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Failure of research 研究の挫折 

御指摘、感想 等もらえると嬉しいです。

私達がたどり着いた場所は駅だ。

地下にホームがあり、上部に崩れた駅ビルが建っていた。


地下の部分は殆ど放射能に汚染されておらず、また地表面も除染で対応できる数値を指していた。

当初のメンバーとして10人。

これから増えていくこととなるだろう。


彼らが定住し、そして幸せに生きていく環境を作る。

そうすることで、私たちの研究は完結するのだ。


彼らには研究所から、可能な限りの食料の供給もある。

私は当初、楽観していたのだ。


建物のがれきを取り除き、居住区を取り囲むように配置した。

出入りをしやすいように、できるだけ工夫も行った。


地下の建物を利用し、彼らが住めるように取り計らった。

地表のコンクリートやアスファルトをはがし、汚染されていない土を盛り作物を植えた。


地下の非常照明は動力を与えれば動き出す。

地下湧水を利用した自家発電を導入し、わずかではあるが恒常的な電力も確保した。


彼らも積極的に町を作ることに協力し、自発的に動いてくれた。

失敗するなんて、少しも考えていなかった。

いや、多少の失敗はあろうとも、取り返しのつかないことなど起きないと考えていた。


最初は小さな出来事からであった。

地下の換気が十分でなく、体調を崩すものが現れた。

排気ダクトの内部に入り、瓦礫を取り除くことは困難を極めた。


例の緑の小さな人類は、代を重ねるごとに野生化していた。

彼らにとっては、我々は捕食の対象となった。

もちろん自衛を行っていたが、十分ではなかった。

侵入され子供がさらわれた。


戦力を持つものは私だけ、それも強化防護服を着ているときのみ。

彼らは不安に駆られ、研究所に戻ることを提案した。


研究所でも同様の問題が発生しており、彼らも自衛に追われだした。

そして食料の供給は滞り始めた。


作物の収穫期には、特に多くの襲撃を受けた。

彼らを安全なところへ閉じ込め、防護服を来た自分だけが作業を行う日が続いた。


シェルターの食料を思い出し、いくつかを提供しその場をしのいだ。

残ったものは、既に変質し、食べられるかわからない流動食だけとなった。


何とか周囲へバリケードをめぐらし、安全が確保できたころ、収穫を迎えた。

予定より大幅に収穫量が少なく、厳しいやりくりが求められた。


このころには彼らと私との間には、もう埋めがたい溝がひらいていた。

いや、聡明な彼らは決して私を責めなかった。

私自身が私を許せなかったのだ。


次第に彼らは自発的にリスクをとった行動にでだした。

鉄の棒で自衛し、投石で周囲へ威嚇を行った。


私にはそれがうまく理解できなかった。

私がうまくやるべきことであると感じていた。


「新しい居住地を模索する」


絞り出した言い訳を告げて、私は去ることにした。

彼らは去る私を責めなかった。

任せてくれと笑顔で見送った。

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