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覚悟を決めて 9

ようやく閉じたシェルター扉を見つめる。

開くなっ、開くなと祈る。


足元ではユカリを抱きしめて、声を掛け続けるリツ。

ユカリは先程から意識がなかった、容態が知れない。

リクとユウタは、荒い息をしながら傷口を押さえ、同じように扉を見ている。


扉を見つめ、開閉の引手に気づかれないことを祈る。

この扉には鍵がない。

開けられてしまえば、対処のしようがない。


奇襲に気づかなかった、己の愚を後悔しながら、リツにユカリの様子を尋ねる。

恐怖からか、声が抑えられず、怒鳴るように声が出る。


「どうなんだっ ユカリは、生きてっ 生きているのかっ」


リツも怒鳴るように返す。


「生きてるっ 意識はないっ 腕が折れてる 頭を打ったかもしれない。」


返事を聞き、叫ぶ。


「ここは俺が見てる 奥に行けっ」


天井の扉を睨みながら、銃を構えなおす。

いつ開くか、開いたときにどうすればよいか。


状況を思い返す・・・・



■□■□■□■□■□■□■


研究所からの帰り道。

空は青く、さわやかな風が流れていた。


行きの状況を考えてくれたのだろう。

3台のバイクは速度を落とし、駅の町へ向かう。


俺たちは何度か休憩を、そして語らいながら戻ってきた。

見慣れた景色が見え始め、この帰路が終わることに寂しさも覚えていた。


そろそろ駅の町に着くだろう所、周囲に不穏な空気を感じる。


遠くで、ゴブリンの吠え声が聞こえたためだ。

さらに速度を落とし、周囲に警戒をはらう。


「上からなんて・・・」


思い出し、思わず言葉が出る。

そして、歯ぎしりをする。


木の上からの奇襲に、なすすべもなく、リツとユカリが倒された。

運悪く、手をついてしまったユカリは、腕を折ったようだ。


一斉にあたりが囲まれ、石が投げつけられる。

3人がユカリを囲い、自分がユカリを抱えて後ずさる。


銃で応戦するも、異様に興奮した彼らは、引き下がらない。


「数が多すぎる・・・」


周囲の数は20を超えるであろう、幾人かは体格の良いものも混じっている。

体格の良いものから、銃で撃つが彼らは引き下がらない。


投石と言えど、このままでは致命傷につながる。

既にユウタとリツは、額から少なくない血を流していた。


「シェルターまで下がるぞっ」


リクが叫ぶ。


ユカリを庇いながら、体を引っ張る。

力なく倒れるユカリの体は思うように動かない。


大きな石がユカリを狙う。

とっさに背で庇う。


頭に受ければ、致命傷となりかねない。


「うおぉぉぉ うおぉぉぉ」


獣のように吠え叫び、ユカリを引いて下がる。

額の血が汗のように、顔を伝う。


まだ、何もしてあげれていない。

大切にすると伝えたのに。


まだ、側にいてほしい。

失いたくない、失いたくない。


あと少し、シェルターの引手が見える。

銃声が彼らの興奮をあおり、いっそう石礫が激しくなる。


「リツ 弾が切れる お前たちだけでも逃げろ」


リクが全体を庇うように前へでる。


「ユウタ 弾はっ」


ユウタが叫ぶ。


「もう無いっ」


既に、3人の弾は切れていた。

銃を投げつけ、ナイフに持ち変える。


「ナイフで行くぞっ」


ユウタもそれに倣い、銃を投げつける。


「おおっ」


リツも、加わろうとするが、リクが叫ぶ。


「リツ 扉をひらけっ」


リクが叫ぶ。頭から流れる血が、体中を赤く染めている。


「コウさん、すまない。逃げてくれっ」


電動音が響き、扉がゆっくりと開く。


投石を続ける、ちいさなゴブリンの後ろに増敵が見える。

体が大きく異様な気配を放っている。

奴らが来る前に・・・。


リツが叫ぶ。


「開いたっ ユカリをっ」


まだ、一人通れるほどしか開いていない扉に、リツがユカリを押し込む。


ユカリを預け、漸く銃を構えれる。

近ずく者から順に撃っていく。


「リク、ユウタ、先に入れ。撃てるっ。」


すでに満身創痍の彼らに、叫び伝える。

リクの前のゴブリンが、鉈のようなものを振りかぶっている。


リクの襟を掴み、扉に飛び込む。

ユウタがそれに続き、リツが扉をしめる。

扉は音をたて、ゆっくりと閉まっていく。


何処か打ったのだろうか、照準が定まらない。

扉の中で、入りこもうとするゴブリンを狙う。

体格の良いゴブリンの顔が見えかけた時、漸く扉は閉まった。


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