↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/112

来訪者 5

二人が振り向いてこちらを見ている。


何か言おうとして、伝えたい気持ちがあるのに言葉がでない。

黙って二人は待ってくれている。


なんて言おう。

必ず帰ってくるから、心配いらないから、大丈夫だから。

それだけじゃ足りない。

大変な時期に留守にしてごめんでもない。


うぬぼれでなければ、二人は自分に親愛の情を持ってくれている。

いや、うぬぼれではないだろう。


だから、しっかりと目を見て伝えよう。


「心配してくれてありがとう。必ず帰ってくるから。」

「心配かけてごめん。ここが帰ってくるところだから。」


二人は顔を緊張させて、さらに続きを待っている。

言葉が続かないで終わる。


胸を切り開いて、心を見せることが出来ればいいのにと思う。

感謝も愛情も信頼も心配もいろいろ全部。


しばらく時がたって、それ以上何も言えずいた。

ユカリさんが、小さな声で答えた。


「ん・・わかった」


そう返事を聞いて、部屋に戻る。

あれで良かったのかわからないけれど。


寝台に転がり、天井を眺めて明日のことを考える。

道中の危険を思い浮かべ、そして留守の間のことを思う。

二宮良子に会い、礼を言おう。

どうして自分が研究所に行かなくてならないのか、それを確かめよう。


そう思い、目を閉じる。

明日は早いほうが良いだろう。


眠りにつこうかというころ、人の気配を感じて目を開ける。

声をかけると、ユカリさんが訪ねてきたようだ。


起き上がろうとする自分を優しく手で押さえ、ユカリさんが、上からこちらを覗き込んでいる。


「さっきの話はあれで終わりなんですか?」


どう答えたものか、返事に詰まる。


「帰ったらお嫁さんになってねくらい、言うかと思いましたよ。」


そうなったらいいなとは、思ったことはあるけれど。


夢を見ているんだろうな。ひどい死亡フラグだなと、苦笑する。

たしか、わざと死亡フラグをたてると、生き残るんだっけか。


「そうだね、そういうつもりでいたよ。ずっと前からね。」


答えると、唇に暖かいものが触れる。

いつか見たような、優しい笑顔が見える。


そして気がつくと、いつの間にか眠りに落ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。