生きよう
残った流民達を集め、武装解除を行う。
彼らはみな、力なくうなだれている。
逃げる場所もなく、呆然とする彼らを、いったん町に収容することにした。
彼らから取り上げた銃を構えて、カイ達が見張っている。
流民達の死体を集め、火葬する。
以前から火葬場はあったようだ。
薪を大量に使用する。
町の在庫を全て使用してしまうことになるが、誰も止めなかった。
リツ、リク、ユウタの三人は、酒場のユカリの部屋で寝かせている。
3人とも、命に別状はない。
ユカリが忙しそうに、看病にあたっていた。
老人たちは、寡黙に後かたずけをしている。
礼をつたえると、片手をあげて答えた。
火葬した遺体の一部をそれぞれの遺族に手渡し、残りは町の共同墓地に埋められる。
全て終わり次第、流民達は出ていく予定だ。
タケルさんは、肩に銃弾を受けていた。
弾は肩をかすっていたが、傷は浅い。
手当てを受けた後、酒場の席に腰を掛けて休んでいる。
タケルさんに呼ばれて、向かいに座る。
彼はいつものように、無精ひげをさすり、考えてから話しだした。
「そうだな・・・、その・・大丈夫か?」
「はい」
そうか・・と答え、それ以上何も言わなかった。
暴力に訴えられたとはいえ、野盗ではない人たちを傷つけ、殺した。
まだ、少年と言っていい、若い者も殺害した。
その恐怖に、自らの罪の重さに、手は震えている。
震える手を見つめながら、良子の言葉を思い出す。
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あなたは、この残酷な世界で、生き残っていたい?
「生きていたい」
本当に?
「生きていたい」
誰かを犠牲にしても?
「生きていたいよ。」
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望んで犠牲にしたいわけじゃない。
けれど、あの時に決めたんだと思う。
ユカリをリョウを、町の皆を守るためなら、自分自身を守るためなら、
『誰かを犠牲にする覚悟』をすることを。
自分の気持ちを改めて確認し、ふぅと息をつく。
流民達はどうしているだろう。
気になり、外へでる。
カイ達に囲まれて、身を寄せ合い、うつむいている。
そのうち一人が、僕をみつけて睨んでいる。
一番多く、彼らを殺したのは自分だ。
恨みをかっているのだろう。
「この人殺しっ。」
彼は小さな声で、僕を呪う。
聞こえたんじゃないかと、周りの子供や女性が怯えている。
彼の元へ向かい、その頬を叩く。
「そうだ、俺が殺した。」
彼は泣きながら言う。
「どうして、どうしてっ」
先は言えないのだろう。彼らが殺意を持って、襲ったのだ。
「お前たちを助けるために、俺達に死ねというのか。」
彼は答えない。答えられない。
「俺は、俺たちが生きる為なら、お前たちを殺せる。」
その言葉に彼は、憎悪を込めてこちらを見る。握りしめた拳が怒りで震えている。
僕は火葬場の炎を指さして、続ける。
「彼だって、そうだったさ。」
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火葬がすべて終わり、カイ達が流民に遺骨を渡す。
町の外に、彼らの武装や荷物を置き、それから退出を促す。
皆、言葉もなく従う。
彼らの後について、自分も街をでる。なぜ、そうしたのか、自分でもわからない。
「とりあえず、住めそうな場所はある。」
そう告げて、彼らの前に立った。




