覚悟を決めて 12
シェルターの中で、扉を見つめる。
もう何日続いただろうか。
今自分の横には、ユカリがいて、自分に寄り添っていてくれる。
二人で扉を見つめている。
リツ、リク、ユウタの三人は、シェルターのベッドに寝かせている。
当初は動けていたリツは、数日経つ内に動きが鈍り、今はほとんど動けない。
全身の打撲が、彼女の気力と体力を次第に奪い、それが限界を超えた。
彼女が現状、一番の重傷者かもしれない。
リクとユウタは、意識はハッキリとしているが、体が動かせない。
ユカリは定期的に皆を見て回り、食事や排泄を手伝う。
それが終わると、こうして自分に寄り添っている。
何度か、脱出の方法と町の様子を話し合った。
答えのない問題を、延々と話し合い、そのうちそれは語られなくなった。
リョウや子供たちを思う。
駅の町の造であれば、数日は持ちこたえるだろう。
食料や水も、地下で管理されていた。
しかし、地表の作物を失えば、今年の冬も危うくなる。
大して備蓄があるわけでない。
出来るだけ対処が早いほうが良い。
わかってはいるが、自分が行って何ができるだろうか。
見張りの為、扉の前を離れることはできない。
ユカリに任せることも考えたが、片手では拙いだろう。
排泄は、水のボトルですます。
便もその場で布の上に行い、ユカリに片づけてもらっている。
とんだ新婚だなと、詫びて笑う。
ユカリは、片手で苦労しながら処分を済ませ、大きな子供ができたと笑い返す。
数日前、皆の回復を待てない問題に気づく。
傷を洗う為に水を大量に使用した。
5人分の飲料用と、傷口の洗浄。
相当数あった水は、一人の時と異なる速度で減っていった。
残りで後どれほども過ごせまい。
汚水をトイレに破棄したが、再生方法は不明なままだ。
手当てのための布も、底をつきかけている。
傷口の洗浄を止めれば、感染症で死ぬかもしれない。
せめて消毒が出来ればと思うが、手段が思い浮かばない。
火もない、道具もない。
「どうする」とユカリが目で問う。
一番最初に、ユカリと2人で生き延びることを考える。
ユカリには耐えられないだろう、自分も同じだ。
皆を諦めることが、自分達にはできない。
シェルターを出る決断しなくてはならない。
助けを求めることが出来たとしても、数日は必要だ。
限界はもう来ているのかもしれない。
覚悟を決める。
用意をして、駅の町に出よう。
扉を離れ、空いている一室に向かう。
ユカリに口づけて、抱きしめる。
「いってくるよ」
ユカリは微笑んで、そして泣いていた。




