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第13回

第5話・ブリジット・ボードレール


**** 5-13 ****



「天野さん、お友達が青い顔してるから、減速して一旦着地、こっちに戻ってちょうだい。」


 緒美がヘッド・セットを通して茜に伝えると、第三格納庫の手前で身体を起こして減速し、高度を下げつつ北向きに進路を変えて、格納庫前の駐機場へと降り立った。それは昨日の「事故」など感じさせない、極めてスムーズな動作だった。

 着地した茜が、格納庫の方へと歩いて来る。茜はブリジットの姿を見付け、手を振った。


「天野さん、反応はどんな感じだった?」


 格納庫内から大扉の方へ歩きながら、樹里がヘッド・セットを通じて茜に話し掛けて来た。


「はい、バッチリでしたよ樹里さん。わたしには、これくらいで良いと思います。」


「オーケー、じゃぁ、この辺りを軸に、今後の調整をしていきましょう。」


 茜とは、まだ少し距離が有るので、大扉付近に居た一同には、樹里の話し声しか聞こえない。立花先生は緒美に、その内容に就いて尋ねる。


「何の話?緒美ちゃん。」


「あぁ、スラスター・ユニットの思考制御、イメージ検知のパラメータを、気持ち甘めに微調整しておいたんですよ。」


「あ、昨日の事故対策?」


「はい。初期設定だと厳し過ぎて、ノイズを拾ってたらしいので。天野さんも、ちょうどいいっ感触だって言ってました。」


 そこに、畑中が参加して来る。


「そう言うのは、やってみないと分からないんだよなぁ。」


「まぁ、個人差も有りますからね。」


 緒美が畑中に、そう声を返した時、ブリジットは一同の輪から離れ、一人、茜の元へと駆け寄って行った。


「どう?すごいでしょ、これ。」


 そばに来たブリジットに、微笑んで茜は、そう声を掛けた。


「あんな事をして、怖くないの?」


「これだけの装備だもの。それに、この装備の仕様も把握してるし。」


 もとより白い肌のブリジットの顔から、一層、血の気が引いた様に見えて、茜は慰める様に答えた。しかし、ブリジットの気持ちは収まらない。


「でも、あの高さから落ちたら、怪我じゃ済まないわ。」


「そりゃ、頭から落ちたらね。でも、四、五メートル位の高さからなら、脚から降りればこの装備が衝撃を吸収してくれるのよ。だから、安全な高度までに充分減速して、脚から降りる様に姿勢を制御すれば、充分安全なの。」


 ブリジットは唇を軽く噛んで、茜を見詰め、黙り込んでいる。茜は掛ける言葉が見つからず、立ち尽くすのみだった。

 その様子を見兼ねて声を掛けたのは、直美である。


「ブリジット、そんなに天野が心配なら、うちに入部すれば?」


 その言葉を聞いた緒美と恵は、互いの顔を見合わせ、くすりと笑ったのだが、そのアイデアを否定はしなかった。声を返したのは、茜の方である。


「駄目ですよ、副部長。ブリジットはバスケ部が…。」


「別に、掛け持ちしたって良いんじゃない? 何だったら、女子バスケ部の部長には、わたしが話を付けてあげる。」


 直美は茜の発言を制するように、言った。ちなみに、女子バスケ部の部長は、直美と同じクラスである。

 次いで、言葉を発したのは緒美である。


「正式に入部すれば、もっと詳しく HDG の仕様について教えてあげられるし、そうすれば、少しは心配もやわらぐかもね。」


「でも、わたし、この部活に貢献できる様な、特技は無いですよ。」


 ブリジットの意見に、恵が微笑みながら声を返す。


「あら、だったら、身体からだで貢献して貰えれば大丈夫よ~。」


「え?」


「森村、その言い方は怪しいって…。」


 目を丸くするブリジットを見て、笑いながら直美が「突っ込み」を入れる。


「HDG のB型とC型をね、今、製作中なの。出来上がるのは、もうしばらく先になる予定なんだけど、それぞれ、テスト・ドライバーが必要なのよね。特にB型は、高機動仕様のモデルだから、運動神経のいい人が欲しいの。あなたなら、いいデータが取れそうだし、是非、協力して貰いたい所ね。どうかしら?」


 と、恵の意見に就いて、緒美が解説をする。

 唐突な勧誘にブリジットは驚いて、意見を求める様に茜の方を向くのだが、茜は微笑んで、ブリジットに言う。


「わたしはノーコメントよ。ブリジットが良いと思う様に決めたらいいわ。」


「茜~…。」


「まぁ、今ここで決める必要は無いから。考えて置いてくれたら嬉しいわ。」


 直美は後ろからブリジットの肩を抱く様にして、そう言った。

 その様子を見ていた恵が、緒美に耳打ちをする様に話し掛ける。


「直ちゃん、随分とあの子の事が気に入ったみたいね。」


「体育会系同士で、気が合うんじゃない?」


 緒美も小声で恵に声を返したのだが、その遣り取りは緒美のヘッド・セットのマイクに乗っていて、樹里と茜にだけは聞こえていた。そして、それを聞いた茜が、思わず吹き出してしまうと、直美とブリジットが怪訝けげんな表情をするのだった。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。



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