生きよう 3
リョウはユカリに抱き着いて、「ぶえぇぇぇん」と泣いている。
何を言っても、聞いても泣き止まない。
余程心配をかけたのだろう。
二人でリョウを挟むように抱きしめる。
しばらくすると落ち着いて、ようやく話せるようになった。
心配をかけたことを、どのように詫びようかと考えていると、リョウが鼻水を垂らしながら話す。
「コウさん、もう釣り針1つしかない。」
そうか、結構あてにしてたのに・・・。
「わかった 作ってみるよ」
やったけど無理だったと、さらに泣き出す。
もう一度、抱きしめてあやす。
「心配かけてごめんな」
そう伝えると、さらに泣き出した。
言葉には出さないけれど、ずっと心配をしていたんだろう。
今も、出かけていた時のことは何も言わない。
ずっと、我慢していた涙が、ついに決壊してしまったのだろう。
リョウは察しがいい。その分苦しんだんだろうな。
狭い寝台に、寄り添って3人で座る。
真ん中に挟まれて、リョウは満足そうだ。
ユカリが外であったことを、楽しいことだけ選んで話す。
リョウがくるくると表情を変えながら、話をきいている。
「コウさんは、本当に駄目ね」
どうして、最終的に、いつもこの結論になるんだろう。
そうして皆で笑う。
「ただいま」と二人で告げる。
「おかえりなさい」とリョウが笑顔で答えた。
翌朝を迎える。
早めに目が覚める。足の腫れは残るが、だいぶ普通に歩けるようになった。
ユカリは結局、リョウに連れていかれてしまった。
今頃は二人で寄り添って眠っていることだろう。
廃材から適当な鉄片や針金を拾い、釣り針を作る。
流民の子らにも、わけるために多めに作る。
酒場にいって、焼き入れと焼きなましを試そう。
作成にずいぶん時間を取ってしまった。
おそらく、皆起きているだろう。
リツ達の様子も気になる。
酒場に行くと、リクとユウタが歩いていた。
まだ、足取りはぎこちないものの、何とか歩けている。
二人は、投げた銃やバイクのことを気にかけており、探しに行くことを約束した。
リツは、まだ寝たままだが意識はハッキリとしている。
部屋の奥から、ユカリとリョウと子供たちの声が聞こえてくる。
楽しく過ごしているようだ。
やりたいこと、やらなければならないことが山積みである。
昨日のことも、まだ心にしっかりと残っている。
今日も、明日もきっと苦しい日が続くのだろう。
だけど、大丈夫だ。
なんとなく生き残ってしまったけれど、頑張って生きていこうと思う。




