野盗 5
子供たちが泣いている声が聞こえる。
目を覚まさないといけない。
重い瞼をあけると、木製の天井が見える。
ここはどこだろう。
左腕が痛む、手当てを受けたようだ。
新しい布がまかれている。
腰に手をやると、銃は残っている。
空気が熱い。何かが燃えるような音がする。
体を動かそうとするが、思うように動かない。
右手をつかい這うように動く。
やはり酒場だったようだ。
店内から子供のなく声が聞こえる。
カウンターの裏を這い、店内の状況をみる。
幼稚園くらいの子供が3人、泣いている。
ユカリさんが呆然と立っている。
もう一人見慣れない男の姿がある。
誰かの悲鳴のような声が聞こえる。
「火だ 水をもってこい 早くっ」
ヒヒヒッ・・
お前は俺の仲間をやりやがったな・・
ぜんぶ燃やしてやる・・
男は野盗の一人なのだろうか、ユカリさんの背後に立つと、刀を充てる。
様子をみて、子供の一人がひときわ大きく泣き声をあげる。
うるせぇ
子供の頭を男が蹴ろうとする。
ユカリさんが子供を抱え庇う。
背中にけりを受けて倒れる。
男はそこへ刀を突き立てようとしている。
体を起こそうとするが、足は動かない。
震える手で銃口を向け、男を狙う。
ヒヒッ
卑賎な笑いが男の狂気を感じさせる。
当たれッ
祈るように撃つ。
反動を抑えることが出来ず、銃を落とす。
弾を受け男が倒れ、こちらを見る。
胸から血が流れている。
当たり所が悪い、しばらく動くだろう。
銃を拾いなおし、狙いをつけた時、すでに刀がこちらに振り下ろされていた。
世界がスローモーションに感じる。
頭か首かな。
痛くないといいな。
謝れなかったな。
ごめんな。
ガンと後頭部に衝撃を感じる。
男の足元にユカリさんが組みつき、狙いが狂ったようだ。
銃を撃つ。
落としては拾い、撃つ。
撃ち尽くしたころだろうか。
ユカリさんの背中に炎が見える。
「ありがとう ごめんな」
子供の咳こむ声と泣き声が聞こえる。
言葉になっているだろうか、声を絞り出す。
「子供を連れてはやく」
夢とは違う結末を迎え、俺はきっと笑っていただろう。




