暮らしをたてるには
リョウと二人で説教を受ける。
ユカリさんの愛情が感じられて、心地よく感じてもいる。
けれど、待っている身のユカリさんとしては、辛いものがあるのだろう。
最後に二人まとめて、ユカリさんに抱きしめられ話を終える。
細い細い腕が、それでも優しく包み込んでくれる。
安全に食料を得る方法を考えなくてはならない。
町は2層の構造になっている。
地表面は古い建物の残骸を利用し50メートル四方をバリケードで囲んだ1層目。
内側はできる部分はすべて畑にしており、これ以上の作付けはできないだろう。
地下の駅部分を利用した、居住区の2層目。
鉄道の部分は、上下どちらも崩れており、隙間を廃材で埋めている。
地下からの外敵はない。
近隣には川があり、また池もある。
以前のままであれば、川にはコイなどが泳いでおり、池にはブラックバスやブルーギルが大量にいる。
コイもたしか食べられたはずだ。
どこかの観光地で甘露煮を食べた記憶がある。
十分な調味料がなくても、なんとか食べることはできるだろう。
ただ、池や川など水場には、ゴブリンと称される、もとは人間らしき怪物が現れやすい。
今回のように弓で狙われれば、安心して作業することは難しいだろう。
環境が過酷で住みずらいほど、外敵は少なく、住みやすければ外敵も多い。
行商を頼るにしても、不定期でかつ交換の品が必要である。
発掘をどこで行うにしても、安全にとはいかないだろう。
やはりどうしても危険は伴う。
では、どれも危険はあるとして、すこしでもリスクが少ないものはどれだろうか。
鎧を着て作業が行えるのであれば、弓を恐れなくてもいいかもしれない。
鎧なんてないし現実的ではないな。
池の畔に小屋を建て、そこで釣りをすればどうだろう。
これはいけそうな気がするが、小屋をたてることが難しい。
もう少し簡単に、廃材で壁をたてて内側にこもることであればどうだろう。
行き帰りの道中のリスクはあるが、釣り中に不意を打たれることはないだろう。
これは良いように思う。
こちらで店を構え、食料を持ってきてもらえるようにするというのはどうだろうか。
売り物さえそろえることが出来れば、何とかなるかもしれない。
食料がないような場所で、遺跡を探り過去の遺物を手に入れる。
それを店として売りに出し、食料と交換をする。
これならいけるかもしれない。
ユカリさんに、この方法はどうかと尋ねてみる。
「だれも交換できる食料を、持っていないほうが多いんです」
そうか、結局そうなるのか。
ユカリさんの話によると、様々な方法が何年も試された結果、少しずつバリケードを拡張し今の形になったそうだ。
しかし、不作になれば大幅に食料不足になり、結局は無理な食料採取をせざるを得なくなる。
いまのバリケードが完成するまでの間はより深刻な状況だったという。
それこそ毎日のように、襲撃や簒奪があったそうだ。




