第三章「クラスメイト」
-転校生事件の翌朝・教室-
少女(昨日は本当に長かった…映画化するなら『少女の一番長い日』だな…転校生、少年、そして……。おっ)
少女「あら、おはよう、少年くん」
少年「少女さん、おはよう」
少年(少女から教室で挨拶してくるの珍しいな。昨日のことはあの後も大丈夫だったのかな)
少女「…」ニコ
少年「…」フッ(大丈夫そうだな)
少女(さて…転校生はちゃんと来るかな)
クラスメイト「おはよう!」
少年「あ、クラスメイトさんおはよう」
ワイワイ ガヤガヤ
-休み時間・教室-
少女(あいつ来ねーし! 約束したじゃねーか…やっぱ来づらいのか…学校やめたりしねーよな…LINE送っとくか)スマホスッ
-次の休み時間-
少女(LINEの返事すらこねー! 既読も付かないしマジかあいつ…一応少年と今後のこと話しとくか…)
-昼休み・準備室-
少年「あいつ、結局来ねえな…なんか学校には病気だって連絡があったらしいが…」
少女「来ないつもりならマズいな…LINEの既読すらつかねえし」スマホスッ「あっ」
少年「?」(まあもう来ないつもりならそれでもいいけど、こいつとの約束破るのかよ…)
少女「既読ついてる…一応見てはいるよう…おっと、今返事来た!」
少年「なんだって?」
少女「本当に病気らしいぜ。熱出したって」
少年「マジか。本当かね」
少女「もちろんわからんが…昨日の夜、あれから色々考えてたら熱が出て、朝になっても下がらなくて病院行ってたらしい。だから返事もできなかったってよ」
少年「知恵熱かよ!」
少女「昨日のことはごめんとか、約束破ってごめんとか、返信できなくてごめんとか、あとはそんなことばっかりだな。治ったら必ず来るとさ」スッスッスッ「……送信っと。病気なら無理せずよく養生してから来いって送っといた」
少年「ふうむ。とりあえずいなくなるとかってことはなさそうだな」
少女「ああ」
少年「しかし昨日は本当に色々あったな。おっと少女は俺どころじゃなかったよな」
少女「まあな。あの後も実は色々あったし」
少年「色々? まさか転校生がまた…?」
少女「あ、いやいや、あいつはあのとき素直に帰って、戻って来たりはしてないよ。…実はさ、オレの秘密って結局おまえら二人しか知らないだろ」
少年「うん」
少女「心配かけたくなくて、親にもこのことは話してなかったじゃん。でも今回のこともあったし、実の親にも言わないってどうだろって…今更ながら思ったのさ」
少年「たしかに赤の他人が知ってて親が知らないってのも…まさか?」
少女「昨日親が帰ってきてから告白したよ、オレがトランスジェンダーだって」
少年「マジか…いや、俺もその方がいいって思ってたけど…昨日あんな色々あった後に…」
少女「まあ色々あったからこそだよ。そうじゃなきゃなかなか踏ん切りつかなかった。でもさすがに告白の瞬間は自分でも足とか手が震えるのを止められなかったよ。めちゃくちゃドキドキしたし」
少年(オレや転校生にカミングアウトするのとはやっぱり違うよな)
少年「それでお母さんとかお父さんとかどうだったんだ? 認めてくれたのか?」
少女「ああ。お袋には泣かれちまったよ」
少年「…そ、そうか…ごめん…(あのお母さんだしな…)」
少女「ん? ああ! 違う違う! 昨日オレが告白したらさ、お袋が泣き出したんだけど、オレのことを抱きしめてさ、『今まで気づいてあげられなくてごめんね』って…」
少年「ああ…」
少女「オレこそ今まで隠しててごめんって謝ったんだけどさ。親父もお袋もそんなこと全然責めないでさ…」ホロリ
少年「いいご両親だな…」ホロリ
少女「親ってのはありがたいものだな。オレの言うこともすぐ信じてくれたし」
少年「それはおまえが真剣に話したからだろ」
少女「そうかもしれないけどな。逆によく勇気を出して言ってくれたとか、今まで女らしくしろって言って悪かったとか言われてさ。そんなの当たり前なのにな。他にも辛いことはないかとか、カウンセリングを受けたいならいいところを調べとこうかとか、学校に言って配慮してもらおうかとか、その気ならいつか手術を受けるか?とか…」
少年「本当におまえのこと思ってくれてるじゃん」
少女「ああ。早く言っておけばよかったよ。まあ今のところそんなに辛くないと言っといたし、できれば少なくとも高校卒業までは学校や周りにはこのことを言いたくないとかも言っておいた。あと、手術とかもするつもりもないこともな」
少年「なるほど」
少女「このことを知ってる友達もいるって話もさせてもらったよ。おまえと転校生な」
少年「昨日の転校生の話もしたのか?」
少女「いや、さすがにしてないよ。そうそう、忘れてた。お袋がさ、おまえにありがとうって伝えてくれってさ」
