない方向でーーそれで町内会長ですが、なんと隣町に引っ越してしまいました」

「でしょうね」

「野球大会では敵同士になってしまうがお前たちのことは忘れないと」

「たぶん敵として叩き潰そうとしていますね」

「別れ際には号泣しながら握手していましたね」

「嬉し涙でしょうね」

「俺たちはそれから元会長の意思を継ぐために猛特訓を始めます」

「元会長がいるうちにやっていれば元会長は今も会長のままでしたけどね」

「そしてなんと前年準優勝チームを練習試合で下すまでに成長」

「元会長が哀れすぎる」

「喜びのあまり発狂していましたね」

「怒り狂ってませんでしたか?」

「俺たちはそこで止まらず、隣町の選手をスカウトしました」

「隣町って確か元会長の引っ越し先」

「さらに強いチームを作りたい、という熱意に根負けしてレギュラー陣が丸ごとこちらに引っ越し」

「元会長は血の涙を流していませんでしたか」

「恩人である元会長には俺たちの想いを伝えに行きましたよ」

「向こうからしたら一族の仇みたいな奴が宣戦布告してきたように感じたでしょうね」

「やる気だけではなく、選手まで出してもらってありがとう、と」

「計算で煽っているのか天然で煽っているのか、どちらにしろヤバい奴です」

「とまぁこんな近況報告ですがいかがでした?」

「試しに聞いてみましたが中々続きが気になりました」

「では続報があればまたーーそれでは食事処にでもいきましょうか」

「食べ放題を所望します」

「雰囲気は一切出ないけどーーまぁ女神様が喜んでくれるならいいですかね」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