Scientist Ryoko Ninomiya 科学者 二宮 良子
こちらから、良子視点の物語です。
科学者 二宮良子は、1話にでてくるコウを助けた人です。
佐々木さんの横たわる寝台を確かめ、頷く。
生命維持を目的とした機器は正常値を指し、彼の命を保護するだろう。
彼に飲ませた薬を確認する。
研究所で作られた薬。
この研究所は、人類の長期生存を目的としている。
必要なものはシェルターだけではない。
二宮良子の研究の主目的は「テロメアの維持」。
老化と共に失われていく、遺伝子の情報がテロメアと呼ばれる。
彼に飲ませた薬は、それを保護する効果を持つ。
簡単に言えば、不老長寿の薬である。
1970年代に老化の主因として発見された、老化によるテロメアの欠損。
これを克服することにより、人類は寿命の枷から解き放たれると考えられた。
しかし、いまだ研究中のものであり、人体での成果の確認は取れてはいない。
類人猿でのテロメアの維持が確認されたが、人体実験には大きな障害がある。
完全な効果を発揮したとしても、物語の不老長寿のようにはならないであろう。
おそらく脳の機能は200年を超えて持たないと推察している。
そして精神がどれほどの長寿に耐えうるか、推測の域をでない。
でも、そんなこといまさらよね・・
そうつぶやくと、良子は薬を飲み微笑む。
核戦争の火蓋は切られた。
シェルターの外の様子を思う。人類は滅亡を選択したのだ。
想定された核戦争後の世界をおもう。
30年は核の冬が訪れ、大半の生命が失われる。
世界各地あるシェルターにどれほど命が残っているだろう。
佐々木さんの生命維持期間は最大値に設定してある。
自身もそのように設定しようとし、ふと思いつく。
30年に数値を調整し、寝台に横たわる。
戦争や核の冬などは興味はないが、その後どうなるか確かめてみよう。