少年「え、なんで?」
少女「オレの支えになってくれてってさ。オレからも礼を言わせてくれ」
少年「支えって…俺何もしてねーじゃん…」(逆に無神経に少女を女扱いしてたりしたのに…)
少女「そんなことはない。例えば今だって男として話してくれてるし、ずっとオレを『男友達』として付き合ってくれてただろ」
少年「いや、昨日の話じゃないけど、結構女扱いもしてきたじゃん…」
少女「ふふふ。そのことはもういいってことにしただろ」
少年「そうだったな。でもとにかくご両親にも言えてよかったじゃないか」
少女「そのとおりだ。しかも一人娘がこんなでも受け入れてもらえるとはね…」
少年「本当、いいご両親だと思うよ」
-準備室の外-
クラスメイト(また二人で入っていった…中で何を話してるんだろう…もうちょっと近づけば…いや、それをしたらただのストーカーだよね…)
-準備室-
少女「でもまあ最悪の事態も覚悟はしたけどな」
少年「最悪の事態…? ご両親に拒絶されたり…とかか?」
少年(そういや親にLGBTがバレて、親に自分を否定されて自殺した人の話も見たな…)
少女「そうだ。まあ杞憂だったわけだが。その場合はおまえの家に家出するつもりでいた」
少年「えええ! いや、困っているなら助けてやりたいが…世間的っていうかウチの親だってそんなの…」
少女「いや、コッソリおまえの部屋の押入れにでも匿ってくれればいいから」
少年「犬や猫拾ってきたんじゃないんだから…第一俺の部屋押入れなんかないし」
少女「押入れはモノの例えだが…緊急避難的にな」
少年(親に拒まれたら確かにいたたまれないだろうしなあ…)
少女「ははは、もう過ぎた話だし、仮の話でそんな真剣な顔すんなよ」
少年「まあそうだけど…でもこれからそういうことがあったら言ってくれ。できる限りのことはする」
少女「…ありがとうな」
少年「さあ、そろそろ行こうぜ」
-準備室の外-
クラスメイト(ん? 出てくるのかな…)サササッ
ガラリ
少女「…」キョロキョロ(よし誰もいない…ん? さっき廊下の先を曲がってったやついたような…気のせいか)
少女「じゃあお先」ヒソヒソ
少年「じゃあな」ヒソヒソ
~
少年(よし、もういいだろ)
ガラリ
少年「…」キョロky...「うわっ!」
クラスメイト「わっ! びっくりしたよ!」
少年「クラスメイトさん! びっくりしたのはこっちだよ…」
少年(え、転校生と同じパターン? さっきまでの、聞かれた…?!…でも少女が出たときはいなかったよな…)アセ
クラスメイト「いやごめんごめん」
少年「…な、なんでここに?」ドキドキ
クラスメイト「実は少女さんと君たちがここに入っていくのが見えてね」
少年「えっ…!」
クラスメイト「いや、何を話してたかは聞いてないよ! プライバシーは守るよ。とくに少女さんと少年くんだったら」
少年(もし本当に聞いていたならもっと色々聞いてきそうだしな…でもそれも含めて演技なのか…わからん!)
クラスメイト「ストーカーじゃないんだし、ね」(本当はもうストーカーみたいなものかもしれないけど…)
少年(でも入っていくとこから見てるんだよな…)
クラスメイト「実は少年くんに話があってね」
少年「俺に?」
クラスメイト「少女さんが先に出ていったようだから待ってれば少年くんに会えると思って」
少年(少女が出て行くときは隠れてたのか)
少年「別に教室で声かけてくれれば…」
クラスメイト「ちょ、ちょっと2人だけで話したかったんだ…いいかな…」
少年(俺なんかと2人だけでって…なんだろう?…クラスメイトさんの行動はときどきわからん)
クラスメイト「でももうお昼休みも終わるし、単刀直入に言うよ。今日放課後ボクにちょっと付き合ってくれないかな?」
少年「え、付き合うってどこに?」
クラスメイト「うーん、ボクの家なんだけど、いいかな」
少年「え、クラスメイトさんの家?! い、いいの、俺が行っても?」
クラスメイト「かまわないけど…」
少年「でも女の子の家に男が行って大丈夫かな…」
クラスメイト「気にしないでよ。おっと、もう授業が始まるよ」
少年「わ、わかったよ。じゃあ放課後に」
クラスメイト「ありがとう! あ、あとこのことは周りにナイショにしてくれるかな」
少年「わかった」
少年(何の用だろう? また少女との関係こととかか? まあどっちにしろ俺自身のことじゃないよな…。でも放課後クラスメイトさんの自宅に? 本当にいいのか? 女の子の家に行くなんて初めてだよな…。少女の家はノーカンとして… でもこれ、放課後に女の子の家で会うなんて、これは実質デートじゃないのか?
少女『そんなわけないだろ』
心の中の少女がツッこんできた!)
