死闘 9
老人たちと合流し、状況を見守る。
威嚇なのだろうか、狙ったのだろうか・・・。
町に向けられた銃口より、一発の銃声が流れる。
老人たちは、それぞれお互いの年齢を確認しあっている。
最も年長の者が、立ち上がる。
「いいか、本当に無理だと思うまで、手は出すな。」
それだけ言うと、両手を挙げて、流民達のもとに向かう。
流民のリーダーであろう男が、銃を向けながら話す。
「なんだ爺さん、死にたいのか。」
悲し気に首を振ると、地面に手をつき、頭を下げる。
「すまないが、何処かへいってもらえんか。もう聞いていると思うが、この町の食料は、尽きかけている。」
「しばらくでもいい、子供達もいるんだ。中へ入れろ。」
老人は顔をあげて、首を振る。
「その後どうする。何処かあてはあるのか。」
男は怒りを隠さず答える。
「あれば、そこに行っているだろう。何処に行けというんだ。」
老人はスッと、西を指さして答える。
「わしも行ったことはない。海に向かえば、大きな町があると聞いたことがある。」
男は、銃を老人の頭に突きつける。
「そこまで行けと言うのか。そこで受け入れられる保証がどこにある。」
「それは、わしには答えられん。」
男は怒り狂っている。今にも引き金を引かんばかりだ。銃を持つ手は震え、顔は赤く、怒りと悲しみに満ちている。
鈍器をもった男たちは、バリケードを崩し始めた。
「わしを撃つのか、お前たちを助けるために、わしらに死ねというか。」
「あぁ、そうさせてもらうさ。」
老人は、すっと前に進むと、銃を頭で跳ね上げ、ナイフで男の首筋を切った。
世界は止まったように、音が聞こえない。
男は何の声もあげず、倒れた。
倒れた男より銃を奪うと、鈍器を構えた男達に向かい銃声が響く。
老人に鈍器を向ける男達を、タケルが撃つ。
3人の男が倒れ、残るものは固まっている。
コウは、子供や女性たちの方向を見た。
逃げてくれていればいいと願いながら。
女性や子供を守るように立っていた男が、手を震わせながら銃を構えている。
まだ若い。子供のようにも見える。
まずい・・。撃つな・・・。逃げろ・・・。
祈り、森をぬける。
もうすこし・・。撃つな・・。
間に合わず、銃声が聞こえる。
「ぐぁっ」タケルの声が聞こえる。鉈で銃を払う。
男は尻もちを搗き、失禁している。
女性の一人が、子供を庇うように立ち、そしてナイフで向かってくる。
世界は止まったように、音をたてない。
ナイフを鉈で払う。手首が切れて、血が舞う。
さらに、別の少年が一人、ナイフで向かってくる。
交わすが、もう一度、突き立ててくる。
世界は色を失ったように、すべてが灰色に見える。
少年の肩に、深く赤い溝が刻まれて、戦いは終わった。




