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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第13章 神々の空へ
783/911

783.急襲

「さて……。

 ルーク君、エミリア君、ジェラード君――」


 ゼリルベインは、静かな口調で話を続けた。

 見掛けからは不相応の貫録を出しているが、中身はかなりの年月を生きてきたのだから不思議なことは無い。

 しかしそのギャップに、得体の知れない違和感を覚えてしまう。


「……まず、君たちの命は奪わないと約束しよう」


「何、だと……!?」


 予想外の言葉に、まずはルークが反応した。


「私の目的は、あくまでもアイナさんだ。

 逆に言えば、アイナさんの命だけは保障しない。

 だからこそ、これからは大いに私のことを止めてくれたまえ」


「ふーん? でもさ、それはちょっとおかしいんじゃない?

 だって、他のみんなと一緒に僕たちも止めちゃえば良かったんだし」


 ジェラードの言うことにも一理ある。

 私の命だけが目的なのであれば、戦う相手を私ひとりにした方が確実性が増す。

 そもそも私すら止めてしまって、その間に殺す……と言うのが最も確実だったはずだ。


「はははっ、その通りだ。

 しかしね、君たちにはこれから私がやることを見届けて欲しいのだよ。

 その上で、未来の選択肢を与えてあげたいのだ」


「未来の、選択肢……?

 私たちの未来に、アイナさんは必要です!

 何があろうとも、それだけは変わりありません!!」


 エミリアさんが嬉しいことを言ってくれた。

 そうだ。今さら何があろうとも、私たちの運命は一蓮托生なのだ。


「……うむ、実に良い。

 私は目的が達せられれば、その選択肢はどう選んでもらっても構わない。

 出来れば、四人で仲良く未来を切り開いていって欲しい……そんな風にすら思っているのだよ」


「は、はぁ……?

 言っている意味が、何も分からないんですけど!?」


「ふっ、直に分かるさ」


 そこまで言うと、ゼリルベインの表情が突然変わった。

 今までは笑みが混じっていたが、一瞬で消え失せてしまったのだ。



「――うおぉおおっ!!」


 ガキィイイィンッ!!


 話が終わったとみて、まずはルークがゼリルベインに襲い掛かった。

 しかしその剣は、あっけなくゼリルベインの剣で受け止められてしまう。


「僕もいくよっ!!」


 ザシュッ! ザシュシュシュッ!!


 ジェラードの斬撃に対して、ゼリルベインはすぐに宙へと逃げた。

 さすがに転生後は、ジェラードの攻撃もまともに食らってはいられないのだろう。


「私もいきますっ!

 エアリアル・バインドッ!!」


 ここでエミリアさんの新魔法!!

 突風が吹くと同時に、ゼリルベインの身体は空中に固定された。

 使い方は限られそうだけど、まさにこのタイミングでは打ってつけ!!


「最後は私!

 アルケミカ・クラッグバーストッ!!!!」


 ズガアアアアアアアァンッ!!!!!!



 私の魔法は確実に、ゼリルベインを捉えることが出来た。

 ……しかしダメージは入らず、謎の力によって掻き消されてしまう。



「残念ながら、その魔法はもう効かんよ!!

 ……はぁっ!!!!」


 ゼリルベインが力を込めると、エミリアさんの束縛魔法も簡単に解かれてしまった。

 彼はそのまま悠然と、地面に着地していく。


「な、何で……!?」


「ご承知の通り、転生者の特典――ユニークスキル、と言うやつだ。

 今までの失敗作の反省点を踏まえてね、私は50ほども持っているのだよ」


「ご、50って……!?

 タケルさんの5個……ですら、精神崩壊を起こしていたのにっ!?」


「はははっ、私も転生前は神だったのだ。

 50くらい、おかしなことでは無いだろう?」


 た、確かに……!?

 しかしユニークスキルをたくさん持っている私ですら、10には満たないのだ。

 これはまさに、桁違いの数になるわけで……。


「ユニークスキルは驚異だが――

 ……しかし、だからと言って諦めるわけにはいかないッ!!」


 ルークが再び、攻撃を仕掛けた。

 ゼリルベインはかなりのスピードでそれを避けていく。


 見切っている……と言っても良いかもしれない。

 それくらい、ゼリルベインは余裕を持って戦っているように見えた。


「ルークさんっ!!

