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「かもしれない主張」

ストックあったのでこれも投稿しちゃいます。

ぶっとんだ勇者のほうは8話投稿しました。


それではお楽しみを、感想・評価・ブックマーク待ってます!!

「お待たせしました」

「終わりましたか」

「はい、生活で必要な日用品はこの通り」

「買い物カゴに荷物がどっさり」

「残るはベットのみです」

「あれ冗談じゃなかったのですか」

「私は冗談を言わない主義です」

「リビングに置くというのも」

「私は冗談を言わない主義です」

「あれでも少し前に段ボールを担いでいけと」

「実は神界で使われる"主義"とは"かもしれない"という意味なのです」

「明らかにいま作ったような」

「そんなことはありません」

「では神界での完璧主義とは?」

「完璧かもしれない」

「急に自身が無くなった。では主義主張とは?」

「かもしれない主張」

「曖昧すぎる。ではエゴイズムは?」

「エゴイかもしれない」

「ツンデレですかね」

「このように神と人では常識が違います」

「では今度会ったら創造神様に聞いてみます」

「ただこの常識を知っている神は限られます」

「おっと。ではどなたが知っているのでしょうか?」

「私の知る限り私だけですね」

「やっぱりいま作ったんじゃないですか」

「そう主義」


◇◆◇


「ということでベット売り場です」

「ふむ、ではとりあえず軽く見てみましょうか」

「いえ、その前に案内人を探そうかと」

「案内人ですか」

「はい、この時間帯なら」

『あら、吉田さん?』

「ちょうど良い所に。これは新田さん、どうもお久しぶりです」

『えぇ以前にベットを購入しに来て以来ですね』

「吉田さん、彼女は?」

「この方は新田さん、ベット売り場を含めたここのフロアオーナーです」

「なるほど、つまりこの方に案内してもらおうと」

「そういうわけです」

『吉田さん、この方は?』

「彼女は少し前に我が家へやってきた従妹のーー」

「転生の女神です」

「俺の配慮が吹き飛ばされた」

『なるほど、転生の女神さんですか』

「なるほどで流された」

「呼びづらければ女神だけで構いませんよ」

『では女神さん、と』

「それでは顔合わせも終わったようなので案内をお願いできますか?」

『いいですよ、ではこちらへ』


◇◆◇


『それではおすすめ商品の紹介です』

「はい」

『こちらのダブルベットはーー』

「ちょっと待ちなさい」

『なんでしょう?』

「なんでしょうではありません。なぜ今ダブルベットの紹介を?」

『一緒に住んでいるのですよね?』

「まぁそうですが」

『お客様は女性ですよね?』

「どういう意味でしょうか」

『他意はありませんよ。ただ異性で同じ家に住んでいますよね、という確認です』

「まぁそうですが」

『つまりは恋人ということですよね?』

「はい、その通りです」

「そこちゃっかり便乗しない」

「これはチャンスかとつい」

『おや、もしかして違うので?』

「当たり前です」

『ふむ、そういうことであればおすすめの商品を変えましょう』

「それでお願いします」

『ではこちらへ』

テクテクテク

『それではシングルベットの紹介です』

「待ってました」

『まずは木目の模様でインテリアとしても楽しめるベットフレーム』

「ふむ、いい感じですね」

『見た目は木ですが、中身は人間工学に基づいた最新技術により睡眠状態に合わせて常に最適な角度を保ちます』

「それはすごい」

『さらにこの機能はタイマーにも対応していて目覚まし代わりにもなります』

「朝食の準備があるのでそれは助かります」

「準備の準備では?」

『お次はマットレス、サーモグラフィーをリアルタイムに解析することで常に最適な温度を保ちます』

「それはすごい」

『夏場は涼しく冬場は暖かい、この快適さはきっとあなたを虜にするでしょう』

「布団から出たくなくなりますね」

「サラリーマンに売ったら犯罪になりそうですね」

