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ふつうのおっさんはふつうに無力である 2

どのくらい経っただろうか。

気が付くと随分考え込んでしまったようだ。


ふと人の気配を感じ振り向く。

いつの間にか、足元にリョウが座っていた。


黙って弓をいじっている。

おそらくは魚を捕りに行った時のものだ。


「あのときの弓 回収してたんだな」


リョウは黙って頷き、立ち上がってこちらを見る。


「大丈夫だよ」

「だから無理しないで、いなくならないで」


リョウの顔を見ると涙がぽろぽろとこぼれている。


「心配をかけてしまったな」


そういって頭をぐりぐりと撫でる。

このまま、考えをまとめられず、とりあえずで行動していたとしたら。

きっと大きな失敗をしてしまっていたような気がする。

いなくならないでとは、無理をして死なないでほしいといった意味なんだろうな。


平和な暮らしをしてきた自分には、最初はわからなかった感覚だ。


今の自分には、答えは出せない。

明日の自分なら、答えは出せるかもしれない。

今急いで結論を出すのでなく、明日の自分に任せてみようか。


酒場に戻り、ユカリさんに声をかける。

いったんシェルターに戻り、食料を補充して戻ってこよう。

流動食をいくつか手渡すと、明日戻ってくることを伝える。

「あずかっておきます」とユカリさんは見送ってくれた。


外に出ると、ちびちゃんが足に飛びついてきた。

頭をなでていると、後ろから、父親らしき人が現れた。

先日の食事の礼を言われ、丁寧にあいさつを受ける。


優しそうな、線の細い青年。


「もしよければ、今度魚を捕るときに同行させていただけませんか」


申し出に対して、どう答えるべきか悩む。


「まだ、安全な方法でというわけにもいかないんです。」


正直に応えるのが一番いいだろう。

しかし、それは彼の期待には沿えないかもしれない。

そう思うと、声が申し訳なくなる。


「そうですか、よければ一緒に方法を考えさせてもらえませんか」


青年は、前向きな提案を出してくれる。

そうだな、自分で解決できないことは協力を得ればいい。


丁寧な口調も、とても好印象だ。

青年と握手をかわし、明日の昼、酒場で待ち合わせる約束をする。

彼がいれば作戦のたてかたも変わるだろう。


日が暮れる前にシェルターに戻る必要がある。

また明日にと手をふり、町を出ることにした。

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