クラスメイト「じゃあ放課後、ナイショにしたいから集合場所は…」
~
少年(前のことがあるし、もしかするとクラスメイトさんが俺らの関係が親戚じゃないことに気づいたのかもしれないから、少女に伝えた方がいいのかもしれないけど…内緒だって約束しちゃったしなあ…しかし本当に何だろ? っ、まさかさっきの話をやっぱり聞いていて? だったら自宅でこっそりってのもわかるが…)アセ
少年(わからないこと考えてもしょうがない。頭の中ではデートと思い込んで楽しもう)
-放課後・学校近くの空き地-
クラスメイト「やあ、こんなところに集合で悪いね」
少年「まあ周りにわからないようにするためにはしょうがないよ」
少年(確かに俺なんかと一緒に下校しているところを見られたくないだろうからな)
クラスメイト(まだ少女さんに見つかるわけにはいかないからね…)
少年「クラスメイトさん。昼休みには時間がなくて訊けなかったけど、わざわざクラスメイトさんの家でって、何の話かな」
クラスメイト「ああ、見てほしいものが…というか、ちょっと相談かな。少年くんに」
少年「うん、わかったよ」(まあ、行けば分かるか…)
-クラスメイトの家-
少年(クラスメイトさんの家、マンションなのか。しかし緊張するな)ドキドキ
クラスメイト「じゃあ、どうぞ」カギ ガチャ
少年「え、今誰もいないの?」
クラスメイト「うん、両親は働いてるし、あ、姉もバイトで今働いてるかな」
少年「さすがに二人きりはまずいんじゃ…」ボソ
クラスメイト「ん? どうぞ。こっちだよ」スタスタ
少年(どんどん入って行く…)「お邪魔します…」
クラスメイト「ここがボクの部屋だよ」
少年(まずリビングにじゃなくていきなり部屋か…クラスメイトさんの名前のプレートがドアに掛けてあって、いかにも女の子の部屋だな…少女の部屋とは違いそうだ)ドキドキ
クラスメイト「どうぞ」
ガチャ
少年「う、うわああぁ! なんだこれは!」
-クラスメイトの部屋-
クラスメイト「これを見てほしかったんだよ」
少年「壁一面に少女の写真がびっしり! っていうか、天井にも…」
クラスメイト「ど、どうかな…」///
少年「どうかなって…っていうか、これドラマとか漫画でよく見る、ストーカーの部屋!」
クラスメイト「失礼だね。ボクはストーカーなんかじゃないよ」
少年「でもこれ、ほとんどが盗撮っぽいんだけど…」
クラスメイト「確かに黙って撮ってしまったのもあるけど…。でもストーカー行為なんかしてないよ。よく見て。ほとんどがクラスか校内での写真だよ」
少年「(ものもあるって、これほとんど…)あ、まあ、確かに。でもこの量…」
クラスメイト「ボクは少女さんの後をつけるようなことはしたことないよ。あと、個人情報を無理に調べたりとかも。実際、ボクは少女さんの自宅すら知らないよ」
少年(確かにストーカーといえば、自宅とかにも張り付いたり、常に尾行してたりするイメージはあるが…)
少年「あ、でも、俺たちが別の街で遊んでるのを見たり、準備室に入るところを見てたり…」
クラスメイト「別の街や公園にいたのを見かけたのは本当に偶然さ。あと、校内だったらちょっと見守るくらいいいんじゃないかな…」
少年「いいんじゃないかなって…どうりで俺たちのことをよく見てたと思ったよ…だからクラス内だけじゃなくて校内での写真も充実してるのか…。でもクラスメイトさんが少女の写真を撮っているところなんて見かけなかったけどな…」
クラスメイト「最初はスマホでこっそり撮ってたんだけど、今はこの高画質望遠付きペン型カメラで…」スッ
少年「本格的!(なストーカー!) でも、こんなことしてるってことは…クラスメイトさんは少女のことが好きなの?」
クラスメイト「うん、実はそうなんだ」///
少年「えええ! 俺は?!」
クラスメイト「ん? どういうことかな?」
少年「だって! 本当は少女と一緒になってほしくないとか言ってたからとっさに難聴になってフラグを折らないよう努力したのに…」
クラスメイト「それは、本音では少女さんには少年くんと付き合ってほしくはなかったよ…」
少年「でも俺らを応援するとか、転校生に取られちゃうとか…」
クラスメイト「それは君を味方にしておきたくて…」
少年「転校生と同じパターン!」
クラスメイト「転校生くん? 確かに彼に取られちゃうより、親戚の君のほうがまだいいかなって…途中でハトコだって聞いて少し安心したんだ。だって親戚なんだから」
少年「まだいいって…確かに俺らは付き合うとかはないけど」
クラスメイト「信じていいのかな」
少年「双子の兄妹みたいなものだし、俺と少女が付き合うことはないよ」
クラスメイト「そうだよね! やっぱり親戚同士だものね!」
少年(喜んでるクラスメイトさん可愛い…いや、喜んでるってことは…まさか…)
