野盗
シェルターの扉を開きあたりを伺う。
日は傾き始めている。
夏のこの時期なら6時ごろか、あと一時間もしないうちに日が落ちる。
地面に地図を描いてみる。
町の位置を○と書く、二人の犠牲者と出会った位置に✖をつける。
過去の町を思い起こし道を思い描く。
盗賊も移動のさなか、廃墟を乗り越えようとは思うまい。
2人が同じ方向から逃げてきたとして、その背後。
そこから、駅に向かう道をいくつかに絞る。
一度町に戻り、そこから怪しいところへ向かおう。
すれ違ってしまうことは避けたい。
町までたどり着き、少年に声をかける。
手持ちの食料と水を渡し、今夜はバリケード付近で待機してほしいと頼む。
「ケンだよ コウさん」
少年の名を聞く
「頼むよ ケン」
そういって町を離れる。
道で手ごろな石をひろいポケットにしまう。
町からおよそ東に700m離れたところ。
こちらに向かうのであればまず通るであろう通り。
廃墟の壁を上り周囲を見渡す。
人影はない。
崩れた柱に身を隠し、息をひそめる。
そこから30分過ぎたころだろうか。
軍用のカーゴパンツに身を包み、手製の刀をもった男が歩いてきた。
周囲を探るようにしている。
息をひそめ様子を伺う。
「あのガキめ どこまで行きやがった」
男は憎々しくつぶやくと、地面に唾をはいた。
金属板を磨いてつくったと思しき刀には血がついている。
自分の心臓音がうるさく鳴っている。
後ろからもう一人。
「女のほうも、やり損ねやがって。どこかに知らせられるとまずいんだがな」
タバコに火をつけて腰を掛ける。
煙を吐くと、刀の男に向かって話しかける。
「荷物に食い物は持っていなかったし、こりゃすぐ次をいかねぇと干上がっちまう」
最後に飯を食ったのはいつだったかなどと話しだした。
「このすぐ近くに、駅を利用したちいさな町がある。そこなら畑もあるし、食うもんくらいあるだろう。」
今夜に襲撃を行うのだろうか。
「だいたいおまえが刀をためしたいなんていうから逃げられるんだ。こいつさえあれば、そんなもんに頼る必要なんてねぇんだよ」
男はリボルバーを手に取ると、ガンマンのように回しだした。