『そして最後にーー』

「これは期待が高まります」

『このベットは二つ合わせると合体します』

「おっと期待が急降下」

『その名も変形合体ダブルベットマン』

「結局ダブルベット」

『商品設計は睡眠研究のパイオニアことスリーピンさん』

「誰ですかそれ」

『ですから睡眠研究のーー』

「それの説明をお願いします」

『それでは経歴でも』

「そうですね」

『彼はわずか十歳で睡眠にハマって以来、小中高と昼寝を繰り返し大学では睡眠学を専攻して二十四歳で卒業します』

「途中昼寝しかしてませんね。そしてちゃっかり留年している」

『卒業後は世界の睡眠を見てみたいと海を渡り二泊三日で帰宅』

「ただの小旅行ですね」

『その後は数年、実家で睡眠の研究に(いそ)しみ』

「それ親のすねかじっているだけでは」

『その際にネットで出会った女性に勧められ、より良いベットを研究しているというわけです』

「どれ一つ取ってもまともな経歴が無いですね」

『それでどうでしょうか私の作ったベットは』

「あなたがネットの女性でしたか」

『"目の覚めるような睡眠"をコンセプトにしているのですが』

「そこはかとなく矛盾を感じる」

『敵を感知すると辺りを一瞬で火の海に変えます』

「快適さは?」

『人間工学に基づいた柔軟さで近接戦闘もばっちり』

「睡眠は?」

『両手には捉えた的を一瞬で蜂の巣にするガトリング搭載』

「手が生えてる。スリーピンさん世界征服でもする気でしょうか」

『それはありませんよ。なぜなら私は彼の"睡眠で世界を平和にしたい"という呟きをネットで見て協力したいと思ったのですから』

「そうなんですか、その人なりの考えはあったようで」

『安全装置として彼しか制御できない端末を搭載しているくらいですからね』

「黒幕の予感しかしない」

『最近は"効率的に人間を支配する方法"という本を読んで勉強もしているのです』

「そして危険思想。というかそんな危険物よく売り場に置けましたね」

『えぇ苦労しました』

「どうやって説得したのでしょう?」

『なんとか一つだけ運び込むことができて』

「店員さんこっちです」


◇◆◇


「先ほどは酷い不良品を買わされるところでした」

「まぁ結局普通のシングルベットも売ってくれましたし」

「一応それが当たり前の対応なのですが」

「それで次はどこへ行きますか?」

「とりあえず後は衣類が揃えられればいいです」

「それは下着なども」

「含まれますがあなたは外にいてください」

「でもうっかりたまたまやんごとなき理由で店内にいたら」

「本当にそんな理由があるなら仕方ありませんが」

「やっほい」

「後日嘘が発覚したらあなたの眼球を下着にします」

「女神様のファッションセンスが壊滅的な件」

「そういう意味ではありません。あなたの眼球の代わりに下着を詰め込むということです」

「女神様の感性が猟奇的な件」

「全くーー常識で考えてください」

「常識とは一体」

「それでどこに案内してくれるのですか?」

「俺の服は基本的に"シロクロ"ですね」

「またもやパチモン臭いですが」

「安さが売りのお店なのですが」

「品質度外視で大量買いということですか?」

「それがビックリなことに品質も高いのです」

「ふむ」

「近年ではトレンドも押さえて人気が出てきているようで」

「なるほど」

「お金を抑えて長く使いたいなら」

「そこが良いと」

「まぁ個人差はあるとは思いますが」

「私は一向に構いませんよ」

「それとモノクロカラーへのこだわりがすごいです」

「名前から何となくは予想していました」

「店長おすすめは黒のチノパンに白のTシャツ」

「意外と普通ですね」

「頭には長い鼻と耳の付いた黒い帽子」

「普通が吹き飛んでいった」

「テーマは"夢を食べて大きくなれ"だそうです」

「好きなんですかね、マレーバク」

「なんでも昔お世話になったとか」

「バクにでしょうか」

「バクに似た人にです」

「それバク関係ないのでは?」

「その人があまりにもバクに似ていたのでつい、と」

