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第4回

第1話・天野 茜(アマノ アカネ)


**** 1-04 ****



「手前のメンテナンス・リグに乗ってるのが HDG なんだけど…ここからじゃ、良く見えないわね。


 茜は窓越しに試作機を見ようとしていたが、二階に有る部室から見下ろした HDG は小さく、細部や具体的な形状は良く解らなかった。


「『HDG』って、何の略なんですか?」


「『Hyper Dominative Gear』…意訳すると『超制圧装具』って感じだけど、防衛軍が対『エイリアン・ドローン』用の装備として、防衛装備の開発企業各社に研究要望を出した時の呼称らしいわ。本社の企画部ではそのまま、HDG って名前で計画を練っていたそうよ。」


「ちょっと、物騒な名前ですね。まぁ、無理も無いですか…相手が相手だし。」


「そうね。」


「あ、AI が Ruby だから、あの機体も赤なんですか?」


 茜の問い掛けに、逸早いちはやく反応したのは Ruby だった。


「何故、搭載 AI の名称が Ruby だと、機体が赤くなるんですか?茜。」


「だって、『ルビー』って赤い宝石でしょ。」


「成る程、駄洒落の一類型ですね。勉強になりました。」


「あはは、そんな引っ掛けをした積もりは無かったけど。言われて見れば、それも有りだったわね。」


 鬼塚部長が笑いながら、席に戻って行く。


「今からでも、そう謂う由来にしない?」


 そう言って、恵も笑いながら、言葉を続けた。


「本当は、試作機だから目立つ色にしてって、防衛軍のほうから指定されたそうなのよ。」


挿絵(By みてみん)


「そうですか。何だか、詰まらない理由ですね。ねぇ、Rudy。」


「ハイ。詰まりませんね。」


 茜に対する Ruby の返事を聞いて、一同、笑い出した。


「あ、そう言えば。さっき言われていた『交換条件』ってのは、どう言う事ですか?」


「あぁ、そうそう。この Ruby の教育を依頼されているのよ。教育って言うと大袈裟おおげさだけど、ようは、こうやって、普通におしゃべりしていたらいいの。今みたいに、何でも無い会話の中から、人とのコミュニケーションに就いて Ruby 自身が学習していくから、って。」


「一昨年の夏、初めて、ここに来た時は、堅苦しい感じだったけど。今では、さっきみたいに、ユーモアも解る様になって来たものね、Ruby。」


「ハイ、恵。でも、ユーモアや冗談は、まだ、わたしには難しいですよ。」


「いいんですか?そんな事、教えちゃっても…。」


「大丈夫よ。本社の開発部へ、定期的にログが送られてるけど、『このままでいい』って言われてるから。 それに、冗談やユーモアの件は兎も角、情報の検索や分析に関しては Ruby の計算能力には助けられてるのよ。今では、うちの大切なスタッフの一人だわ。 ただ、ね、知らない人の前だと、急におしゃべりすると驚かせちゃうから、そう言う時は許可を出すまで、黙っていて貰ってるの。」


「あ、成る程。」


 茜は鬼塚部長の言葉に頷いたのち、Ruby の端末カメラの方へ向いた。


「でも、わたし達の会話は、聞いていたわけね。」


「ハイ、茜。」


「もう名前を覚えてくれて、嬉しいわ。」


「ハイ、記憶するのは得意ですから。」


「それじゃ、Ruby、あなたの名前の由来は、矢っ張り、宝石のルビーから、かしら? プログラム言語にも Ruby って言うのが、昔、有った様な…。」


「ハイ、わたしが起動したのが七月だったので、七月の誕生石にちなんで、開発スタッフのかたが Ruby と名付けてくれました。プログラム言語のほうは関係有りません。」


「そう、いい名前ね。」


「ありがとう、茜。」


 茜は自然と AI の Ruby との会話が進んだ事に、少し驚きつつ、ここまでのコミュニケーション能力が必要なのだろうか?と、そんな疑念も抱いていた。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。



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