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第3回

第1話・天野 茜(アマノ アカネ)


**** 1-03 ****



「最初はね、在学中に基礎理論だけでも確立して、入社したら計画を提案出来るチャンスが有るかしら、って思ってたんだけど。まさか、二年で試作にまで到達するとは、思っても見なかったわ。」


「試作機が有るんですか?」


「有るわよ。あとで見てちょうだい。」


「是非。」


 その短い答えと表情に、茜の熱意を感じる先輩二人だった。


「それにしても、お話を聞いただけでも…何だか、凄い事になってますね。」


「まぁ、それに就いては種明かしをするとね…。」


 今度は恵が語り出す。


「わたし達が入学しただいで、この部の顧問が立花先生に代わったのよ。この部は代々、本社から出向して来た講師の人が顧問になる事になっているそうなんだけど…理由は、前にも言った通り、『防衛装備事業』へのリクルート絡みね。 で、たまたま顧問になった立花先生が本社の企画部から来ていたのね。 で、その立花先生が部長の研究資料を見て、以前から企画部で検討してた案件と丸被りだったと云う事で、今では本社の『開発部』と『試作部』も巻き込んで、開発が進んじゃってるわけ。あ、防衛軍も一部絡んでるわね。 本社の方の思惑は、正直、良く解らないんだけど、部長のアイデアを、わたし達で開発を続ける事に、本社側が協力してくれる事になったのよ。」


「大丈夫?付いて来られてる?話に。」


 普通に考えれば、突拍子も無い恵の話を黙って聞いている茜に、鬼塚部長が微笑んで聞いて来た。


「はい、大丈夫です。信じがたい内容ですが、お話は理解は出来てます。」


「良かった。あなたが話の分かる子で助かるわ。…それで、本社の協力と云う事で、本社の『技術データベース』をわたし達も設計に使える様になったの。それと、うちは大まかな仕様計算と概略設計をすれば、詳細設計と試作製作は、それぞれ本社の『開発部』と『試作部』がやってくれる事になったんだけど…。」


 そこまで恵が話した所で、鬼塚部長が割って入る。


「それでね、交換条件的に本社から預かっている物が有るのよ。…ハァイ、Ruby、もうおしゃべりしてもいいわよ。」


 そう言って鬼塚部長は部屋の奥の窓際に有るモニター、その上の小型カメラに向かって手を振った。


「ありがとう、緒美オミ。」


 室内に、女性の合成音が響いた。


「今の声は?…。」


「本社が開発した AI の Ruby よ。この部屋に有るのは端末だけど、ちょっと、こっちに来て。」


 鬼塚部長は席を立ち、モニターが取り付けられている、部屋の奥の窓際へ進みながら、茜を手招きする。

 茜も促されるまま其方そちらへ歩いて行く。

 その窓からは格納庫内部が見下ろせるのだが、そこには赤く塗装された浮上戦車ホバー・タンクの様な機体が一機、停められていた。


挿絵(By みてみん)


「下に、赤い大きな機体が見えるでしょう?」


「戦車ですか?あれ。」


「HDG…わたし達が開発中の『パワード・スーツ』の事ね。その、陸上支援用の機体で『LMF』って呼んでるわ。あれの自律制御用の AI ユニットとして預かっているのが Ruby 。 Ruby 本体は、あの中ね。 『LMF』は『HDG』の兵器システムの一部なんだけど、構造的に大きいし、既存技術で出来るから、先に試作機が完成したのよ。」


「一体、予算、幾ら使ってるんですか?」


 茜が半ば呆れた様に、問い掛けた。

 それには席に着いたままの恵が、茜の背後から答える。


「それこそ、企業秘密よ~。それに多分、知らない方が気が楽よ。」


 そう言って、恵は「うふふ」と笑うのだった。


「そう言う事。」


 鬼塚部長はポンと茜の肩を叩いて、再び窓の外を指差した。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。





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