再生 2
池での釣りは順調に進み、食料の定期的な確保は町に変化をもたらした。
栄養不足と不安に包まれ、悲壮感すらあった町は、いまは賑やかな声に包まれている。
夏も盛りをすぎ、ジャガイモ畑の一部では収穫出来そうなものもある。
日々、わずかな食料をもとめ分散していた労働力がまとまりを持ちはじめ、より確実に食料を得られるようになる。
今日は道の整備を兼ねて、葛の根を採取が行われた。
10名のチームが組まれ、誰も怪我をすることなく戻ってきた。
まだ傷口が十分でない自分は、町に残り葛の根を食べれるように加工する手伝いを行う。
まず、葛の根を洗い手斧でできるだけ細かく粉砕する。
繊維質で固く、大変な作業である。
根を砕くと水つけて揉みしだき、布で濾す。
そして沈殿を待つ。
沈殿物をさらに水で溶かし、不純物を取り去る。
粉が白っぽくなるまで繰り返す。
これで葛の澱粉の採取は完了だ。
澱粉づくりの作業が終わるころ、見測ったようにユカリさんが現れる。
子供たちがキャアキャアと歓声をあげて、付きまとっている。
ユカリさんは、子供たちに何か説明をして、作業を始める。
一連の作業を子供たちも真剣な表情で見つめている。
自分も何ができるか、興味がある。
出来たばかりの澱粉の一部を、鍋に取り水を加える。
焦げぬように丁寧に、木べらで練る。
白くなるまで、丁寧に丁寧に練る。
しばらくすると、白い餅のようなものが出来上がる。
葛餅の完成だ。
子供たちに取り分けると、歓声をあげて食べ始めた。
「お馬鹿さんも 味見してみて」
鍋に薄く残ったものを、指ですくい口に突っ込んでくる。
蜜もきな粉もないが、甘みを感じる。
「すごいね 甘い」
感想を満足そうに聞くと胸をはり、ユカリさんはすごいのよ~♪
と歌いながら子供たちのところへ向かっていった。
残りの作業としては、出来上がった粉を天日で干す。
完成すれば、一月程度は日持ちするらしい。
作業を終え、頭から水をかぶる。
作業での熱が冷え、生き返った心地がする。
周囲を見渡すと、ほかの変化を感じる。
土が露出しておらず、耕作ができなかった部分にはいくつかプランターが置かれた。
いまは、青々と作物が育っている。
今まで閑散としていた空き地には、様々なものが置かれ始めた。
廃材を加工した作業台が置かれ、農具がつくられるようになった。
スコップや鎌のようなものが並べられ、効率は大幅に改善された。
しばらくすると、人が集まってくる。
皆で作業した日には、皆で食事をとる。
煉瓦で組まれたかまどに、鍋が置かる。食事ができたことが、皆に告げられる。
皿が配られて、各々が好きなところで食事を始める。
道を整備する際にとられた野草は、食べられるものばかりだ。
魚のスープにはとろみがつき、いくつか野草も加えられていた。
町の拡張や、遺跡の発掘作業についての話が飛び交う。
森に果樹を見つけたと話があり、収穫の計画をねる。
カイが横に座り、笑顔で肩をたたく。
笑顔でそれに応える。
本格的な収穫にむけ、これから危険性は高まるのだろう。
それでも、つかの間の平和が心を癒してくれる。




