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収容所の非科学的存在勇者

作者: 翳の使者

お久しぶりです。受験無事終わりそうなので投稿再開します。受験って大変ですね。今年一年分は勉強した気がするので今年は小説をもっと書きたい(願望)

 ·収容所の非科学的存在勇者 


目を開く。昨日と変わらない天井が目に映る。


「8;30起床確認。おはようNo1024。気分はいかがかな?」


男性の声がベッドの横に置かれたモニターから聞こえる。モニターには顔をガスマスクで隠した白衣の男が映っていた。


「最悪さ、博士。気が立って仕方がない。ここをでればきっと気も収まるんだがな。」


「そうか。では精神安定剤を朝食に加えておこう。朝食はいつも通り部屋の南の端にある。良い一日を」


No1024。その言葉を最後にモニターは暗闇を映した。


「畜生が。」


俺はベッドから南に10km転移する。一瞬の視界のブレとともに目の前の景色が変わり高い高い灰色の壁とプレートの上に置かれた朝食が現れる。俺が閉じ込められているのは10kmx10kmx10kmの正方形の籠のような人工島。正確には俺に報復しようと俺の故郷であるこの世界に乗り込んできた異界アルケディアの魔神が俺と殺すために創造した俺の能力を制限する空間だ。


 かつて異界アルケディアに勇者として召喚された俺には2つの能力があった。

 1つは瞬間移動。魔力に依存する指定した制限距離なしの地点の事象をすり替える能力だ。ただしこれは魔のモノの放つ邪気によって制限されることがある。

 もう一つの能力は神剣万化。全ての剣になりうる可能性を秘めたものは俺が剣と認識すれば神剣マティアに変化させることができるというものだ。神剣を得ることで俺の能力は人としての制限から解放されて魔のモノと戦えるほどの身体能力を得ることができた。

 この2つの能力で俺は異界アルカディアで魔のモノを統べる魔王を倒し、元いた世界に帰還した。転移する前は作家をしていた俺の生活は色々あった異界での日々が嘘のように元に戻った。異界アルカディアでは魔王討伐に3年かかったはずだが帰ってみれば元いた世界で過ぎていた時間は3日に過ぎなかった。それから1年は何ごともなく時が過ぎたが、異界アルカディアから丁度1年経った日魔神がやってきた。俺が取材で小さな孤島を訪れていた上に黒い穴が現れそこから魔のモノが溢れた。俺はなんとか魔のモノを倒し穴を破壊して転移して逃げた魔神を追った。魔神は今俺が閉じ込められいる俺の能力を制限する籠のような場所を海上に作り出して俺を殺そうと企んだわけだ。

戦いは死闘だった。能力が大幅に制限されて逃げられない空間で空中からの魔神の一方的な攻撃に耐えて俺は魔神の見せた一瞬の隙を逃さずに神剣で魔神を殺した。もっともこちらも満身創痍だったわけで俺もその場で倒れてしばらく眠るはめになった。俺の身体は勇者に鳴ったときから人間を止めていて神剣がない状態では身体能力は人の域を出ないが魔のモノの攻撃を除いて俺を傷つけることはできないし、食事はできるがしなくても問題はない。そして大きく傷ついてもある程度の期間眠れば回復することができた。

 だから俺は魔神を殺してからしばらく、期間にして1年ほど眠っていたわけだが。そしたらいつのまにか魔神の作った籠は俺を閉じ込める収容所になっていた。籠の中にはベッドとモニター、家庭用具に娯楽品などが置かれ空には5体のドローンが俺を監視していた。魔神との戦いを観ていたらしく俺が神剣をストックしていた棒状のものから作ることを知って神剣を作れそうなものは決して籠の中には入れないように徹底している。神剣さえあれば魔神がいない今ならばいくらでも脱出のしようがあったが、神剣がなければ自力の脱出はできない。

 俺は眠りから覚めてすぐに自分が勇者であり、敵意がないことを監視している奴らに話した。監視している奴らは非科学的存在を隔離、研究、削除している組織であると自称した。俺はここから出してくれと要求したが、奴らはそれはできないと言った。何故かと問えば、俺の能力が科学的に証明できないからだという。

 俺には奴らが理解できなかった。世界を救うために勇者として戦ってきた俺を。この世界にやってきた明確な驚異である魔神を倒した俺を。

 最初の1年は良かった。不満はあったが、奴らが俺に不信感を持つのは能力を考えればわからなくはなかったし、話し合えば理解が得られると思っていた。実際に異界アルカディアでは勇者として理解されないことがあっても話し合いで人とは分かり合ってきた。力による解決は魔のモノにのみ用いてきたことだったのだ。

 しかし、時が経つにつれて俺の心の中の不満が限界を迎えて黒いものに変わっていった。

 

 そして眠りから覚めてから5年が経った今。俺の心にはかつては決してなかったモノに満たされている。


憎い。奴らが憎い。閉じ込める奴らが憎い、閉じこめている博士が憎い、閉じこめている人間が憎い。憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、憎い、



人間が……ニクイ







特別収容島非科学的オブジェNo1024 終末危険性オブジェ認定


 No1024はNo1025に収容されています。No1024は24時間ドローンによる監視と行動記録を付けて下さい。No1025はNo1024が活動中のみ未知の放射線を放っており、放射線はNo1024を除くいかなる生物も生存できませんがそれ以外の効力は確認できていません。No1024には定時に3回の食事と1ヶ月に一度家庭用品、娯楽物がドローンにより投下されます。

 No1025内には、いかなるサイズでも棒状の物体を持ち込むことを禁止しています。

 ==年 =月=日より1024の精神的状態の変化からNo1024に対するいかなる実験も許可されていません。



No1024は46歳の日本人です。戸籍も存在し、特異性を持つ以前は一般的な日本人であったと推測されています。

=年=月=日に起きた回避終末シナリオ事案05の際に存在が確認されました。その後の調査からNo1025内部で休眠状態にあるところが発見され確保されました。No1024は発見から363日後に休眠状態から目覚めました。No1024は著しく身体能力が高く同時に未知の能力を保持しています。

No1024はNo1024が指定した地点の事象に干渉して転移を行う能力を持っています。No1024の能力はNo1025により制限されており、No1025内10kmx10kmx10kmです。また、映像資料は残っていませんが棒状のものを剣に変化させる能力と剣を所持している場合に能力が著しく上昇することが回避終末シナリオ事案05からわかっています。


現在No1024は人間に対する憎悪を抱いてる様子であり、No1024が脱走した場合終末シナリオが発生する恐れがあります。

No1024は言動から不死身に近い可能性が高く、老化現象は観られないため、永久的な収容が現在団体にできる唯一の処置です。



次の投稿は1週間以内目標で。エタること覚悟で連載数話分書いたら出そうかなと思ってます。連載用のネタは3年間貯めてたんです……その時の気分で。

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