91.アクセサリのお披露目
「――突然だけど、今日は魔法関連のお店に行きたいです」
「え? あ、はい。私は別に良いですよ」
「私も問題ありませんが……しかし突然ですね」
朝食中、今日の行き先を提案してみる。
そう、昨晩からどうしても魔法関連のお店に行きたくなっていたのだ。
その理由は――
「アーティファクト系の錬金術にハマって、素材が無くなってしまったのです」
そう、ステータス付与を行うのに必要な魔法陣が無くなってしまったのがその理由だ。
結局あのあとはルークのブレスレットを二回試したところで素材が無くなって強制終了。何とも不完全燃焼に終わってしまっていたのだ。
「そういえば昨晩やるって言ってましたもんね。どんな感じでしたか?」
「エミリアさんと私の分には変わったもの? が付いたんですけど、ルークのにはまともなものしか付かなくて……」
「アイナ様……。それは何か問題があるのですか……?」
「え? せっかくだし、オンリーワンなやつ付けたくない?」
「……ということは、アイナさん! 私のはオンリーワンになったんですか?」
エミリアさんが目をキラキラさせながら聞いてきた。
「そうなんですよ。思えばエミリアさんのイヤリングに変なのが付いたところから始まったんですよね。
というわけで、これをお渡ししておきます」
アイテムボックスからイヤリングを取り出して、エミリアさんの手に乗せる。
「わーい♪ ――おぉ、綺麗な水色ですね!」
「ミラエルツでアクアマリンを買っていましたので、それに置換してみました。あと、こんな感じでステータスが付きましたよ」
そう言いながら、私は鑑定のウィンドウを出した。
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【イヤリング(S+級)】
一般的な装身具
※錬金効果:エコー
※追加効果:精神力が1%増加する
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「ふむふむ、精神力が上がるのは良いですね! ……あの、ところで『エコー』って何ですか?」
「魔法を使うと良い感じになるみたいですよ。ちょっとヒールあたり使ってみません?」
「えーっと、それじゃちょっと付けさせて頂いて……。えへへ、どうですか?」
「アクアマリンの淡い感じの色合いが良いですね! やっぱりサファイアは色が強かったかなって」
「そうですよね! ――さて、それじゃいきますね。ヒールっ!!」
――ブワッ!!
「おぉ!?」
エミリアさんがヒールを使うと、今までに見てきた以上の強い輝きがその場を包み込んだ。
今は誰も怪我をしていないから分からないけど、見るからにすごく回復しそうな気がする。
「……な、何だかいつもよりすごい力が出た感じだったんですけど――ちょっと出すぎというか、力が抜けるというか……?」
「やっぱりそんな感じなんですね。ちなみにエコーの効果はこうです」
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【エコー】
魔法使用時、その効果と消費が二倍になる
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「おぉ……これはまた……」
「偶然付いたんですけど、この効果ってどうなんでしょうね」
「私も初めて見ました! これってすごいんじゃないですか? 疲れやすくなるのは調整しなきゃいけないと思いますけど……。
それと、どちらかといえば魔法使い用の気がしますね」
「うーん。エミリアさんは攻撃魔法も使うし、ちょうど良くないですか?
それにそれはそれとしても、エミリアさんのプレゼント用に買って作ったものなので、エミリアさんが使ってくれると嬉しいです」
「うぅ……それではありがたく! 一生大切にします! ああ、でも失くすのが怖いですね……」
「そうですね、イヤリングって失くしやすいですし……」
「むむむ、これはあれですね。装飾魔法を覚えないと」
「え? 何ですかそれ?」
「少しマイナーなのですが、装飾に関する魔法です。これを覚えると、イヤリングを落としにくくなるんですよ!」
「えぇ、そんな魔法があるんですか……?」
「簡単に言うとイヤリングみたいな小物にマナを分け与えて、自分の身体と離れにくくする――みたいな感じですね。
それ以外にもアイテムボックスと組み合わせて、一瞬でお着替えができるようになったりしますよ」
「――なんかそれ、すごく良いですね!」
話を聞く限り、魔法少女や変身ヒーローみたいな感じで着替えができるんだよね? ちょっと面白そう!
「アイナさんはアイテムボックスをお持ちですからね……。私は持ってないから、とってもうらやましいです」
「そういえばアイテムボックス――収納スキルって、覚えられないものなんですか?」
「うーん、割と人を選ぶスキルなんですよね。努力を続ければ大体の人は覚えられるっていう話なんですけど……」
「ふむー、なるほど?」
私は最初からレベル99だから、ちょっとその辺りの苦労は分からないかな……。申し訳無い。
「ところでアイナ様のアクセサリは指輪……でしたっけ? それには良い効果が付いたんですか?」
「うん、何か魔法が付いたよ。えぇっと、かんてーっ」
指輪に鑑定スキルを使ってウィンドウを出す。
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【リング(S+級)】
一般的な装身具
※錬金効果:風魔法『クローズスタン』使用可
※追加効果:ダメージを1%増加する
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「どやっ!」
「――おお、『クローズスタン』ですか!」
「あれ、ルークは知ってるの?」
ルークは魔法はさっぱりだから、知ってること自体に驚きだ。
「はい、これは敵を無力化するにはうってつけの魔法なんですよ。同僚にも使える人がいましたので」
「なるほど、やっぱりそういう使い方になるよね。護身用にも良いと思ったんだけど、どうかな」
「とても良いと思います。アイナ様の身は私が守りますが、いざというときの保険になりますので」
「まぁ密接しないと使えないみたいだから、魔物討伐には向かないけどね。いや、そういうところがむしろ私らしいのか……」
未だに魔物討伐では無力。どこまで続くのか、この無力回廊は。
「まぁまぁ、アイナさん。戦闘なんて私たちに任せてください!」
「むぅ。そうですね、エミリアさんもパワーアップしましたもんね」
案外高い威力を誇るシルバー・ブレッド。
これの攻撃力が二倍になるのであれば、戦闘ではエミリアさんがさらに活躍することになるだろう。
「――となると、やっぱりルークさんのもパワーアップさせたくなりますよね!
アイナさんがハマった理由、よく分かりました!」
「どんな効果が付けられるのかは分からないので、それっぽいものが出たら終わるつもりなんですけどね。
そんなわけで、素材が無くなってしまったのです」
そう、まるでスマホアプリのなんとか石のように綺麗さっぱりと。
早々に補充して錬金ガチャを再開しなければ!
「それではのちほど、外に出たらお店を探してみましょうか。
ところで私とアイナ様はこの街は初めてなのですが、エミリアさんはそういったお店をご存知ないですか?」
「すいません、私もメルタテオスは詳しくなくて」
「みんなメルタテオス初心者みたいな感じですね。ひとまず今日は予定も無いことですし、観光がてら探してみましょうか」
「そうですね!」
「そうしましょう」
――というわけで今日このあとは、お店探しと観光!
魔法関連のお店、すぐに見つかると良いなー。




