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私と幼い魔女  作者: 夢茶
第一章 始まり
3/4

魔女

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!なんやこの階段んんんんんんんんんん!!!!!」


階段がしたから崩れ始めたので階段を思いっきり全速力で走っていた。


刻は少しさかのぼる。



男の子と別れた後路地の前で立ち尽くしていた。路地は薄暗く昼間だというのに物の怪がでできそうで少し怖く思った。


「こりゃぁかなり奥深くまで行くんやねぇ…」


恐る恐る足を踏み入れてみたが、そんなに狭いと思わなかった。と、いうのも戦争前より満足に食事ができていないせいかかなり痩せたのだ。


「そういや、小さいころおかぁが手引いてこういう道歩いとったっけ」


今となっては何の目的で路地に入ったのかは思い出せないが、そのころのことをよく覚えている。


『この路地はね、不思議な扉みたいなもんなんよ』


『でもとびらなんて、ついとらんかったよ?』


『例えばの話やでね!ほら、コケるからちゃんと前見ぃや。』


『おかぁ…怖い…』


『ほら、手かしぃ』


『うんっ』


おかぁと手をつなぐと胸のところがポカポカして、怖い道も安心して歩けるようになった。この路地に行くことは、兄や姉たちにはもちろん、おとぉにも内緒だった。おかぁと私だけの秘密ごと。


「おかぁ、今なら1人でも歩けるで。」


一歩また一歩と着実に路地を歩いて行った。

よくよく見ると猫がいたり、犬のフンが落ちていたりとなかなか動物のにおいがきつかった。私こどものころ、家では鶏を飼っていて動物臭いのには慣れていたが、一般家庭の人たちにはきついにおいだろう。


「にしても、なっがいなぁ…出口が見えもせん…」


そう呟いたとき、私の目の前に猫が下りてきた。


「みにゃ~」


「ありゃ、ねこさんどうしたん?」


「みにゃん~」


「ほうかほうか、水欲しいんやねぇ」


なぜか猫の言葉がわかり、自分でも驚いたがとりあえずこの目の前のねこさんにお水をあげるため、背負っていたカバンを比較的きれいな場所におろし竹筒水筒を出した。


「器ないんやけど、私の手からでも大丈夫?」


「みにゃ」


「ありがとうねぇ」


私は竹筒水筒の栓を抜き、右手に水を入れねこさんに差し出した。ねこさんはおいしそうにお水を飲んでくれたので、安心した。


「ねこさん、この先に魔女の家があるらしいんやけど、知ってる?」


「みにゃぁ」


「あらほんとぉ?このまままっすぐ?」


「み…みにゃんにゃにゃぁにゃんにゃぁ」


「え、違うの?」


ねこさん曰く、途中で上に上がれる階段があり、そこを上ると魔女の家があるらしい。なぜかわからないが本当にねこさんが言っているのだ。


「にゃにゃ?にゃぁにゃ」


「え、いいの?ありがとう~」


なんとねこさんが案内してくれるらしい!…これで間違ってたとしてもねこさんは悪くない、断じて。薄暗いのでねこさんの色は見えないが多分きれいな毛並みなんだろうな、などと考えながらねこさんの後をついていった。


しばらくすると、右手側に階段が見えてきた。かなり長い階段だが、休憩しながらだったら大丈夫だろう!そう安易に考えていた。つい先ほどまでは。上りはじめて半分くらいの高さまで登ったところで休憩していたら、階段が下のほうから崩れ始めたのだ。そして、冒頭のような状態になった。


「なんで崩れんねんんんんんん!!!???」


下駄でをカラカラ鳴らしながら上へとかけていく。ようやく上まできた!と思ったら、階段は崩れるのをやめた。


「はぁああ…はぁ…はぁ…」


階段を全速で登ったので息をするのが苦しかったが収まり、周りを見渡すとそこはきれいな花畑だった。


「わぁ…!!!」


きれいな花畑に小さな家がぽつんと建っている。『きっと魔女の家だろう』そう確信した私はそのおうちに向かっていった。


「わぁ…!どれもこれもそれも!みんなきれいなねぇ…」


そう1人で騒いでいると、家から誰かでてきた。


「…?お姉さん誰??」


「え?」


そこにはとてもとてもかわいらしい金色に光る眼の青い小さな男の子がいた。


「あ、はじめまして(なんやこの子かわいい)」


「はじめまして!」


「君が魔女?」


「!!お姉さんも僕をいじめにきたの!?」


「いや、ちゃうよ」


「嘘!!みんなそうやっていうんだ!」


そっか、金色の眼が青色って…


「こんなかわいくてきれいな子いじめられへんよ」


「!!…大人の人にきれいって言われたのはママ以来だ…」


なにかちいさなことをつぶやいたが何も聞こえなかった。でもこの子はとてもかわいくてきれいで少しうらやましいと感じた。


「あんたの名前はなに?」


「名前…?僕には名前はないよ、いつも魔女って呼ばれてた。」


衝撃が走った。おかぁからは”名前は最初のその子にかけられたまじない”だと聞いていた。そしてその意味も…この子には、名前がない。生まれた弟でさえ、すぐに『心太しんた』と名付け、養子に出したのに…。


「お姉さんのお名前はなぁに?」


「私の名前は、しず。」


「静お姉さん…は、なんでここに来たの?」


「興味があったから、魔女って呼ばれてるあんたに。あとは、なんか仕事あらへんかなぁって思うただけ」


そういうとぱぁっと目を輝かせて言ってきた。


「お仕事っ!あるよ!!」


「え、ほんまに!?」


「うん!!しかも毎食付きで泊まり込み!!」


「めっちゃええやん!!」


「お給金も出すし、お仕事以外は好きにしてていいよ!!」


「おお、ええやん!!どんなお仕事!!?」


「僕の、”お嫁さん”になって!!」




「…え?」


「え?」




拝啓、天国のおかぁ様


私は、そうやらこの子と結婚するみたいです。





「…だからわしは言うたんや…やめとけって…」


「みにゃぁん」


「お前も、案内しやんでよかったやろう」


「みにゃあ」


苦笑いしながらも、先ほどあった少年はねこさんを抱きながら驚いて固まったままの静とキラキラ眼のかわいい男の子を見ているのでした。

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