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異世界冒険録~神器のアルケミスト~  作者: 成瀬りん
第13章 神々の空へ
763/911

763.研究結果

 日常をこなしつつ、修行をこなしつつ。

 全員がそんな日々を過ごしていたある日、私はセミラミスさんに呼び出された。



「……アイナ様。夜分遅くに、申し訳ございません……」


「いえいえ、大丈夫ですよー。

 夕食も終わったし、あとはもう寝るだけでしたから!」


 セミラミスさんの部屋に入ると、いつも通り本やら紙やらで散らかっていた。

 いや、以前に比べると……、何かを走り書きしたような紙の量が増えているかな?


「それでは、椅子にどうぞ……。

 ……リリーちゃんとミラちゃんは、お部屋に戻ってもらいましたので……」


「あ、そうなんですね。

 えーっと……それで、今日の御用は?」


「はい……。

 先日お伝えした、研究の成果のご報告を……と、思いまして……」


「おー! 本当ですか!?

 それ、聞くのは私だけで大丈夫です?」


「まずは、アイナ様だけだと助かります……。

 他の方には、アイナ様の反応を見てから……と言うことで……」


「……うーん、なるほど?」


 私が椅子に座ると、セミラミスさんは私の向かいに座った。

 話は長くなりそうなので、私はいつもの通りお茶を入れることにする。


「ありがとうございます……。

 ……はぁ、お茶は良いですね……。心が落ち着きます……」


「ですよねー。

 セミラミスさんも、お茶を趣味にしてみませんか?

 お茶の葉も、集め始めるとなかなか面白いですよ」


「それは素敵ですね……。

 時間が作れるようになったら、試してみようかな……」


「はーい。一緒にいろいろ、集めましょうね!」


「楽しみに……、しています……!

 ……それで、今回報告したいのは2つありまして……」


「2つ!!」


 てっきり1つだけだと思いきや、何と2つもあるらしい。

 予想していなかったことだけに、とってもお得な気がしてしまう。


「まずは、ゼリルベインと戦う……ところから、なのですが……。

 ……アイナ様は『神々の空』のことを、覚えておいででしょうか……」


「それ、セミラミスさんが教えてくれたやつですよね。

 確か神様の世界……みたいな場所だって言う」


「はい、その通りです……。

 神器があれば行けるかもしれない……と、お伝えしていた場所ですが……。

 ……その、行くための魔法が完成しました……!」


「おぉ……。

 ゼリルベインを追い掛けなければ、そもそも戦えませんからね!」


 神器を持って、気合いを入れて――……そんな方法で『神々の空』とやらに行けるのであれば、とっても楽ではあるんだけど……。

 しかし神器を持っていたとしても、所詮は人間だ。

 気合いだけで神様の世界に行けても、それは何だか違うよね。


「ちなみにその魔法って、難しいんですか?」


「はい……。

 私が中心になって、魔法を展開しようと考えています……。

 ただ、そのフォローが必要……でして」


「私とかエミリアさんで、お手伝いは出来ます?」


「いえ、戦いに行く方では無理なんです……。

 『神々への空』への門を通り抜けるとき、その門を支え続けなければいけませんので……」


「なるほど。支えながら通るのは無理……、と」


 扉みたいに開けっ放しに出来れば楽なんだけど、そう言うわけにもいかないようで……。


「……ですので、まずはヴィオラさんに……お願いしようと思っています……。

 門は三点で支える必要があるので……、あとはもう一方、ご協力をお願いしたいのですが……」


「ふむ……。魔法使いと言うのであれば、エミリアさんには心当たりは無いかなぁ……。

 エミリアさんとヴィオラさんが戦いに参加するなら、あとは魔法師団のもう一人の責任者にしたいところですけど……」


 ……しかし、その人材はまだ見つかっていない。

 それなら、魔法師団の優れた人材の中から探してみる……?


「あの……、アイナ様……。

 エミリアさんの、お師匠様は……いかがでしょう……」


「あー……、マリサさんですか?

 そうですね、エミリアさんの師匠ですからね!」


「はい……!