少年「本当に少女のことが好きなんだね。もしかしてクラスメイトさんも心は男なの?」
クラスメイト「も?」
少年「っ…(しまった) あ、クラスメイトさんも今よく言われてるLGBTってやつなのかなって…」
クラスメイト「ボクはこんな喋り方だし、オトコ勝りとかオトコ女とか言われるけど、これでも自分は乙女なつもりだよ」
少年「クラスメイトさんのことオトコ女とか言ってる人見たことないけど…」
クラスメイト「親とか姉にはしょっちゅう言われてるよ」
少年「じゃあ、とにかく女性として女の子が好きなんだね」
クラスメイト「別にボクは女の子のことが好きなわけじゃないよ」
少年「えええ、だったらなんで…」
クラスメイト「好きになってしまった人が、たまたま女の子だっただけだよ」ドヤァ
少年「そんなドヤ顏で…。まあ少女が好きだってことはわかったよ」
クラスメイト「よかった。女の子を好きだなんて信じてもらえないかと思ったよ。でもこの部屋を見ればわかってもらえるかなって」
少年「そのためにわざわざ家に…わかりみが溢れるくらいだよ…。じゃあ俺に相談っていうのは?」
クラスメイト「うん、時間をかけて君とも仲良くなって、少女さんとも仲良くなっていくつもりだったんだけど…最近結構転校生くんと少女さんが接近してるよね」
少年「うん、まあ(もうこの先はそうならないけどな)」
クラスメイト「だからもうそんな時間をかけてられないのかなって。少年くんを通してもうボクの気持ちを少女さんに伝えようと思ってね」
少年「俺を通して? 少女に直接じゃダメなの?」
クラスメイト「やっぱり怖くて…女の子同士だし…」
少年「でも、それは俺を通しても結局は同じなんじゃないかな」
クラスメイト「だから、まずはハトコの君から、少しずつ話をしてほしいんだ。最初はボクの名前とか出さずに、少女さんが好きな女の子がいるってところから訊いてほしいんだ。そこで拒絶されるようならそれまでだよ…。本当は拒絶されても今のままでいたいって云う都合のいい話なんだけどね…卑怯だよね」
少年「卑怯って…そこまで思わなくていいんじゃないかな。あと少女だけど、少なくとも拒絶することはないと思うよ」
クラスメイト「え、なんで?」
少年(おっと、詳しく話すわけには…)
少年「あ、ごめん、俺の勝手な思い込みなのかもしれないけど、少女はそういうのを否定するタイプじゃないから…。もちろん実際はわからないから聞いてみるけどね!」アセ
クラスメイト「ありがとう!」
少年(クラスメイトさんと一緒にいるの羨ましがってたし、少なくとも拒絶までされることはないだろう)
少年「あ、あと、少女が女の子とわかってて好きなんだよね」
クラスメイト「? そのとおりだけど、どういう意味かな?」
少年「あ、いや、結構あいつああ見えて男っぽいとこあったりするから」
少年(…これギリギリの言い方だな…でもまた途中で少女をがっかりさせたくないし)」
クラスメイト「そうなの? 見かけによらないところもあるんだね! そうだとしてもそういうところも含めて全て少女さんなんだから…。兄妹みたいって言ってたから、親戚とかに対してそうなったりするんじゃないかな。家族からオトコ女って言われてるボクみたいに。ボクにもそういう一面を見せてほしい…」
少年(大丈夫みたいだな…)
少年「おっと、今言った話は少女にはしないでね!」(まあ本当は話しても困らないけど、それっぽくしとかないと…)
クラスメイト「もちろんさ。じゃあ、まずボクのことは出さないで訊いてみてくれるかな」
少年「オッケー。じゃあ善は急げで今訊いてみようか?」
クラスメイト「え! 今? でも…いやいや、いつでも一緒だよね。だったら確かに早い方がいいかな…」
少年「大丈夫だよ。さっき言ったとおり少なくとも拒絶はないよ。じゃあ早速少女に電話してみるけど…」
クラスメイト「う、うん、お願いするよ…」ドキドキ
少年「じゃあ、ちょっと外に出てかけてくるね」
クラスメイト「それは悪いよ。ボクの部屋使ってよ。ボクがリビング行くから」
少年「え、そんな、クラスメイトさんの部屋に俺だけ残るとか…」
クラスメイト「じゃあよろしくね!」
ガチャ
バタン
少年(…俺だけ残るとか、落ち着かないんだけど…少女だらけで…まあ電話するか)
少年(多分大丈夫的にクラスメイトさんには言ったけど、 まず間違いなくうまくいくだろ、これ。何が運痴はモテないだよ…羨ましいのはこっちだぜ…)
少年(…でもよかったよな。あいつ自身がクラス一って言ってた美少女のクラスメイトさんと付き合えるとか。前にも彼女がいたって言ってたけど、こういう女の子も結構いるんじゃん)
少年(俺もフラグ折らないようにと思ってたけど、フラグが立ってもいなかったとは…)グスリ
