表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
32/285

第8回

第3話・Ruby(ルビィ)・1


**** 3-08 ****



 その緒美の様子に、逸早いちはやく気が付いたのは恵である。


「どうかしたの?部長。」


「…あぁ…いえ、天野さん。取り敢えず、HDG との接続を解除して。」


 緒美は恵の問い掛けを左手で制し、茜に話し掛けるのだが、帰って来た言葉は意外な内容だった。


「それが、出来ないんです。腕の接続、ロックが解除出来ません。これ、思考制御で外れるはずですよね?」


 樹里の方へ振り返って、緒美は尋ねる。


「天野さんが、腕の接続が解けない、って言ってるんだけど。思考制御以外で外す方法って有ったっけ?」


「えっ?…あぁ、音声コマンドで、『腕部接続固定開放』で解除されるはずですが。」


「ありがとう…天野さん?音声コマンドを試してみて。『腕部接続固定開放』、言ってみて。」


「はい、やってみます。『腕部接続固定開放』…『腕部接続固定開放』…ダメです、外れません。」


「そう…こっちで検討してみるから、もう少し我慢してね。」


「はい…く早く、お願いします。」


 ヘッド・セットから聞こえて来たのは、茜の落胆した声だった。


「どうしたんですか?」


 樹里が心配に、緒美に問い掛ける。


「トイレ、行きたいんだって。」


 緒美の、その簡潔な返答で、その場に居た一同が、事態を理解したのだった。


「腕のロックが外れないと、HDG との接続を開放する操作が出来ませんね…動力系がダウンすると、ロックの解除が出来なくなる様な設計じゃないはずですけど…。」


 原因を探ろうと、樹里はコンソールを激しく操作している。


「原因の究明は後でじっくりやる事にして、今は、天野さんの救出が優先だわ。インナー・スーツの手首のスイッチ、別の人が外から押せるかしら? あと、それでダメなら強制開放スイッチね。」


「やってみましょう。」


 緒美の発案に言葉を返し、直様すぐさま、茜の元へと向かったのは瑠菜だった。

 歩行途中の姿勢のまま、固まってしまった HDG の元へ駆け付けると、瑠菜は茜の前に立った。一人、放置状態で心細い思いをしていた茜は、救援に来たのが誰であったとしても、その事実には大きな安堵感を覚えたのである。


「聞こえてたかもだけど、先ず、インナー・スーツのスイッチ操作をやってみるから。」


「はい、お願いします。」


 瑠菜はず、茜の右手側へ回り、HDG 腕パーツの前側の隙間から指を差し込み、右手首のスイッチを探す。幸いな事に手首は腕パーツ端面から、それ程、深い位置ではなかったので、指が届かないと言う事はなかった。瑠菜は指先の感触でスイッチを探り、それを押した。スイッチを押した感触は確かに有ったのだが、残念ながら HDG は、それに反応はしなかった。


「反応、無いわね…。左側も試してみましょう。」


 今度は左手側に位置を変えて、瑠菜は先程と同じ様に、茜のインナー・スーツの左手首のスイッチを押した。しかし、それも反応は無かった。


「ダメ…ですね。」


「じゃ、強制開放スイッチ、やるよ。」


「はい。」


 瑠菜は茜の正面に位置を変え、茜の胸の前に降りているフレーム側部下面を、前側から両手で持ち上げる様に掴む。その状態でフレームの下面の窪みへ指を差し込んで、強制開放スイッチを探り当てる。


「行くよ。」


 瑠菜は指先に力を入れて、強制開放スイッチを押し込んだ。

 しかし、これも又、何の反応も無かったのだった。


「嘘、これもダメ?」


挿絵(By みてみん)


 思わず声を上げたのは、瑠菜だった。


「部長、強制開放スイッチも機能してません。どうしましょう?」


 茜にはヘッド・ギアの通信機能で、緒美へ状況を報告し、そして回答を待つ以外、為す術は無かった。

 一方、茜の報告を聞いた緒美達は、直ぐに次の対策を検討し始める。


「城ノ内さん、強制開放スイッチも機能してないって。次、何か手は有る?」


「強制開放スイッチは暴発防止の意味で、システム系が生きている内は起動しない様にインターロックが掛かってますね…この仕様は、こう言う事態が起きるとなると要検討ですけど。システム系まで完全に落とすとなると、バッテリーが完全に切れるのを待つしかない、でしょうか。」


 そこで、直美が声を上げる。


「いっその事、バッテリーを外しちゃえば?」


 その発案に答えたのは、佳奈である。


「あ、副部長、バッテリーはリグに接続しないと、外せないんですよ。さっきは忘れてましたけど…。」


「何で、そんな仕様になってるのよ?」


 直美の疑問に答えたのは、緒美だった。


「あぁ~そう言えば、加速度や衝撃とかで脱落しない様に、ロックが掛かってたわね。バッテリーのロックを解除するには、メンテナンス・リグに接続して、ロック解除コマンドを入力しないと。」


「バッテリーが切れるの待つとしたら、あと一時間ぐらい?」


 再びの、直美の問いに、今度は樹里が答える。


「いえ、動力系が電力を使わない状態になってますからね…あと五時間ぐらいは、バッテリーが持つはずです。」


 樹里の回答を聞いて、一同は揃って深く溜息をいたのだった。




- to be continued …-




※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