「どんな人なのでしょう」

「基本は群れず個を好み」

「そこは人それぞれでしょう」

「主食は木の葉や果実だそうです」

「人でしたよね?」

「成人したら白黒はっきりしてきて」

「それは性格が?それとも模様が?」

「最近動物園に就職したそうです」

「飼育される側でしょうか」

「少し前に園長に推薦されたと喜んでました」

「飼育する側でした」

「そのお祝いに先ほどの服をプレゼントしたら喜ばれたそうで」

「それで店に飾るセンスにはガッカリですが」

「それが一時期流行りまして」

「薄々思ってましたがここら辺おかしな人しかいませんね」

「全く困った奴らです」

「その筆頭が何を言う」

「とまぁそういうわけで行きますか?」

「今の話を聞く限り行きたくはありませんが」

「ちなみに最近ネットショッピングにも手を広げたそうで」

「ふむ」

「そちらは専門のデザイナーが良さげな組み合わせを見繕ってくれるとか」

「では帰りましょうか」

「でも町民には人気なんですよ、店長のセンス」

「私は普通にデザイナーがいいです」

「それは残念ですね」

「そんなことよりお腹が空きました」

「そういえばもうお昼過ぎてますね」

「お昼はピザが食べたいです」

「まだ何も言ってないのですが」

「お昼はピザが食べたいです」

「これから出前だと時間がかかりますが」

「お昼はピザが食べたいです」

「"はい"を選択しないと会話が進まない」

「お昼はピザが食べたいです」

「ではピザにしましょうか」

「やったぁ」

「かわいい」

「では買って帰りましょう」

「Mサイズ二枚でいいですかね」

「一軒目はそれでいいでしょう」

「何軒寄るつもりですか」

「それでは行きますよセバスチャン」

「仰せのままにお嬢様」


◇◆◇


「ようやく帰って来れました」

「まさかあれから五軒もハシゴするとは」

「何をしているのです、早く食べますよ」

「手を洗ってからにしてくださいよ?」

「女神パワーでキレイにしました」

「何もそこまで急がなくても」

「私はお腹が空いているのです」

「待ち時間に向かいの店のクレープ食べてませんでした?」

「気のせいでしょう」

「たこ焼きとタピオカでフルコースしてたような」

「気のせいですね」

「そして帰りにピザにも手を出していたような」

「気のせい主義」

「かもしれないじゃないですか」

「そんなことより早く」

ジャババババ

「洗いましたね?それではいただきます」

「まだ洗面所なのですが」

「もぐもぐむぐむぐーーおいひぃです」

「幸せそうだしまぁいっか。それではいただきます」


◇◆◇


「ふぃ~すっきりさっぱり」

「お風呂上がりましたか」

「はい、お先に。女神様それは?」

「通販サイトです」

「さっそく見てますね"シロクロ"」

「細かい注文までできるので満足です」

「ということはもう頼んだのですか?」

「えぇ」

「サイズの指定とか難しくありませんでした?」

「案内があったので分かりやすかったですよ?」

「なるほど、では失礼して」

サッ

「隠したそのタブレットPC貸してもらえますか?」

「念のために聞きますが何のために?」

「俺も靴下を注文しておこうかと」

「ふむ」

「では失礼して」

サッ

「なぜ隠すのですか?」

「邪な考えが読めたからです」

「そんな邪な考えなんて俺には」

「ちなみにログアウトして履歴も全て消していますが」

「やっぱり今度にしますね」

「全く油断も隙もない」

「今日一日のご褒美でも貰おうかと」

「それではありがとうございます、と」

「すごい、感謝が全く籠ってない」

「つい先ほどまではあったのですが」

「なるほど、後悔先に立たず、ですね」

「そんな大層な話ではないですが」

「それではお風呂どうぞ」

「邪なことは」

「考えてませんよ?」

「そうですかそれでは」

「はい、おやすみなさい」

「えぇおやすみなさい」



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