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怯え 3

シェルターに向かう道中、何を考えていたかは覚えていない。

逃げるように部屋へもどると寝台に横たわる。


自分のしてしまったことについて考える。

心が弱っていたんだと言い訳をつぶやく。


今のこの世界で、誰かが捕まえて罰するなんてことはないかもしれない。

町として何か罰はあるのだろうか。

おそらくは何かあるだろうが、今それを行う余裕はないだろう。


ただ、自分のしたことは、自分の罪として残る。

あの優しい人を悲しませた罪は消えない。


シェルターの部屋の中で大きな声をあげる。

意味のないただの大声。

うわぁとか、うおぉだとか


壁や寝台をこぶしで殴りつける。

手首がひどく痛み、おさえながらまた横たわる。


目を閉じる。

今日の一日であった出来事が走馬灯のようにめぐる。

ただ死ぬのが怖くて、人の死も怖くて、痛いのが恐ろしくて。

逃げるために、ユカリさんを抱こうとしたのだ。


卑怯者のくそ野郎と自分のことを呪う。

天井に向けて叫ぶ。


いつまでそうしていただろうか。

気が付くと眠っていたようだ。

こぶしが痛む。

血がにじんでいて、昨日のことが夢でないとわかる。


倉庫に行き、流動食をとる。

喉がねばつくようで、水で流し込む。

一人で誰も見てなければ吐かないんだなと、自分で自分を嘲笑する。


飲み残した水で体を清めて、再び寝台に横たわる。


これからどうしたらいいんだろう。

また何年も眠ってしまえないだろうか。


機械的な寝台に取り付けられた操作盤を眺めるが、操作方法がわからない。


そういえば、野盗の危機が迫っているんだと思い出す。

格好よく野盗を退治すれば、許されるかもしれない。

あれこれと夢想するが、自分でできそうなことはない。


ともかく武器を用意すべきだと、思いつく限りの武具を考えてみる。

廃墟をさがせば、バールなどはあるかもしれない。

銃はどうだろうか、警察署跡を探すのはどうだろう。

行商人はバイクに乗っていた。

たとえば動く車があれば、相当に役に立つだろう。


どうやって探そうか。

外には何がいるかわからない。

いままでは何とか生き残った。

だけど、銃器を先に見つけ出した他の人間がいたとしたら。


無理だ、何もできやしない。


ではこのまま一人で朽ちていこうか。

それも怖い、だれかそばにいてほしい。

リョウの子供っぽい笑顔を思い出す。

ユカリさんの笑顔を思い出す。


そして、自分を殴れない代わりに壁をなぐる。

痛めたこぶしがひどく痛み、苦悶の声をあげる。


しばらくこぶしを抑え、痛みに耐える。

痛みがあれば、罰を受けている気持になる。

そんなことをしても何も意味がないのに。


リョウが迎えに来て、それでなんとなく平和に落ち着かないかな。

勝手な夢想をする。

どうなんだろう、なくはないと思うが、都合がよすぎる気がする。


寝台の上で、俺は馬鹿だとつぶやく。

そしてまた、眠りについた。

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