 少し身体に負荷が掛かると思いますので、そこは心配なのですが……」


「……負荷?」


「腰とかに……ちょっと、重さが掛かっていく感じになるかと……」


「マリサさん、腰が悪いから確かに不安ですね……。

 セミラミスさんから魔法の説明をして、上手くいくようだったらお願いすることにしましょうか。

 もし無理そうなら、他の方を検討する……と言うことで」


「分かりました……!

 ……細かく教えるには準備が難しいので……。

 可能であれば、吸収の速い方だと助かります……!」


 『吸収の速さ』と言うのは、エミリアさんを見ていると本当に痛感してしまう。

 彼女は覚えても覚えても、さらにどんどん覚えていってしまうからね……。


「まずひとつ目は朗報でしたね。

 これでこちら側から、好きなときに攻められる。

 ……うん、有利なカードを1枚ゲットです!」


「はい……!

 ふたつ目は……、いわゆる補助的なものなのですが……」


「補助的?」


「『神々の空』は、こちらの世界と根本的なルールが違うのです……。

 そもそも、『空』なので……」


「……んん?

 もしかして……、地面が無い……とか?」


「私の聞いた話から察するに……、そうだと思われます……」


「うわぁ……。

 それじゃ行った瞬間、落っこちちゃいますね」


「……ですので、一時的にこちらの世界のルールを持ち込む魔法……を、作りました。

 これは神器を持っている方の中では……エミリアさんしか、扱えないと思います……」


「おぉ……。

 四人の中では、魔法と言えば私かエミリアさんですもんね。

 私はエミリアさんの足元にも及ばないし……。それならエミリアさんで、納得です」


「そこで……、なのですが。

 この魔法は『神々の空』にいる間中……ずっと、維持が必要になります……」


「……え?

 それって、つまり――」


「エミリアさんは、戦いに参加することが出来ません……。

 ……でも、あの方のことですから……。もしかしたら、簡単な支援くらいなら……」


「そうですね……。

 何せ、エミリアさんですしね……」


「はい……」


 そうなれば必然的に、ゼリルベインと戦うのは私とルーク、ジェラードの三人になる。

 ……もしジェラードが神器を持っていなかったら、私とルークだけで戦うことになっていたのか……。

 さすがにそれは、怖すぎるなぁ……。



「ひとつ目の魔法で、『神々の空』に移動する……。

 ふたつ目の魔法で、まともに戦えるようにする……。

 それで、必殺技みたいなもの……とかは?」


「すいません……。私が出来るのは、魔法の構築だけでして……。

 エミリアさんがそれ以上の魔法を使えない時点で、申し訳ないのですが……」


「……確かに。

 であれば、私には『アルケミカ・アニヒレーション』を作ってもらいましたから……。

 うん、一通りは研究して頂いたことになるんですね……!」


「はい……。

 虚無属性の解析結果は、ふたつ目の魔法の方で使わせて頂きました……。

 それなりに、戦いを有利に進める仕組みを入れていますので……。

 ……あとは、揃えた駒でどう戦うか。

 もちろん、駒を増やす……と言う手も、あるにはありますが……」



 『駒を増やす』と言うのは、もちろん『神器を増やす』と言うことだ。

 しかしそのためには、竜の魂を手に入れなければいけない。


 ……結晶化した魂なんて、そもそも存在自体が危ぶまれる。

 そうとなれば、つまりは存命中の竜から生命を頂くことになってしまう。


 世界を救うため……とは言え、それはなかなか難しい話だろう。

 しかし確実に勝つことを考えなければいけないから、そんなことも言っていられない……?

 いや、しかし――



「……まぁ、何とかなりますよね!」


 もし勝てなさそうであれば、一旦は逃げてしまえば良い。

 セミラミスさんに確認したところ、逃げること自体は出来るらしい。


 それなら一回くらい、まずは攻めてみることにしよう。

 単純に人数がいれば良い……と言うわけでもないし、そもそも私たちは少人数で戦う方が慣れているのだから。



 楽観的な考えだろうことは重々承知している。

 しかし悲観的に考え過ぎても、光明は見い出せない気がする。


 ひとまずはこの辺りの話を、みんなに伝えてみようかな。

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