勇者の資格 5
研究所にリツ達が向かい、数日が経った。
彼等はもう一度こちらに戻ってくる予定だ。
彼等も日は暫くかかるかもしれないと話していた。
例えどれだけ時間がかかっても、安全に行動をしてもらえればいいと答えた。
駅の町も秋を迎え、厳しかった日差しが和らいでくる。
コウが周辺の警備を行いながら、リョウと移民の子らで、食料採取を行う。
以前に見つけられたリンゴの木には、小さめの実が大量になっており、それを集めて過ごす。
外に連れ出すのは危険だとはわかっていたが、二宮良子もその中に加わっている。
理由はリョウの側にいるのが、一番安心するようであること。
また、何か行動を起こすことで、少しでも状態が変わらないかという、あてのない望みである。
移民の子らも、最初は見慣れぬ女性を警戒していた。
すこし距離を置いて、彼女を遠巻きに眺めている。
リョウが何か話して、移民の子らが二宮良子に近ずく。
しばらくすると、皆が二宮良子に揉みくちゃに撫でられていた。
中身はともかく、見た目は綺麗なお姉さんである、二宮良子にかまわれて、少年たちは顔を真っ赤にして逃げ惑っている。
それを見て、リョウがケラケラと笑いだし、つられて少し笑ってしまう。
秋の収穫は、投石を受け多少は目減りしたものの、十分な量があった。
追加で得た魚や森の木の実を足すと、移民たちの分を含め、ギリギリ冬を越せそうである。
それは全く余裕のない計算でもあったが、全く望みが無いわけでないことに、皆が胸を撫でおろした。
完全に望みが無い場合、新たな決断をせざるを得ない。
矢継ぎ早に起こる、日々の出来事。
決断の連続。
皆つらい決断をすることは、望んでいない。
多少の余裕を持ちたいと、タケル達が狩りに出るが、そちらの成果は芳しくない。
ただ、獲物が取れないなりに、周辺の警戒を行い、あわせて野草なども集めてくる。
タケル達も、「生き残ること」の達人と言えるだろう。
無駄な時間を過ごすことはない。
出来ることを出来る限り行う。
僅かでも時間が空けば、若いものを教育する。
日々時間を惜しむように、少しずつ少しずつ、物事を重ねていく。
老いたるものは、若い者の為に。
若い者は、子らの為に。
以前の自分は、日々を漠然と過ごしていた。
命は一つしかなく、明日のことは誰にもわからない。
それは今も昔も変わりないことなのに。




