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第3回

序章


天野重工付属天神ヶ崎高校


**** 0-03 ****


 もう一つ、重要な背景であり舞台である『天野重工付属天神ヶ崎高校』に就いて、記しておかなければならない。

 その名称から推測出来るかも知れないが、それは民間企業である『天野重工株式会社』が、主に自社の技術者を養成する為に設立した学校である。

 この学校は、生徒を『準社員』扱いとする『特別課程』を有する事が特色で、『特別課程』の生徒に就いては全寮制として在学中の『食』と『住』、そして学費を会社が負担する。その上、生活に必要な程度の給与まで支給されるのだが、その条件として『卒業後最低五年間は天野重工の正社員として勤務する』と云う契約を、入学時に交わす必要が有る。その契約には在学中に知り得た、『天野重工』に関する秘密保持の義務も含まれている。

 もしも、卒業時に勤務出来ない状態(病気や怪我、或いは犯罪に関わる等、社員として相応しくないと判断された場合)になったり、中途で退学になった場合は、それまでに掛かった生活費や学費等を会社へ返済する義務が生じる(返済額に就いては事由に依って酌量しゃくりょうはされる)と云う、入学するには少々の覚悟が必要な契約内容ではある。とは言え、真面目に、普通に学生生活を送ってさえいれば卒業後の進路は保証されるわけで、それ故に、入学するのには比較的、競争率が高い学校となっていた。

 

 『天神ヶ崎』と云うのは最初に開校された時の立地名で、地名の示す通り海際の立地であった。当初は全ての生徒が、今で謂う所の『特別課程』のみの構成だったため、採算の度が外れた内容であった。そこで、『準社員』ではない生徒の通う『普通課程』を新設する事に拠り、全体の生徒数を増やして学校経営の採算性を改善する事になり、その為、『天野重工』が所有する山間地に規模を拡大して移設されたのが、現在の『天神ヶ崎高校』である。

 

 『普通課程』のカリキュラムは他の公立高校とほぼ同じで、一般的な科目に就いては『特別課程』の生徒と合同で授業を受けるが、『特別課程』の生徒は選択科目や専門科目が『天野重工』の社員・技術者養成のカリキュラムとなり、授業時間も全体として『普通課程』の生徒よりは多目おおめになる構成である。

 『普通課程』に就いても有名大学への進学率が高いなどの理由で、学校全体としてレベルは高く維持されており、『天野重工』への就職目当てではない生徒にも人気の有る高校となっていた。

 ちなみに、『特別課程』は『機械工学科』と『電子工学科』、及び『情報処理科』の三つの学科に分かれており、『特別課程』の定員は一学年につき各学科それぞれ三十名程度になっている。『普通課程』の定員は一学年につき約九十名。三学年、全体で生徒数は約五百四十名、と云う事になる。

 

 『天野重工』についても、少し、記述しておこう。

 そもそもは『天野製作所』として創業者・天野 総一が起業した中小企業であったが、水素燃料関連の主要部品の開発と特許取得を契機として事業を拡大し、不採算だった他社の航空機事業や特殊車両事業などを次々と買収しては自社事業として再建する形で、天野社長が一代で日本を代表する重工業メーカーへと押し上げたのが、現在の天野重工である。

 現在では日本の防衛産業にも深く関わり、航空防衛軍(数十年前に自衛隊は防衛軍に改組)の主力戦闘機や、陸上防衛軍の主力戦車など、天野重工が主契約会社となっている。

 

 最後に、天野重工の創業者である天野 総一氏は、現在は天野重工の会長であり、『天神ヶ崎高校』の理事長も兼任している事を補足しておく。

 

 

 この様な状況を背景として、物語は始まる。

 



- 序章・了 -



※この作品は現時点で未完成で、制作途上の状態で公開しています。

※誤字脱字等の修正の他に、作品の記述や表現を予告無く書き換える事がありますので、予めご了承下さい。


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