少年(…とにかく電話しよう)
スマホ『プルルルル…ピッ』
少女『おっす。なんだ?』
少年「おう。確認するまでもないことなんだが、ちょっといいかな」
少女『なによ?』
少年「じつはさ、おまえのことが好きだっていう女の子がいるんだが…」
少女『…! マジで!? 本物の女の子が?』
少年「本物の女の子がだ。別にLGBTとかじゃなくて、普通の女の子として、女の子であるおまえが好きなんだってさ」
少女『マ、マジか…でもそれって普通にLGBTだよな…』
少年「たまたま好きになったのがおまえで、たまたまおまえが女の子だっただけだってさ」
少女『マジかー』
少年「さっきから『マジ』ばっかりだな」
少女『そりゃそうだよ。ここ2日ばかりドラマチックすぎねえか…まあモテ期ってやつかな。ははは』
少年「モテ期に転校生入れんのかよ…。男カウントしてたら年中おまえモテ期だろうが。あ、まあその話は置いといて…その子はやっぱり女の子同士なんでおまえの気持ちを聞くのが怖いらしい。だから、女の子がそういう好意を寄せていることについてどう思うかまず確認してくれって言われたんだ。まあ確認するまでもないと思うけど」
少女『もちろんだ。めちゃ嬉しい!』
少年「まあ、おまえの本当のことは言えないから、一応確認するって言って、今電話してるわけだ。その子はもちろんおまえが心は男ってことは知らないんだけど、別に男の子みたいなところがあっても受け入れるみたいなことは言ってた」
少女『マジか。天使だな…。で、誰なん?』ドキドキ
少年「いや、それはまだ言えないよ。その子に確認してからだ」
少女『んー、でもおまえにオレのことを頼んでくるっていうと…まさか?』
少年「おっと、早合点はなしだ。まずはその子に今の話をして、そのあとどうするかはその子が決めることだ」
少女『そうか! そうだよな! …マジかあ。まさかあのクラスメイトさんがなあ…フフフ』ボソ
少年(完全に気づいてるよ…)「まあ、また連絡する」ピッ
少年(なんだよ、完全にうまく行きそうじゃん。よかったな、少女…。さて…)
ガチャ
少年「クラスメイトさん、訊いたよ!」
クラスメイト「あ、少年くん、ありがとう! で…?」ドキドキ
少年「やっぱり問題なかったよ。そう想ってくれる人がいて嬉しいって」
クラスメイト「本当に! よ、よかった…。少女さんが男の子からの告白をずっと断ってるって話は聞いてたから、もしかしたら女の子ならと思ったこともあったんだけど…そうは言っても女の子同士っていうのはね…やっぱり少女さんって女の子のほうが好きなのかな?」
少年「い、いや、そうかどうかは知らないけど…」アセ
クラスメイト「ああ、でも問題はボクの気持ちを受け取ってもらえるかだよね…」
少年「うん、でもそれは直接クラスメイトさんからのほうがいいよね?」
クラスメイト「…そうだね。うん、せっかくだし、今日思い切って想いを告げてみるよ」
少年「そうか…。絶対うまくいくよ! 応援してるよ! じゃあ、電話する?」
クラスメイト「電話でっていうのもどうかな……。うーん、まずここに来てもらおうかな」
少年「クラスメイトさんの家に?」
クラスメイト「うん、わざわざ来てもらうのは申し訳ないんだけど、ボクのことをすべて知ってもらいたいと思ったんだよ」
少年「すべてって…まさかこの部屋も見せるつもり?!」
クラスメイト「だめかな」
少年「いや、そのままの自分を見てほしいっていうのはわかるけど…この部屋はどうかな…。あの、少し仲良くなってからとかじゃダメ?」
少年(ここ見せたら一発アウトだろ…)
クラスメイト「それは今だって同じだよ」
少年「それはそうだけど…。あ、さっき『女の子が少女を好きって言ってる』って訊いてみたように、クラスメイトさんの名前を出さずに『その子は少女の写真をたくさん部屋に貼ってる』とかって訊いてみるけど…」
クラスメイト「うん、さっきは確かに女の子同士っていうのが怖くて少年くんに訊いてもらったけど、やっぱりそれじゃダメかなって。女の子なのに少女さんを好きになってしまった自分、少女さんのことが大好きで写真を部屋に飾っている自分、全部ボクなんだ。最初から全部少女さんにさらけ出すべきだったんだけど、勇気がなかったんだ。でもさっき、少女さんからの返事を聞いて勇気が出たんだ。調子よく聞こえるかもしれないけど…」
少年「調子いいってことはないよ。誰だって不安だろうし」
クラスメイト「少年くん、少女さんにボクの家に来てもらえるか訊いてくれるかな。場所は今少年くんにマップを転送するから…あ、もちろん少女さんの都合があるだろうから、もし大丈夫だったらね」
少年「わかったよ…でも、せめてこの部屋の写真は剥がさない? 全部はあれだろうから、まあ何枚かは残して。これは多すぎというか…」
