生きよう 2
彼らには、銃も返していた。
駅の町の人は、本当にお人よしだ。
そして、その銃は今、自分の背中に向けられている。
正直生きた心地はしないが、したいようにさせよう。
「そのままでいいから、付いてこい。」
流民達に告げて、シェルターに向かう。
シェルターまでの道中は、危険もなくたどり着いた。
周囲に危険な兆候はない。
扉の開閉を説明し、内部に入る。
上には、数人見張りするように伝えておく。
数日間使用し、多少の荒れはある。
しかし、流民の彼らには、8室の居住空間は十分なものだった。
左手に布を巻いた女性が問いかける。あの時の女性であろう。
「どうして?」
どうしてだろう。罪滅ぼしというわけじゃない。
うまい答えが出てこない、適当に答える。
「貸すだけだ、問題を起こすなら追い出す。別の所へ行け。」
鍵もなく、危険なところだ。
見張りをたてても住めるかどうか、保証はできない。
そういった説明をするが、彼らの目には驚きと不信感が残る。
彼らに、部屋の説明を済まし、シェルターをでる。
見張りの中に、自分が頬を打った少年がいる。
15歳くらいだろうか、昔ならサッカーなどに興じる歳だろう。
僕の姿を見ると銃を向けてきた。その姿が、痛ましく思える。
内心の恐怖を抑えて、正面から見据え話しかける。
「撃ってどうなる。弾を無駄にするだけだ。」
「無駄にはならないよ。仇討ちだ。」
「仇を討ってどうなる。俺も死ぬまで抵抗するぞ。」
無言な彼に、続けて告げる。
「お前くらいなら、撃たれてからでも殺せる。」
根拠なんてない、ただ震える少年を見て思う。
簡単には撃てない。簡単に撃てるほど、彼は幼くはない。
震える彼から銃を取り上げて、また返す。
「また来る。見張りは絶やすな。中のものは好きに使っていい。」
そう告げて、町に戻った。
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町の酒場に戻ると、タケルさんとユカリに掴まる。
入り口で待ち構えていたようだ。
手を引かれて、説教を受ける。
老人たちもあらわれて、横で説教を聞いている。
まるで、皆で怒られているようで、笑ってしまいそうになる。
「コウさん、みんな心配したんだ。笑っちゃいけない。」
そうタケルさんに、諫められる。
素直に受けてめて、詫びる。
「ゆかりなんぞ、出って行ったことを聞いて、私も死ぬって大騒ぎだったんだ。」
ユカリが、「なんで言うの」と、タケルさんの頭を叩く。
それで、皆が笑ってしまう。
深くお詫びして、ユカリを抱きしめる。
ユカリは目を赤くしており、心が痛む。
・・・ゴホンッ・・・
老人たちの咳払いで、二人の世界から呼び戻される。
タケルさんは、真剣な表情にもどり、これからのことを聞いた。
「どうするつもりなんだ。何か、『あて』はあるのか。」
彼らの食料、これからの関係性、問題は山積みである。
首を振り、具体的に『あて』は無いことを伝える。
あきれた顔をして、タケルさんが答える。
「町の外とはいえ、もう一度争いが起きかねん。」
タケルさんの深いため息つく。軽率であったかもしれない。
「ですが、自分が協力していくつもりです。」
皆も、本当は責めたくは無かったのだろう。
あのままでは、流民達は皆、何かの餌になるか、飢えて死ぬことになる。
誰もそうなることを望んでいるわけじゃない。
「なんとかできなかったら、コウのごはんあげちゃうからね。」
ユカリが、笑い泣きながら言った。
ユカリと二人で、町の居住区に戻る。
手をつないできたので、強く握り返した。
リツ達が部屋を占拠しているので、ユカリは自分の部屋に来ることになった。
自分の部屋といっても、ただ廃材で囲っただけのスペースである。
小さな箱と、手製の寝台、それにリョウが飾ってくれた花が一輪。
狭い寝台に二人で並んで寝転び、天井を見る。
「生きてるね。」
そう言って、二人で笑った。
しばらくそうやって、じゃれるように過ごす。
彼女のにおいが、生きて帰ってきたことを実感させる。
ユカリが、何かを決心したように、体に覆いかぶさってきた時・・・。
「ぶぇぇぇん」と泣きながらリョウが現れた。




