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第3回

第7話・瑠菜 ルーカス(ルナ ルーカス)と古寺 佳奈(コデラ カナ)


**** 7-03 ****



 そこには、瑠菜と同じく新入生らしい女子生徒が二人、立っていた。手前に立っている女子生徒は、瑠菜と同じくらいの身長で、黒髪を低めの位置に二つ結びにしている。その後ろに立っているもう一人は、随分と背が高く、ストレートの長い髪が印象的だった。


「あ、…佳奈、古寺さん居るかな?」


 二つ結びの女子生徒は、ドアを開けた瑠菜を見て、少し戸惑った様に、そう言った。


「あ、樹里リン。」


 部屋の奥側から、入り口に立っている二つ結びの髪の女子生徒の姿を見て、佳奈が声を上げた。その女子生徒は瑠菜の肩越しに、佳奈の姿を見て、少しほっとした様な表情を浮かべ、佳奈に向かって言う。


「片付けは出来たみたいね、佳奈ちゃん。」


「うん、瑠菜さんに教えて貰ったの~あ、入って、入って。」


 その女子生徒は佳奈に入室をうながされた事を、瑠菜に確認する為に尋ねる。


「お邪魔していい?」


「まぁ…どうぞ。」


 瑠菜は右手でドアを引きつつ身体の向きを変え、左手を部屋の奥へ向かって、動かして見せる。


「お邪魔します。」


「お邪魔しま~す。」


 ドアの前に立っていた二人の女子生徒は部屋の中に入ると、瑠菜はドアを閉めた。再び、オートロックのラッチが掛かる音が、小さく響く。


「取り敢えず、自己紹介しておくわね。わたしは情報処理科の城ノ内 樹里、佳奈ちゃんとは中学が同じだったの。で、こっちは、わたしと同室になった井上さん。」


「城ノ内さんと同じく、情報処理科の井上 維月です、よろしくね。」


 維月は自己紹介すると、瑠菜に向かってスッと右手を差し出す。そこで握手を交わすのも何だか変な気がした瑠菜はその手を取らず、机とセットになっている椅子を、左てのひらを上にして指し示し、声を掛ける。


「ま、取り敢えず、その椅子を使って。立ち話も何だし。 あ、わたしは機械工学科のルーカス 瑠菜よ。 それじゃ、佳奈さんの事はお二人共、知ってるわけね?」


 瑠菜は、部屋の奥側、自分のベッドへ移動し、そこに腰を下ろした。


「ううん、中学が同じだったのは樹里リンとだけ。井上さんとは初対面です、よろしくね。古寺 佳奈です~あ、わたしも機械工学科です。」


 自分のベッドに腰掛けたまま、佳奈は維月に向かってペコリと頭を下げた。

 その一方で、瑠菜がいぶかに、樹里に問い掛ける。


「それで、どう言ったご用?」


「突然押し掛けて来て、ごめんなさいね。佳奈ちゃんの事が心配だったから、様子を見たかっただけなのよ。」


「それじゃ、あなたは、その野次馬?」


 今度は、維月に疑念の矛先を向ける瑠菜だった。


「まぁ、そう警戒しないで。わたしはこの学校に知り合いが居ないから、同級生と交流を持ちたいだけだから。」


「そう、だったら、もう一時間ほど早く来て欲しかったわね。あの子、一時間ほど閉め出されて、ドアの前に座り込んでたんだから、わたしが来るまで。 佳奈さん、あなたも、知り合いが同じフロアに居たのなら、助けを求めれば良かったじゃない。」


 その瑠菜の発言に、佳奈が無邪気に返した言葉は、瑠菜には意外な内容だった。


「これからは樹里リンに頼らないで、自分で考えなさいって。それで、瑠菜さんが来るのを待ってればいいって、自分で考えたの。でも、こう言う時は管理人さんに相談すれば良かったんだって、瑠菜さんに教えて貰ったのよ、樹里リン。」


 樹里は微笑んで、佳奈に言葉を返す。


「そう、それで良いのよ。結果が間違ってても、ず、自分で考えて行動しないとね。」


「うん。」


 樹里と佳奈、二人の遣り取りを困惑した表情で聞いている瑠菜に気が付いた樹里が、瑠菜の方に向き直り声を掛ける。


「同室になるあなたには、佳奈ちゃんの事、お話ししておきたいんだけど、聞いて貰える?ルーカスさん。」


 その時、樹里に向かって佳奈が声を上げるのだった。


「樹里リン!瑠菜さんは、名字で呼ばれるのは嫌なんだって。瑠菜さんって、呼んであげてね。」


「あら、そうなの? じゃ、瑠菜さんって呼ばせて貰うけど、いいかしら?」


「あ、うん…どうぞ。」


 話の展開が読めず、更に困惑の度を深める瑠菜は、そう返事をするのが精一杯だった。ニッコリと笑顔で話を続ける樹里の事が、ある意味、不気味にさえも感じられた。


「瑠菜さんの事にも、俄然がぜん、興味が湧いてきたから、色々お話を聞きたいんだけど。でも、先に、佳奈ちゃんの話からさせて貰って良いかな?」


「ええ、わかった。どうぞ。」


「ちょっと、長い話になるかも、だけど。く、手短に済ませる様に、努力はするわね…そうね、先ず、佳奈ちゃんの態度と言うか、行動と言うか、そのペースとかが物凄く独特だって言うのには、瑠菜さんも、もう気が付いていると思うけど。」


「そうね、部屋の前に座り込んでいたのとか、荷物の片付けが全く進まないのとか、ちょっとビックリした。」


「わたしが佳奈ちゃんと同じクラスになったのは、中二からなんだけど。佳奈ちゃんの周りに居た人達から聞いた話に依ると、まぁ、小学校の頃からそんな具合だったらしいのよ。それで、学校で周りの人とペースが合わないと、まぁ、周囲が迷惑するからって事で、佳奈ちゃんには『お世話係』が付いていたらしいのよね。で、わたしが中二の時にそれに任命されちゃったわけ。その辺りの細かい事情は、省略するけど…。」


「それを、わたしにやれって話?」


 樹里は慌てて両方のてのひらを瑠菜に向け、否定の仕草をする。


「結論を急がないで、もうちょっと続きが有るから。 で、佳奈ちゃんと向き合う様になって、分かったの。ペースが独特なだけで、決して、頭が悪いわけじゃないって。この学校に合格してる事だけでも、その証明になると思うけど、どう?」


「そうね、確かに。」


「でね。佳奈ちゃんの家に、何度か行ってね~気が付いたのよ。佳奈ちゃんのお母さんがね、せっかちなの、物凄く。」


「え?」


 その話の展開に、黙って成り行きを見ていた維月までもが、思わず声を上げたのだった。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。


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