クラスメイト「もし剥がしても、これだけ貼っていたのは事実だし…このままを見てもらうよ。剥がしてOKもらったとしても、それは本当のボクじゃないし」
少年(うーん、もうこの部屋を少女に見せるしかないのか…ちょっとわからなくなってきたぞ…っていうか多分…)
少年「うん、わかった。じゃあ、少女を呼んでみるよ」
クラスメイト「ありがとう」
スマホ『プル…ピッ』
少女『おう、オr』ワクワク
少年「ああ、今クラスメイトさんと一緒なんだけど」ハヤクチ(一応聞こえるとマズいからな…)
少女『クラスメイトさんと一緒なの? 何かしら』(やっぱり…)ドキドキ
少年「あ、今って時間ある?」
少女『大丈夫だけど…』
少年「クラスメイトさんが話があるんだって。あとで地図を送るけど、クラスメイトさんの家まで今来れる?」
少女『クラスメイトさんの家ね。了解よ』ピッ
少年(すぐ切りやがった…)
少年「少女いま来るって」
クラスメイト「本当? ありがとう。そうだ、お茶も出してなかったね」
少年「ああ、おかまいなく。俺はもう帰るよ」
クラスメイト「あ、もしできれば一緒にいてくれないかな…」
少年「え! 少女が来てからも? それはちょっとマズくない?」
クラスメイト「やっぱり怖くて…もしダメだったとき、少年くんが間にいてくれると助かるんだけど…」
少年(うーん、その可能性も出てきたしな…)
少年「わかったよ。でも少女と話すときは俺は一緒じゃないよね?」
クラスメイト「ああ、それはそうだよ。ありがとう。じゃあリビングに行こうか。お茶でも淹れるよ」
―リビング―
インターホン『ピンポーン♪』
クラスメイト「あ、少女さん。どうぞ」オートロック カイジョ
少年(早いな。あいつもう来たか。今モニタ越しにチラリと見えたけど、女物の私服だったな。着替えてきたのか)
~
ガチャ
クラスメイト「いらっしゃい。ど、どうぞ」///
少女「こ、こんにちは…」ハァハァ
少年(こいつ、例のデートのときより気合の入った可愛い恰好してきやがった…)
少女「あ、しょ、少年くん、どうも」ハァハァ
少年「その格好で走ってきたのか…」
クラスメイト「少女さん、素敵な服だね。とても似合ってるよ」///
少年(走ってかなり乱れているが…)
少女「あ、ありがとう…」ハァハァ
クラスメイト「じゃあ、あがって」
少女「お邪魔します」ハァハァ
クラスメイト「少女さん、ごめんね、急に。今日はボクの話をどうしても聞いてほしくて来てもらったんだ」
少女「ええ、大丈夫よ。何の話かしら」ドキドキ
クラスメイト「それはボクの部屋ででいいかな」///
少女「わかったわ」
少年「あ、俺はリビングで待ってるから…」
クラスメイト「じゃあ、こちらへどうぞ。ここがボクの部屋だよ」
少女(おおお、女の子の部屋だ! ここで告白? うわぁ、ど、どうなんるんだろ…)ドキドキ ワクワク
クラスメイト「さあ、どうぞ」///
ガチャ
少女「お邪魔し…どうわぁぁぁっ!?」
―リビング―
少年(そりゃそうなるよな…)
―少女の部屋―
少女「こ、これは…」ガクガク
クラスメイト「実はボク、少女さんのことが好きなんだ…」///
少女「へ、へえ、オ…わたしのことが好きなの」アセ
クラスメイト「女の子同士なのにおかしいよね。でもボクは本気なんだ」
少女「ソウナンダー」アセ
クラスメイト「聞きたいんだけど、転校生くんと付き合ってたりするのかな。あと、少年くんとかとも」
少女「転校生くんとも少年くんとも何もないけど…」
クラスメイト「よかった…」
少女「で、でも、このオレの、いやわたしの写真はいったい…」ガクガク
クラスメイト「少女さんが好きすぎてつい…」///
少女「ついって…これ、ほとんど撮られた記憶ないけど…クラスメイトさん、わたしをストーキングしてたの?」ガクガク
クラスメイト「少年くんもそう言ってたけど、そんなことボクはしないよ。これ、ほとんど学校での写真だよ」
少女「た、確かに…。でもどうやって…いや、そんなことより、これ盗撮よね」
クラスメイト「ごめんなさい。少女さんが美しくて、可愛すぎて…」///
少女(可愛いって言われても全然嬉しくないけど…。可愛いのはクラスメイトさんだよ…)
少女「ははは…いや、盗撮しちゃったのはもういいけど、この写真をこんなに部屋に貼るのはやめてもらえないかしら…」アセ
クラスメイト「うん、これからは隠れずに撮るようにするよ! でもここの写真はこのままにしたいんだ…」
少女「いえ、まず撮るのをやめてくれないかしら…。そして写真も…」
クラスメイト「え、写真を剥がしてしまったら、ボクが寝るときとか安心できないんだけど…」
少女「このままではわたしが安心できないわ。これは勝手に撮った写真だし、剥がしてくれないならわたしも怒るわ」
