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私と幼い魔女  作者: 夢茶
第一章 始まり
4/4

お掃除

『あ、お客様なのにお外で立ちっぱなしなんてよくないよね!お家に入って』


階段も崩れ、下れないし見た感じこの家以外にほかの家もないからお邪魔することになったのだが


「き…汚い…」


そんなに狭くすぎず広すぎずなちょうどいい広さなのだが如何せんこの子はまだ子ども。掃除の仕方もあまり知らなさそうだし何より家族もいなさそう。


「ごめんなさい、散らかってて…」


箒を出してはこうとするがぎこちなくあまりはけてない。


「私も一緒に掃除するで」


そういうと申し訳なさそうに眉毛を下げ”ありがとう”とつぶやいた。

まず、窓や扉を全部開けさせ換気する。天井や高い位置や家具のほこり、蜘蛛の巣を床におとす。さらにそれをほうきで外にはく。その時に部屋の中にいたのだろうネズミや虫たちが家から大引っ越し。


ある程度ほこりなどがはけたら布団や服などという衣類系を桶いっぱいにため石鹸を溶かしていた水にぶちこみ、踏み洗いをしといてもらう。


「すごい!こんなの初めてだ!!」


魔女が楽しんでいる様子を横目に、床に水をまきブラシでこすりまた水で流すを繰り返す。水を外に出し布でからぶきをする。洗濯物の石鹸を落とし、水気を切って干せばあとは乾くのを待つだけ。


「ほへー…」


「ふぅ…やっときれいになったわぁ…」


「すごい!虫たちやネズミたちがいない!」


「ちゃんときれいにしなね、重たい病気してまうで」


「そうなんだ…」


「きれいにしたはええけど…殺風景なね」


そうポロっとつぶやくと、悲しげに笑い頭をぽりぽりと掻き言った。


「なんか、これが必要最小限だって言ってた。」


「誰が?」


「僕のママが…」


「!!あんたのおかぁどこにおるん!?」


「わかんない、この前…結構前?かな、帰ってきた以来帰ってこない…」


「…この前の空襲で亡くなりはったんか…?」


「!そんな…そんなぁ…」


大きな青い目にあふれんばかりの涙を溜め、私を見上げてくる魔女。この間私もおかぁを亡くしたからか、同情してしまい、魔女の頭を撫でる。


「ママ…」


幼げな魔女、養子に出した心太もこんな風に泣いたんやろうか。


「なぁ、あんたの名前決めよか」


「僕の名前…?」


「せやせや」


「うん…」


鼻を啜り涙を服の袖で拭う姿はかなり魔女を小さく見せた。


「あんたの名前は…」


「魔女~」


「え?」


「あ、龍太!」


「あ、あんたさっきの…」


てか、どうやって階段上ってきたんや…そう思ったが、この子にも何かあるに違いない。そう感じた私は言葉を飲み込んだ。


「こない泣き虫じゃけぇ、だからわしはやめとけ言うたんじゃ」


「な、泣き虫じゃないもん!」


「あんたは、龍太くんやっけ、この子と知り合い?」


「わしとこいつは一心同体、表と裏、っておかぁが言いよったわ」


「どういう意味やねん…」


「ねえちゃん、知らんでもええこと、あるんやで」


子どものくせにかなり生意気だと感じたが、この子たちも私同様苦労してきているには違いはない。あまりにも生意気な口をきくから少し頭をこづく。痛いっという声を無視し、魔女の名前を考える。


「せやなぁ…権三郎とかどうや?」


「ご、ごんざぶろ…」


「しっぶ…」


そうみても金色に輝くきれいな髪に青い目をしているような子が権三郎なんて名前は意外だし魔女にとっても嫌だったのだろう、口角を引きつらせて笑っている。


「なんで弟には心太っていい名前つけれたのに、僕は権三郎なの?」


「いや、ほんまは権三郎と心太で迷ってん。でも、養子にもろうてくれるご夫婦が心太はすごくいい名前やいうてくれてな。」


「じゃあねえちゃんのおとーと、養子じゃのうたら権三郎やったんか」


「そゆことになるなぁ」


「ご夫婦の判断は正しいわ…


「なんやねん、文句言うならあんたらぁが決めさね」


「うーん、龍太って名前だから僕は龍とか?」


「やめぇや、一文字消しただけとかなんのひねりもないやろ。」


「名前つけるん難しいな…」


「しばらくは魔女でええんちゃうか」


「せさね、そのほうがよさそうやわ」


腑に落ちないが、決めかねているし適当につけるものでもない。今回は名前については保留にし今度この話がでたら名前をつけよう。


「みーにゃぁ」


「あ、あんたも居ったんね」


「にゃぁ」


「やっぱきれいなねこさんやねぇ」


ねこさんのことを撫でていると、魔女が近づいてきた。


「あの、静お姉さん…」


「どうないした?」


「お嫁にきてっていう返事、きいてもいい?」


「ああ…うちはお嫁にはなれん」


「!!」


「私とあんたじゃ、歳離れとるしね…」


「そ、そっか…」


「でも、お姉ちゃんにならなれるで」


「ほ、ほんとに!?」


「ほんまやで、あんた一人じゃ死んでしまいそうやもん

お給金や住み込みええんよね?」


「もちろん!」


「これからよろしゅうね、魔女君」


「よ、よろしくお願いします!!」


お嫁にはなれない、けど家族にはなった。一人にしてはいけないとは思うことも本当だが、私にはそれ以上にもっと気になることが胸を渦巻いていた。




「…」


「にゃぁん」


「わかっとる。わしらはなんもできん、手出しもできん」


「にゃあご」


「する気もないし、第一したところでやろ。理解しとるで、ちゃんとな」




悲しげに猫と会話する龍太。龍太の見つめる先には、嬉しそうに笑う魔女がいた。


「ほんま、忌々しいわ。」


魔女と会話してる時でさえ、目も合わせず時折憎悪をにじませていたが、それに魔女も静も気づくことはなかった。

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