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私の罪

「目が覚めてから体調は?」

「元気です。なんだか若返ったように思います。」


「あとで少し血液をもらうわ、いいかしら」

「はい かまいません。」


そんな、病院でするようなやり取りをして、少し悩みながら、彼女は尋ねる。


「この世界をどう思う。生き残ったことを後悔していない?」


よく見ると、二宮さんの手は震えていた。


「生き残ったことについては、感謝しています。」

「責められるかもと、思っていたのよ。」


こちらをみて、悲しげに微笑む。


「でもあなたはまだ何も知らないものね。」


感謝の言葉は受け取れないとでもいうように、頭を振り、手で顔を覆う。


「説明を聞きたい?無理にとは言わないわ、聞いたら後悔するかもしれない。」


自分は頷く。


「その子は、別室で休ませるわ、いいかしら。」


ユカリは首を振るが、二宮さんは譲らない。


「大丈夫よ、すこし話をするだけ。」


そういって、リク達に連れられて移動する。


壁面に設けられた、古いモニターを操作し、砂嵐が流れる。

うまくうごけばいいのだけど・・・

そう呟きながら、二宮さんは操作をしている。


ぼやけた画像が表示され、年老いた女性が表示される。

彼女は二宮良子に向けて話し出す。


画面の中の女性は改めて世界の状況を話す。


海を除き、陸上に生命が残っている可能性は、ほぼない。

また、海についても、過去と同様ではない。


クローンによる人再生について。

人工的に改良された、人ならざる人について。

そして、製造方法についての説明がなされ、映像は終了する。


「わたしが話すと、言い訳を挟んでしまうから」


そう、詫びるように告げ、頭をさげた。


必ずとは言い切れないものの、彼女たちが確認できる範囲では、人類は絶えた。

今出会うすべての人は、クローンないし、その子孫である。


「旧人類といえば、あなたと私、二人しかいないのよ」


どう答えていいかわからない。

クローンと言われても、自分が出会った人達はまぎれもなく、人であった。


「それにね、私の遺伝子を含まない子達は、ほとんどが短命に終わったの」

「あなたが出会った、大半の人は、ほとんどが私の分身よ。」

「あなたの奥さんも。そうね、あの子はほとんど私。」


そうなのだろうか。

生物としてはそうなのかもしれない。


人とは何だろう、同じ細胞をもとにクローンが2体いたら、それは同じなのだろうか。

それとも、それぞれの生命として生きているのであれば、それは人類でよいのではないだろうか。


自分の考えを伝えると、二宮良子は感謝の言葉をのべた。


「こうしているとね、自分が狂った魔女で、人形をならべて笑っているような、そんな気持ちになるのよ」


ただ、話はこれで終われないのと告げ、もう一つの映像を再生しだした。


それは、巣穴に住むゴブリンを排除する人たちの映像だ。

巣穴の中には、少女がいた。

いや、おそらく少女のような、ゴブリンがいた。

そうして小さな声で、こう言った。


・・ころさナィデ タスけて・・


少女を銃が撃ち抜くと、画面が揺れる。

つぎの映像は、大柄なゴブリンが人を襲う姿が映っていた。

体格は人と変わらず、その金色の瞳は復讐に燃えていた。


そして映像は終わり、静寂が訪れる。


二宮良子は、慟哭し詫びるように告げた。


「かれらは人を基にして、私たちに作られたわ」

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