クラスメイト(ゾクゾク)「しょ、少女さん、怒った顔も素敵…。ボク初めて少女さんが怒ったところ見たよ…」///
少女「え?(何か喜んでる?)本当に怒るわよ? わ、わたしのことが好きなら、話を聞いてちょうだい!」
クラスメイト「少女さん!」ガバッ
少女「うわっ!」
少女(急にクラスメイトさんが抱きついてきた! クラスメイトさんの胸が当たってる…/// そしてオレの胸もクラスメイトさんに…/// いい匂いだし、クラスメイトさんのからだ柔らかい!)スーハー
クラスメイト「ああ、ごめんなさい。ボクだって少女さんを怒らせたくないんだ。でも、少女さんに叱られて、なにか今までにない感じがしてきて…」ゾクゾク
少女(えええ…)
クラスメイト「少女さん、本当に素敵だ…。ああもう! もっとボクのことを叱ってほしい!」///ギュ
少女「じゃ、じゃあ、まずわたしを離してくれるかな…」(名残惜しいが…)
クラスメイト「あ」パッ「ごめんね」
少女「ははは…。クラスメイトさんがわたしのことを好きで嬉しかったよ。じゃ、じゃあ、そういうことで」スタスタ(もうオレの写真のことは諦めよう…)
クラスメイト「え、もう帰るの?」
少女「う、うん、ちょっと用事を思い出したから、またね」ハハハ
ガチャ
少年(お、出てきた)
少年「少女、どうだった?」ヒソヒソ
少女「変態の人はちょっと…」ヒソヒソ
少年「…あー、まあなあ…。でも(超美人の)クラスメイトさんだぞ。いいのかよ」ヒソヒソ
少女「だからお断りはしてない…」ヒソヒソ
少年(ええええ。まあ気持ちはわかる)
クラスメイト「少女さん!」
少女「あ、ごめんなさいね?」ニコリ スタスタ
クラスメイト「ああ、その目が笑ってない笑顔も素敵だ…」///
少年(ええ…)
クラスメイト「あの、また叱って…遊びに来てくれるかな…」
少年(叱って?!)
少女「あの写真を剥がしたらまた来るわ。でも剥がさないんでしょう。普通にお友達として他のところで遊ぶのはどうかしら」
少女(写真はもう諦めたけど、オレの写真だらけのあの部屋にはもう入りたくねぇ…)
クラスメイト「わあ! ありがとう!」ガバッ
少年(うお、少女に抱きついた! …あいつ、抱きつかれた途端目がにやけてるじゃねえか…。あ、でも引き剥がした)
少女「ま、まあ、とにかく、また今度ね。じゃあまた」
クラスメイト「うん、それじゃあまたね!」
バタン
クラスメイト「ふふふ。少女さん可愛かったなあ。ああ、今日はボクの部屋に少女さんが来たというのに写真を撮ってなかったよ」
クラスメイト「よし、また部屋に戻って少女さんの写真を見て過ごそう」
クラスメイト「そういえば少女さんの返事をもらってなかったけど…また遊ぶ約束したし、いいよね!」スタスタ
バタン
少年(クラスメイトさん、部屋に入っていった…俺どうしよう…)
少年はクラスメイトにその存在をすっかり忘れられているのだった
-1週間後・朝の教室-
ワイワイ ガヤガヤ
ガラッ
転校生「おはよう!」ズカズカ
少年(転校生、1週間ぶりに出てきたな…)
転校生「おはよう少女。やっと登校できるようになったよ」
少女「おはよう、転校生くん。からだの方は大丈夫なの?」
転校生「ああ、心配をかけたよ。医者のOKがやっと出たのでね」
少女「その割には前より太ってない?」
転校生「ははは、ずっと寝てばかりだったから」
少年(思うところはあるが…転校生、本当にいつもどおりだな)
転校生「まず出てこられるようになったことを知らせないとと思ってね」
少女「昨日LINEで連絡してくれたじゃない。それより…あなたに返すものがあるわ」ヒソヒソ
転校生「! 限定盤のあれか…別に少女が持っててくれていいけど…」ヒソヒソ
少女「そうはいかないでしょう。もちろん今は渡せないけど、少年くん経由で渡すわ」ヒソヒソ
転校生「…わかった」ヒソヒソ
クラスメイト「少女さん!」ワリコミ
少女(ゾクッ)「ク、クラスメイトさん、なにかしら」
クラスメイト(転校生くんが久々に出てきたと思ったらさっそく少女さんのところで何やらヒソヒソと…本当になにもないのかな)
クラスメイト「あ、転校生くんも久しぶりだね!」
転校生「うん、おはよう、クラスメイトさん」
クラスメイト「そうそう、今日のお昼もボクと一緒に食べない?」
少女「えっ?」
-その前日、昼休み・準備室-
クラスメイト「今日はお昼を付き合ってくれてありがとう!」
少女「え、ええ。わ、わたしも誘ってもらって嬉しいわ。中庭に行くかと思ったけど、なんでここに…?」ガタガタ
クラスメイト「だって二人きりになりたかったから…」///
少女(つい、ここまでついてきちゃったけど…大丈夫だったかな…)
クラスメイト「ああ、少女さんと学校で二人きりだね。ふふふ」
