覚悟を決めて 10
あれから2時間は経っただろうか。
扉は開かなかった。
リツ達がユカリをシェルターの部屋まで運び、手当てをしている。
自分の左腕にある、ナンバープレートの腕当てを添え木代わりにしてもらった。
部屋に寝かせ、様子を見てもらっている。
弾は自分の銃に後2発。
手斧が1本。
他のものは手持ちがない。
リツは、研究所からもう一丁銃を借りて来ていたのだが、刀も返却する為に持っていた。
しかし、それはバイクが転倒した際に落としてしまっている。
リクもユウタも命はとりとめているが、打撲がひどい。
石を左腕で受けていたため、紫に腫れ一部は皮膚が裂けている。
リツも、体を引きずるように歩いている。
恐らく服の下は打撲だらけであろう。
傷からか、熱を出し朦朧な目つきをしている。
一番軽傷だったのは、皆に庇われていた自分だ。
リツから水を受け取ると、皆に体を休めるように伝えた。
「扉を見張っている。銃声がしたら起きてくれ。」
リツは何か言おうとしたが、そのまま皆の手当てに戻った。
這うように動いている。
彼女のダメージも深い。
これからどうするべきだろう。
おそらく、多数のゴブリン達は駅の町も襲っていたのではないだろうか。
電話など連絡する手段がない状況が、もどかしく思える。
どこかで勝負に出るしかない。
だか、最低でも皆が自力で動ける状況まで待つべきか。
答えの出ない考えが頭の中でめぐる。
その日の内は扉が開くことはなかった。
楽観できる状況ではないが、交代で休むことにする。
とはいえ、自分のほかはリツが少し動ける程度だ。
ユカリは、骨折から熱を出し、うなされて横になっている。
リクとユウタは意識はあるが、まだ体が動けそうにない。
幸い水と食料は、まだ残っている。
しかし、回復を待っていては、駅の町は持たないかもしれない。
リツが見張りを交代に来た。
3人の様子を見て歩く。
肩を貸して排泄を手伝い、傷口を洗い、衣服を裂いた布を巻く。
口元に流動食をあてて、食事を手伝う。
化膿しなければよいが・・・。
これ以上の手当のあてはない。
そうして、わずかな眠りに入る。
数分おきに自然に目が覚め、皆を見て回る。
寝ようとしても眠れない。
無理にでも横になり、体を休めるよう努めるが、思うようにいかない。
ユカリのもとに向かい、額を濡れた布で冷やす。
彼女の頬に額を寄せる。
気が付いたユカリが、動く手で頭を撫でている。
その手を掴み、無力さに涙をこぼす。
そんな日々が続く。
皆は少しずつ、体力を取り戻しているが、現状を打破する方法が見えない。




