来訪者
居住地にスペースをもらい、手製の寝台と荷物を置く。
大した荷物もなく、シェルターから持ち込んだ衣料や食料を箱にしまうと、寝転んで天井を眺める。
廃材で仕切られたスペースは、ちょっと年季の入った路上生活者のようだ。
ブルーシートと段ボールがあれば完璧だなと笑う。
他の人はもう少し部屋らしいところに住んでいたりする。
カイはもっといいスペースをと苦心してくれたようだが、自分がこれで十分だといった。
男の独り者で、とくに何といったこともない。
照明は非常灯のようなものが小さく光っている。
明るくはないが、見えないということもない。
町に住むものの義務として、耕作を手伝ったり、周囲の警戒をしたり、魚をとったり。
それぞれ専業の方もいて、忙しくすごす。
これからは自分もその中に参加することになるだろう。
基本的には午前中から食後1時間くらいまでの仕事時間。
作業によっては、異なることもあるが、あとは各々が思うことをする。
かといって遊ぶわけもなく、自分がすべき仕事と共同作業の時間が分かれているような感じだ。
腕の傷もだいぶ良くなり、負荷を掛けなければ痛みもない。
酒場で明日の予定を確認すると、早朝の周辺警戒を行う予定とのこと。
収穫期を控えての対応だ。
いままでは食糧難もあり、共同作業の時間も各々の食料採取にあてられていた。
これから町は機能を取り戻していくのだろう。
リョウが用もなくあらわれて、ごそごそとしている。
ちいさなかわいらしい形の空き瓶に、花をさしていった。
ありがとうと告げると、親指を立てて去っていった。
明るい奴だなと笑って見送る。
翌朝、少し早めに起きてしまったのだろう。
バリケードの外側すぐに決められた、集合場所にはまだ人の姿はない。
初日に遅刻はまずいと張り切りすぎただろうか・・
翌日の雨が地面に残り、足元からは草の香りがする。
もてあまして手斧をぺちぺちと手に当て、あたりを見渡す。
遠くに人がいるのが見える。
銃に手をやり構えずに様子を見る。
弾は限られており、今後を考えるとなるべくは使いたくない。