少女「そ、そうね」(クラスメイトさんと二人きりは嬉しいような怖いような…やっぱり少年も誘えばよかったか)
クラスメイト「準備室の少女さんも素敵だよ…写真撮ってもいいかな」サッ
少女「なにその大きな一眼レフ…やめてもらえるかしら」
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』
少女「ちょ、ちょっと、やめてって言ったでしょ!」
クラスメイト「ああ、その怒った顔…」ゾクゾク
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ』
少女「うお、や、やめーー!」カオカクシ
クラスメイト「素敵だよ、少女さん…」ゾクゾク
少女「ねえ、ちょっと!!(怒)」
クラスメイト「少女さん!」ギュッ
少女(うお、また抱きついてきた…柔らかくていい匂いだ…)ニヤケー
クラスメイト(ふふふ、少女さんはハグが好きだなあ。ボクも気持ちいいし…)ギュッ
すっかりクラスメイトに見抜かれているのだった
少女「…」ヒキハガシ「と、とにかくもう撮らないでね?」
クラスメイト(可愛いなあ)「うん、じゃあご飯食べようか」
少女「そうね」
…
クラスメイト「ああ、お弁当を食べてる少女さん!」
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』
少女「ちょっっ!」
-朝の教室に話は戻る-
少女(もうあれはコリゴリだけど、断ったらクラスメイトさん悲しむよなあ)
少女「それなら、転校生くんも一緒にどうかしら」
クラスメイト「え…も、もちろんだよ! 転校生くんはいいのかな?」(断ってくれないかな…)
転校生「もちろんだよ」(僕は少女に従うだけだ)
クラスメイト「チッ」
少女「え?」
クラスメイト「ん、なにかな?」ニコニコ
少女(なにか今不穏な音が聞こえたが…でもクラスメイトさんと転校生と一緒っていうのも…転校生はもうああならないとは思うけど、もし同時に襲われたら…)
少女「そ、そうだ、少年くんも一緒でいいかしら」
クラスメイト「えっ、そr」
少女「少年くん!」
少年「え、少女さん、なにかな」(また濃いメンバーが揃ったな…)
少女(タスケテクレ)アイコンタクト
少年(どう助けんだよ…)
少女「少年くん、今日のお昼ご飯みんなで一緒に食べない?」
少年「え、いいのかな?」
クラスメイト「いや、無理にとは言わないよ! 少年くんも忙しいよね!」
少女(タノムカラ)ヘルプミー
少年「あー、ぜ、ぜひ一緒したいなあ!」
少女「ありがとう!」
クラスメイト「チッ」
少女「…」
少年「…」(少年友は相変わらず遅刻スレスレのようだけど、このことは黙っておこう…)
-昼休み・準備室-
少女(またここか…少年の希望でもあるから仕方ないが…)
少年(この組み合わせで中庭とかで食ってたらひと悶着ありそうだからな…とくに俺に対して…少年友に見られても面倒だし)
少女「さあ、食べましょうか」
クラスメイト「いただきます!」サッ
転校生「え、クラスメイトさん、なんでカメラを取り出したのかな…? 食べないの…?」
少年(盗撮じゃなく堂々と?!)
少女(まさかみんなの前でも堂々と盗りにくるとは…)
クラスメイト「あ、ボクのことは気にしないで」
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』
転校生「ええ、少女の写真撮りだした!」
少女「ね、ねえ、やめましょう」ヒクヒク
少女(くう、みんなの前だし怒れない…っていうか、怒ったらクラスメイトさんを喜ばせてヒートアップさせるだけだし…)
クラスメイト「引きつってる少女さんの笑顔、可愛い!」
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』
転校生「少年くん、なんだいこれ?」ヒソヒソ
少年(いきさつ話すわけにもいかないしな…)
少年「知るか」ヒソヒソ
転校生「冷たいね」ヒソヒソ
少年「あたりまえだろ!」ヒソヒソ
少女「ねえ、怒るわよ」
クラスメイト「あああ…もっとボクを叱って!」ゾクゾク
転校生(何か少年はわかってるみたいだし、僕の知っているクラスメイトさんじゃないし…)
転校生「ねえ、僕のいない1週間で一体なにがあったのか教えてくれないかい」ヒソヒソ
少年「だから知るかっ」ヒソヒソ
少女「と、とにかくカメラをしまって、ね?」
クラスメイト「ああ、少女さん…」ゾクゾク
一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』
この事態が収拾しないまま昼休みが終わり、4人はほとんどお昼を食べられないのであった