 世界を支える六精霊よ――……ヘクス・ブラスト!!」


 エミリアさんが魔法を唱えると、六色の光がルークの側に現れた。


「おっと、その連携は面倒なのでね。

 消させてもらうよ」


 パチンッ


 ゼリルベインが指を鳴らした瞬間、六色の光は掻き消されてしまった。


「えぇっ、そんなーっ!!」


「大丈夫です、エミリアさん!

 それよりもアイナ様のことを!!」


「はいっ、お護りします!!」


 『神々の空』とは役割が代わり、戦い方は今までの分担に戻っていた。

 それなら私も、防御の優先度は下げることにしよう。


 ……それにしても。

 ゼリルベインは『神々の空』での戦いを踏まえて、私たちへの対策をしっかりと取ってきている。


 ルークの攻撃に対しては、見切りの力を。

 エミリアさんの魔法に対しては、良くは分からないけど消去の力を。

 そして私のアルケミカ・クラッグバーストも消去の力を――


 ……あれ? と、言うことは?


「アルケミカ・ディスミスト!!

 スリープポーション!!」


 私の強力な魔法のひとつ、強制睡眠!!

 白い霧が生み出されて、上手いことゼリルベインだけを対象に取ることが出来た。

 しかし――


「はははっ、今さらこんなものが効くと思うかね!?

 状態異常なんぞ、私には無効だッ!!」


 ……ですよねー……。


「それならっ! これはどうかな!!

 闇を彩れ、『影世界』っ!!!!」


 そう叫びながら、ジェラードは地面に神双ハリアガルスを突き立てた。

 するとその場所を中心に、真っ黒な影が綺麗な円状に広がっていく。


 そして、見事ゼリルベインを捕らえることが出来た……!!


「――ッ!!

 束縛の影……!? そうか、『神々の空』ではこれを使おうとしていたのかッ!!!!」


 ジェラード、ナイス!!

 向こうではいまいちぱっとしなかったけど、ここでこの成果は素晴らしい!!

 100点満点中、120点の出来だ!!


 ここで『影操作』で攻撃をしても良さそうだけど、不発に終わったら影の領域が消えてしまうから――

 ……ルークの必殺技って、回数はまだ残っていたっけ?


「ルーク! 必殺技!!」


「かしこまりました!!

 ――喰らえ、『重爆響崩撃』ッ!!!!」



 ズゴオォオォオォオオオォォオオオンッ!!!!!!!!



「う、うぉおおおぉお――――――――ッ!!!!!!」


 ゼリルベインは、ルークの攻撃をまともに受けざるを得なかった。


 しかし信じられないことに、ゼリルベインが倒れることは無かった。

 足元がジェラードの『影』によって縛られていたため、脚の骨は変な形に折れてしまっているけど……。


 回復系の力を使われなければ、この戦いも終わり……と言うことになる。

 あとは自爆系の技にさえ気を付けておけば……!!


 私の頭に『勝利』の文字がちらついた瞬間、ゼリルベインと目が合った。

 そしてそのまま、ゼリルベインは何かを呟いて――



「……油断大敵だよ、アイナさんッ!!!!」



 パアアァン……ッ!!



 突然、ゼリルベインが私に向けて跳ね飛んだ。

 嘘っ!? ジェラードに動きを縛られているのにっ!?


 ……いや。良く見てみれば、ゼリルベインの足は『影』の上に残されている。

 まさか、自分の足を切り捨てて跳ね飛んだ!?



「!? ディバイン・プロ――」

「アルケミカ・オブスタク――」


「遅いッ!!!!」



 あらかじめエミリアさんが張っていた防御壁は、あっさりと破られてしまった。

 再び守りを固めようとしたときにはもう、私の目の前にはゼリルベインがいた。


 そして――



 ブシャ……ッ



 ……私の視界が、半分奪われた。

 左目から聞こえた鈍い音と共に――

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[一言] アイナさああああああああああああああああああああああん!!!!!!!!?!?!?!!
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